媚薬副長とアマイユメ
「ごちそーさまでしたっ。美味しかったー!」
昼休み、屯所の食堂でご飯を食べ終え仕事に戻ろうと席を立とうとした早紀(さき)の元に、一番隊隊長である沖田総悟が近付いて来た。
「あっれー?今日は土方さんと一緒じゃねェのか。」
「沖田隊長…副長は局長と出掛けましたよ?今朝、朝礼で副長が言ってたじゃないですか。」
「一々んなこと聞いてられるかよ、知ったこっちゃねェや。」
それでも隊長かよ、と心の奥底で呆れながら早紀は溜め息を吐くと再び席を立とうする。
普段、沖田と関わっていると大概ろくなことがないと悟った早紀は沖田から離れようとした。
が、それを沖田が阻止するかのようにマヨネーズ容器の形に『マヨネーズソーダ』とマヨリンが書かれた読むだけで胸焼けしそうな飲み物を目の前に突き出される。
「おい早紀、コレを土方さんに渡してくだせェ。」
「マ、マヨネーズソーダ…?うぷっ。」
それを手に取ると早紀は思わず口を押さえる。
これ…マヨネーズとソーダが分離してるように見えるんですけど大丈夫ですか?沖田隊長.........。
「てか、自分で渡せばいいじゃないですか!」
「バカかテメェは…お前さんから渡した方が土方コノヤローが喜ぶだろィ。」
「えっ…ふふ…まーそうかも…?」
「自惚れんな、ペチャパイガキんちょが。」
沖田の方が年下なのにガキ呼ばわれされたうえにペチャパイとまで言われた早紀。
思わずガタッと椅子から立ち上がり、
「あたしガキでもペチャパイでもないしっ!!」
と昼間の食堂に響き渡るくらいに大声で沖田に反撃した。
先ほどまで他の隊士達で賑わっていた食堂が途端に静まり返り、皆一斉に早紀と沖田に注目する。
「毎晩エロ副長に揉んでもらってるってかァ?」
そう言ってニヤニヤ笑っている沖田に再び反撃したいが、これ以上話の内容が内容なだけに注目されたくない早紀は「〜っ、違います!失礼しますっ!」と沖田に告げる。
マヨネーズソーダを抱き抱えながらそそくさと沖田の横を通り過ぎようとした時、
「それ、俺からだって土方さんには言うなよ!」
と沖田の低い声が聞こえたが返事をせずに食堂をあとにした。
そんな早紀の後ろ姿を見つめながら沖田が妖しく笑っていることも知らずに──。
「さァ副長…アマイユメでも見てくだせェ。」
媚薬副長とアマイユメ
局長の近藤と副長の土方が屯所へ戻ってきたのは日付が変わる少し前。
隊士達は既に寝床に就いていた。
「副長、ご苦労様でした。」
「ありがとよ。つーか早紀、遅くなるから先に寝てろっつったろ?」
しかし帰ってくるなり部屋で山積みになっている書類に目を向けている土方に熱いお茶と昼間沖田から渡されたマヨネーズソーダを持ってきた早紀。
土方は早紀がまだ起きていたことが嬉しい反面、早紀の体を心配して声を掛ける。
「なかなか寝付けなくて…。それに副長の顔見たかったですし。副長こそ早く体休めて下さいね?」
少し顔を赤く染めながら早紀は素直に思いを口にする。
それに対し土方も「そうか。」と素っ気ない返事をするが、土方の隣に三角座りをして座る早紀の頭にポンポンと頭を乗せた。
「あっそうだ副長!やっ山崎さんからいい物貰ったんです!」
「山崎だァ?」
早紀はふとお茶と一緒に持ってきたマヨネーズソーダの存在を思い出し、土方に差し出す。
沖田から口止めされていたため無難な山崎の名前を出した。
土方は早紀から手渡されたマヨネーズ容器の形をしたやはり分離しているように見えるマヨネーズソーダをマジマジと見つめる。
「マヨネーズソーダ……あっマヨリンがいる!」
「期間限定で販売されてるみたいですよー?マヨリン…てその変なおじさんですか?」
「変なおじさんじゃねェッ!!ったく…明日山崎にどこで手に入れたのか聞き出さねェとな。早紀…サンキュ。」
マズイ…、山崎さんに聞かれたら話が合わなくなってしまうと冷や汗をタラタラ流して硬直している早紀の隣で、土方は少し嬉しそうにキャップを開けるとゴクゴクと喉を鳴らしながらマヨネーズソーダを飲み出した。
「ふっ副長?明日山崎さんから私が聞いて──。」
「プハッ…うめェなコレ!マヨネーズとソーダのコラボレーションやー!早紀、お前も飲むか?」
目をキラキラさせ笑顔でマヨネーズソーダを早紀に差し出す土方。
なんかキャラ変わってませんか?と笑顔が眩しい土方を目を細めながら見る。
「え…遠慮しときます…副長が貰ったものですし…うぷっ。」
「そーか?こんなうまい飲み物飲まねェなんて勿体ないねェ。つーかうぷって何だ、コルァ。」
土方は再びゴクゴクとマヨネーズソーダを体内に注ぎ入れていく。
その飲み物が沖田の仕組んだ"媚薬"入りだと知らずに───。
「くッ…ハァ…ッ!」
しばらく早紀が明日どうやって土方と山崎を会わせないようにしようかと必死に考えていた時、土方の様子がおかしいことに気が付いた。
「副長?っ…どーしたんですか!?苦しいんですか!?」
「なんだ…これっ…体があっちィ…ッ!」
直ぐ様土方の側に駆け寄った早紀。
土方は酷く汗をかき、顔を赤くして息苦しいのかハァハァと荒い呼吸を繰り返している。
土方の机の上に先ほど土方が飲んでいたマヨネーズソーダが目に入った。
もしかして…あのマヨネーズソーダ…?
何も知らない早紀だったが土方の苦しそうな様子と、あの沖田から貰った物から考えて、すぐにマヨネーズソーダの中に"媚薬"らしきものが入っていたのだと勘づく。
「ハァッ、マヨネーズ…ソーダ…ッ誰からだ…?山崎じゃ…ねェだろ?」
すると土方もあの飲み物からきていることを悟ったのか聞いてきた。
しかも山崎からではないと、そこまで見破られている。
早紀は素直に事実を話し出した。
「ごめんなさいっ…、実はそのマヨネーズソーダは沖田隊長からの頂き物です......。」
「ハッやっぱりな…ッ…早紀…俺から逃げろ…、こりゃ媚薬だ…。」
ハハッと少し辛そうに笑う土方。
沖田からのだということを隠していたことに怒りもせず、媚薬だと解った上に「逃げろ」と指示を出す。
「えっ…?」
「俺のッ…俺の理性がまともなうちに…逃げろっつってんだよっ!」
静まり返った部屋に土方の荒い息だけが聞こえる。
目の前で苦しんでいるのは普段クールな鬼の副長土方十四郎…、早紀の彼氏でもある。
「逃げろ」と言うのはきっと土方自身でもどうなるかわからないからだろう。
恋人である早紀を、これからただの欲望の塊の化する己から引き離そうと必死な土方の声だ。
しかし早紀はこんな土方を見れるのは稀だと思った。
媚薬に侵されている土方はとても色っぽくまさに妖艶。
少しばかり早紀も興奮を覚えていた。
沖田から土方宛てという時点で疑えなかった自分の責任。
それに苦しく辛そうにしている恋人を放って行くなんてとても早紀には出来なかった。
でも正直"怖い"とも思っている早紀。
恐怖からなのか先ほどから少し手が震えているのがわかる。
ハァ…っと小さく深呼吸をし己を落ち着かせ、早紀は意を決して土方に近づく─…。
「副長…ココ、苦しいんですか…?」
ズボンの下から既に主張を始めている土方のソレに手を伸ばした早紀は優しく撫で始める。
「な…にして…んだっ!早く部屋から出──!」
「イヤですっ…私が副長を楽にしてあげたいんです!」
「早紀…テメェ…どうなるか…わかんねェぞ…?」
「ッ…はい。でも私にしか出来ないでしょ?副長を楽にするのは…。」
「はっ、……上等だ。」
その時俺はこいつには…早紀には敵わねェと思った。
本当はすっげービビってるくせに…逃げたいくせに…俺のために無理して…。
早紀は俺のズボンのファスナーに手をかけゆっくり引き下げていく。
その手が少し震えていることに気がついたが今の俺はそれを気遣って声を掛けてやる余裕もねェ…。
「ッ…くはッ、ハア…ッ!」
早紀はパンツから俺のを取り出すと、既に我慢汁まで垂れている肉棒の根元を片手で掴み口に含むと上下に動かし始めた。
「ふ…ぐッ…ンぅ、…ふ!」
「早紀ッ…ハアッ、くッ!」
ジュパジュパといやらしい音を立てながら、早紀の口から出たり入ったりする俺の分身とも言える息子。
早紀の口内の暖かさと時折舌でカリを刺激されている。
視覚からも聴覚からも触覚からもやばいだろこれは…。
極めつけに早紀は苦しいのか涙目で上目遣いで俺を見る。
早紀と目が合った瞬間、俺の理性はここで音を立てて切れた──。
「ひゃあっ、ンっ、ああっ、副ちょ.........っ!」
「っ早紀…、早紀っ!」
さっきから副長は私を何度も何度も呼ぶ。
私を何度も何度も呼びながら何度も何度も何度も突き上げる。
もう何度果てたかわからない。
何度副長の精液が私の中に注ぎ込まれたのかも。
留まることを知らない副長の性欲。
媚薬の効果が良すぎるのか、または副長の性欲がもとから凄いのか…どちらにしろ私はもう二度と媚薬なんて御免です副長…。
そして現在も書類が散らばっている副長の机に上半身を預け、四つん這いで副長に後ろから腰を固定され激しく打ち付けられていた。
「やあっ、あぁ…またっ、イッちゃうっ!」
「っ、イけ…!」
「ンあっ、あっ、っああああ─…っ!」
副長が一際激しく腰を律動し始めると私はまた呆気なく果てる。
しかし副長は私が絶頂を迎え痙攣していても容赦なく腰を揺さぶってくる。
「ふっ、くちょ…やめっ、ああ…っ!」
目の前にある書類は私が掴みしわくちゃになって、所々汗や涙で文字が滲んでいた。
副長が私を貫く度に新しくしわが生まれていく。
「早紀、こっち向け。」
突然副長が腰の動きを止めたかと思うと音を立てて抜き取った。
抜き取ると同時に私の中からドクドクと溢れ流れてくる液体を太ももに感じた。
そして私の体を持ち上げると副長は机を背にして座り込みその上に私を跨がさせる。
既に体に力が入らない虚ろな私に副長が私の秘部にまだ固さを保っている肉棒を宛がうと一気に私の腰を降ろさせた。
「ふぅあぁン…っ、ふく…ちょ…!」
「くッ、早紀…名前呼んで。」
座位の体勢で再び繋がった私と副長。
またすぐ動くのかと思っていたら今までとは違う副長の声が頭上から聞こえた。
「副…っ、と、十四郎…?」
名前を呼ぶと副長は私の顎を掴みいきなり激しい口付けをしてくる。
「ふぅ…ンはぁ…っ、ン…!」
「すまねェ…ムチャさせたな。」
口付けの合間にそう優しく副長が言ってくる。
あ、媚薬…もう体から抜けたのかなって思ったら………甘かった。
「もうちょっと付き合ってもらうぜ......!」
副長はそう言い放つと下から突き上げ始める。
途端に始まる快楽の渦。
また深く深く飲み込まれていく…。
「ンあっ、ああっ、や、やぁっ!」
私はただただ副長に突き上げられて副長の肩にしがみつきながら鳴くだけで。
声も掠れてきていた。
副長は私の首筋に唇を這わせ無数の跡を散らす。
一旦動きを止め両手で胸を鷲掴みにして乳首を口に含むと吸い付いたり、舐め回したり、指で押し潰してみたり、引っ掻いてみたり。
今まで散々してきたことなのに飽きずに繰り返す。
というか副長はおっぱい星人なんだと思う。
ちょっと試してみましょうか…?
──副長!早紀、悪戯決行します!力の限り。
「副長っ…おっぱい、ばっか…やらぁ!」
「あァ?なんだ急に…。」
「だってさっきから、おっぱい…ばっかなんだもん…。」
私がそう言ってる間も副長の手は乳首をクニクニと押し潰している。
しかも両方とも。
これ絶対おっぱい星人だよ、間違いないよこれ。
「ここ触るとな、お前の中がすげー締まるんだよ。」
「っ、だから…おっぱい好き…なの?」
「おっぱいが好きっつーか…早紀のだから好き…だな。」
「ンッ…副長、今ビクンッて大きくな──!」
「あほかっ…!言うんじゃねェよ…っ!」
──副長、早紀が悪戯してるつもりだったのに副長に早紀がノックアウトされました……。
力尽きました。
副長は恥ずかしそうに言うと両手を私の背中に回し、副長の顔におっぱいを押し付けながらまた乳首をパクリと口にやりチュパチュパと音を立て吸い上げた。
そんな赤ちゃんみたいに乳首に吸い付く副長が愛しくて、私は副長の頭を抱き締めた。
「ンふぅっ…、あっ、ンン…っ!」
「腰、揺れてんぜ。」
おっぱいを堪能した副長はようやくおっぱいから顔を離したかと思えば私を後ろの畳へ押し倒す。
そして私の両膝裏に両腕を通し、そのまま副長が前へ体重に掛けるとめちゃくちゃに突き上げてきた。
「ひあっ、ンン…っ、ああっ、あぁあっ!」
私は副長の髪の毛を必死に掴み押し寄せる快楽に呑まれた。
「早紀っ、…はっ、イクぞっ!」
「あぁっ、ンはっ、あた…っしも、イッちゃ!」
私の言葉を合図に更に深く奥まで貫いてくる副長に私は悲鳴にも似た声を発しながら何度か目の絶頂を迎えた。
薄れゆく意識の中でまた副長の熱い精液が流れ込んでくるのを感じながら、ゆっくりと闇へと溶け込んだ─…。
「ふぅー……おい総悟、そこにいるんだろ?」
事情後、土方は意識の飛んだ早紀を寝室へと運び寝かせたあと、着流しに着替えタバコに火をつけ肺に取り入れた煙を吐き出すと、襖に向かって喋り出した。
するとすぐに襖が開き頭をポリポリかきながら沖田が入ってくる。
「なんでィ、バレてやがったのか。すげーや土方さん、絶倫だったじゃねェですか。」
「あのなー…薬を盛るのは勝手だが覗きはやめろ。」
「覗きだなんて心外だなァ、ただ録音してただけでさァ。」
「盗聴も犯罪だろーがっ!!てゆーかなんであんな真似しやがった!てゆーかマヨネーズソーダどこに売ってんだっ!」
「あれ?土方さんもしかしてマヨネーズソーダ気に入ったんですかィ?」
ニヤニヤしながら沖田が転がっていたマヨネーズソーダを手に取る。
土方の激しい行為により机の上から転がり落ちたのだ。
それは沖田も知っている。
「総悟。」
「なんだよ土方絶倫おっぱいヤロー。」
「変なあだ名付けんじゃねェッ!!ったく…この書類明日までに書き直しな。」
スッと沖田の前に差し出された書類はしわくちゃで文字が滲んでいる。
土方の激しい行為により机に身を預けていた早紀がしわくちゃにした書類だ。
それも沖田は知っているはずだ。
しかしそれが自分が1日掛かってやっと書き上げた始末書だとは沖田は知らなかったようだ。
「死ね土方ァァァァ!!!」
「自業自得だろーがァァァァ!!!」
真夜中の屯所に沖田と土方の叫び声が響き渡る中、早紀は夢の中でマヨネーズソーダに溺れる夢を見てうなされていたそうな。
「う、ん…マヨ…リン…助け、て…。」
怪しい、珍しい飲み物にはご用心。
後に山崎がマヨネーズソーダを副長命令として買いに行かされたことは言うまでもない。
end.
20210406 修正
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