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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.38 大人たちの危ない話 2nd(後編)(1/3)
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朝チュン(2度目)

「・・・・・・。」

外から聞こえるスズメの鳴き声。
目を覚ましたら朝を迎えていた今日。
気が付いた志摩は今、自分に置かれた状況に顔を青く染める。
何故なら、

(えッ!?ここドコ!?!?)

知らない部屋、知らない天井、知らないベッドの中で目覚めたからだ。
二日酔いの症状は軽いが、口の中が異様に苦いのは何故?
そして一番ヒドイのは、今の自分の格好に既視感がありまくりだった・・・。

(なんで俺、また裸で寝てんの!?)



2回目の全裸起き

あー、またやらかしたよ。この主人公。
そんな感想など今の志摩にとっては、どうでもいい。
これで2回目の全裸起きで焦る気持ちも2倍になって、寝ていた体を急いで起こそうとした。
しかし、

「?」

思うように自分の体が自由に動かない。
いや、これは動かせないって言った方が正しい。
おまけに全裸で寝ていた割には何だか温かくて、温かくて・・・。

(何故、裸で寝てて温かい???)

この異様さを確かめた途端、志摩は知ってしまう。

「・・・・・・。」

直ぐ隣で寝ていた朝陽も、自分と一緒の格好でいたことを。

「Zzz・・・。」

「・・・・・・・・。」



覚めてさめてサメテ

動かせれなかった理由は、寝てる朝陽の抱き枕にされていたから。
裸なのに温かった理由は、朝陽の体温が肌を通してダイレクトに伝わってくるから。

(ぎゃあああ!?なんでこっちも裸なのー!?)

これは現実?それとも悪夢?
相も変わらずデッドラインを越えた3杯目からの記憶が抜け落ちてしまっており、何も思い出せない志摩。

(こ、これは夢!夢ならさっさと覚めてくれ!覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ覚めろ。)

願わくは、越えてはいけない一線を越えてませんように。

(さめてさめてさめてさめてさめて。)

願わくは、朝陽(この人)と何事もありませんように。

(サメテサメテサメテサメテサメテ。)

まるでホラーゲームのように同じ言葉を繰り返す必死の祈り。
それは無情なことに天に届かず、

「ん・・・、あ。ましクン起きてたんだ。おはよ。」

「起きるのはアンタじゃなくて俺だー!」

朝陽に届いて、これは夢ではなく現実だと思い知る。



涼しすぎる夏の朝

「えー。離れようとしないでよ。いくら夏になったからって朝はまだ涼しすぎるんだから。もうちょっとオレの枕になっててよ。」

「ぎゃー!この状態で抱きついてくるな!」

知らない同じベッドの中で、同じ格好をして、同じ朝を迎えた志摩と朝陽。
こんな現状じゃ、当然2人の間で何かあったでしょ?何事もないわけないでしょ?と疑ってもおかしくない。

「ましクンは朝から元気だね。もう具合よくなった?」

「ぐ、具合って?」

「オレが騙してウーロンハイ飲ませたこととか。ましクン飲んで直ぐに倒れたから、オレ心配したんだよ。覚えてない?」

「・・・覚えてない。」

「あらららら。そうなんだ。」

自分自身が何も覚えてない。記憶が抜け落ちているせいで、この不安が色々と落ち着かない。



朝陽の証言頼り

だから志摩は朝陽に、恐る恐る昨夜のことを尋ねることにした。

「あの、つかぬことお伺いしてもいいですか?朝陽さん。」

「どうぞ?」

自分は何も覚えてないから。
朝陽からの証言を頼るしか術がなかった。

「ここって、どこ?」

「オレの部屋だよ。ましクンの家、知らないから送り届けることが出来なくて、オレんちで介助してたの。」

「それ、だけ?他には?」

「どういうこと?」

「どうもこうもそのままの意味だって。それ以外のこと何も起きてない?」

「ましクン的には何か起きていた方が嬉しいの?」

「起きてた内容によって、かなりマズイから訊いてんだって。こっちはマジなんだから真面目に答えろ。」

しかし起きたての朝陽は寝惚けているのか。
返ってくる答えが、ところどころふわふわ。
おかげで知りたい情報の確信が全然掴めない。



全部話して

いつまでもこの格好のままは嫌なので、志摩も朝陽もベッドから出て服を着る。
そして予想は的中か。
2人の間で何事もなかった訳じゃないようだ

「んー、そうだな。どこから話すべきかな。」

クルクル回る肘付きのワークチェアに座った朝陽は寝惚けも覚めており、胸に秘めた選択肢に。どれにしようかなと、煙草を吹かしながらうーんと悩む。

「いいの?本当に。後悔、しない?」

正直に言えば、何事もなかったことにして、知らないままでいたほうが幸せなのかもしれない。
けれど被害は何もなかったと知った上でホッとした方が、もっと幸せになれる気がする。
前回も裸体起きはしたけれど、未遂で終わったんだ。
きっと今回もそんなオチのはず。
作者だって人の子だ。
隙あれば主人公の出番を引摺り下ろして、それが平常運転だと言い張る作者だけど、いくらなんでも未遂以上のことは書けないはず。
こんな場でハメを外すことなんて。アウトを越える展開なんて、あり得ないあり得ない。

「どこからでもいいから。全部。全部話してくれ。」

だから志摩は覚悟を決めて、自分が覚えてない現実を知った。

「そっか。・・・分かった。」



爆ぜる爆弾発言

「けど全部ってなると。先にオレが、ましクンに謝らなくちゃいけなくなるのか。」

「え?」

朝陽の口から告げられる現実。

「俺じゃなくて朝陽さんが?」

「今時の子は早いって言うけど、デリケートな問題になるから。」

「あの、朝陽さん?何の話して???」

「うん。だからー・・・。」

後悔と言うのは、いつだって後からやってくるものだ。
やっぱり聞かなきゃ良かったと思っても、もう遅い。

「卒業させちゃってたら、ごめんね☆」

「・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

朝陽がとんでもない爆弾を何も恐れることなく、テヘペロッとした顔で爆ぜさせやがったから。



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