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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.37 大人たちの危ない話 2nd(前編)(4/4)
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醤油は志摩、味噌は朝陽

徹夜にさっさと帰れと言われたけど、断る理由が特にないし、せっかくなので朝陽のあとをついていく。
すると目的地は駅から直ぐ近くだったようで、ここからあっという間。1件のラーメン屋の暖簾をくぐり、中へと入っていった。

「って、ラーメン!?さっきあんなに兄貴がつまみ頼みまくってたのに!?!?」

「うん。居酒屋のだけだと、物足りない感じしない?締まらないと言うか締めれないと言うか。ましクンも飲んだ後だしラーメンなら丁度いいでしょ?」

「まあ、確かに・・・。」

そして店員にテーブルのボックス席に招かれた2人は向かい合って座り、醤油と味玉付の味噌ラーメンを1個ずつオーダー。

「よし灰皿あるね。吸ってもい?」

「ど、どうぞ?」

注文した品物が届くまで、暫し待て状態となった。



志摩のことも見てました

その時、

「ましクン、飲まなくていいの?さっき飲み放題なのに全然飲んでなかったよね?」

朝陽から志摩へ。
さっきの居酒屋で気になっていたことを、改めて尋ねられる。

「まひるん先パイが1番だったけど徹夜先パイも割りと飲んでいた中で、1人だけ全然飲んでなかったから逆に目立って気になって。」

「へ、へぇ。まあ確かに2人に比べたら俺は全然だね。俺もあんまり強い方じゃなくて。」

何気ない行動、何気ない一言でも、朝陽は覚えていたようだ。
観察して生まれた疑問から、自分と相手の答えを合わす。
そのせいで余計なことまで察してないか恐れた志摩。

「ちょっと俺、トイレ借りてくる。」

「うん?いいけど、来たら先に食べてるよ。」

この話題から避けたくて、トイレへと逃げた。



味玉っていいよね

そうしてちょっとの時間を置いてから再び戻ってくると、

「おかえり。あ、先に食べてるよ。」

「あ、あぁ。うん。それは別にいいんだけどー・・・。」

「オレ、ラーメンって言ったらチャーシューよりメンマのが好きなんだよね。あと味玉もサイコー。」

頼んでいた2つのラーメンがテーブルに提供されていて、朝陽は告げていた通り先に食べていた。
そこまでは別にどうでもいいっちゃいい。
けどラーメン以外のモノが。頼んでない品物まで自分側に置かれていたら気になるのも無理がない。

「あの。これ、なに?」

「なにって、ウーロン茶だよ。冷たいウーロン茶。」

「いやいやいや。それは見て分かったけど、なんでここにあるのかって話。」

もちろんその一部始終を知ってた朝陽が訳を教えてくれたが、それは善かれとやった彼の仕業だった。

「なんでって単純にオレが頼んだからだよ。」

それが間違った知識とは知らずに。



定番だけど悪手なウーロン茶

「え?違うの!?だって酔いを覚ますならウーロン茶は定番でしょ!?」

なので改めて教わる酔い覚ましについての知識。

「ポリフェノールやカフェインの影響で今じゃ逆効果。スポーツドリンクもアルコールが早く吸収されるから危険だったはず。だから少しでも早く覚ましたいなら、果汁100%のジュース。例えばオレンジジュースがいいんだってさ。」

「詳しいね、ましクン。」

「強くないからこそ、気になって調べましたから。」

それを志摩から聞かされて、頷きながら関心する朝陽。
自分の行動は、余計だったことに気付いて落ち込む。

「なんか、ごめん。善かれと思って・・・。」

「い、いや。こちらこそなんかごめん。エラソーに言って。」



余計100%

「じ、じゃあオレンジジュース頼もうか? 」

「いや、いいよ。明日仕事だけど1杯ぐらいなら大丈夫だから。」

けどその善かれは余計でも志摩を思っての行為。
悪気があったわけじゃないんだ。
この知識を持っていても断るのは何だか寂しい気がして、結局飲むことにした。

「オレが言うのも変だけど、大丈夫だと思うよ。」

が。

「だってそれウーロン茶はウーロン茶だけど、ただのウーロン茶じゃなくてウーロンハイだから。」

朝陽の善かれは、やっぱり余計が100%だった。

「・・・・・・。」



デッドライン突入

「あははは、騙しちゃってごめんね。」

ウーロンハイをウーロン茶と騙して飲ませた行為。

「だってましクン、2人に遠慮して飲まないように見えててさ。今はオレしかいないんだから気にしないで飲んじゃえばいいのに。」

そこにはさっき途切れさせたはずの話が繋がっていたようだ。
まるで100%だった余計に悪意も含まれていたんじゃないかと疑ってしまうほど。

「まあ薄めにつくってもらったし、それぐらいなら大丈夫、大丈夫。3杯も2杯もたいして変わらないって。飲まないオレが言うセリフじゃないけど。」

そして3杯目のデッドラインを越えた志摩はというと、

「って、あれ?ましクン?」

「・・・・・・。」

「ちょ、ましクン!?やだ、ちょっとしっかり!」

たったウーロンハイを一口飲んだだけで、遠退いた意識がそのままショート。
ガシャーンッとその場に倒れ、目をグルグル回してしまう。



テイクアウトで零れた本音

朝陽のせいで倒れた志摩。

「ちょっと起きてよ、ましクン。冗談でしょ!?」

やらかした側も、まさかこんな展開になるなんて思いもしてなかったようだ。

「やだ。こんなところで寝ないで。オレ、ましクンち知らないんだってば!」

パシパシと頬を叩いて失った意識を取り戻そうとしたけど、まったく無駄。
目を覚ます様子がまったくない!

「徹夜先パイ、代行で帰った直ぐだしな〜。」

なので徹夜を呼びたいところだけど、さっき別れたばかりのせいで、呼び戻すのはちょっと抵抗がある。
そもそも『いらない』と言っていた相手に飲ませたのは自分だから、これは自身でなんとかするべきた。

「はぁ・・・。持ち帰りたかったのは弟じゃなくて兄の方だったんだけど、仕方ないか。」

朝陽はその責を負うかのように志摩を担いで、ラーメン屋を後にしてタクシーを拾い、自宅へと向かって行った。



朝陽の自宅にて

そうして朝陽の自宅へとやってきた2人。
とりあえず志摩をベッドまで運び、「よいしょ」と、そっと静かに横向きで寝かす。
それから自分のスマホで酔い潰れた人の対処法を調べて、このまま介助を続ける。

「アル中の症状じゃないよね?救急車呼ぶべきかな?万が一ってあるし。」

つもりだったのに・・・。

「ましクン、ましクン。大丈夫?」

「・・・・・・。」

「あ、よかった。目を覚ましてくれて。」

酔い潰れた志摩の意識が戻ったことにより、漂う空気や雰囲気、そして流れまでも変えた。

「ごめんね、いらないって断ってたのに騙して飲ませて。」

「・・・・・・。」



オス喰い狼の暴走

目を覚まして志摩を見て、ホッとした朝陽。
お詫びも込めたペットボトルのミネラルウォーターを手渡そうとした。
その時、

「ッ!?」

手を伸ばしてきた志摩が、ペットボトルではなく朝陽の手を強く掴んで引き込んで、瞬く間に朝陽をベッドの上に倒したのだ。

「いたたた。びっくりした〜。ましクン、いきなりなに?・・・って、あらら?」

志摩の様子がどこかおかしい。
それにやっと気付いたものの、時は遅かったのか。
上には志摩。
下には朝陽。

「・・・・・・。」

「ホントにいきなりだね。これは何の真似かな?ましクン。」

気が付いた時には、既にこの状態だった。



アウト・オブ・アウトの向こう側へ

目が据わっていた志摩は、さっきまでの志摩ではない。
デッドラインを越えたお酒のせいで、眠っていた獅子。いや狼だけが起きて豹変した彼は大暴走。
己の欲を求める示しは、朝陽を完全ロックオン。

「あの時聞こえた『オス喰い狼』は、ましクンのこと言ってたのかな?」

変わった流れは辺りを緊迫させているのに朝陽は焦ることなければ、逃げる様子もない。
それどころか、

「なるほど。・・・いいよ、かかってきな。」

上にいる志摩に手を回し、身を通して大歓迎。

「狼さんのお手並み、拝見させてもらうか?」

餌食となった獲物は、いったいどっちなのか。
こうして二人は大人の深い夜を、より熱く濃厚に更けさせたのでした。



『CRO×QUAR』第37話を
読んでいただきありがとうございました!

もちろんですがアウトの向こう側は
皆様のご想像にお任せいたしております


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