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続々・ヒーローの自由度ったら

「髪、伸びたなー。」

「…うん、また伸ばしてるの。」

そう言って笑うななこちゃんは相変わらず可愛い。そう言えば「髪が伸びるまで側にいて」って言われたっけな、と、もう随分と長くなった彼女の髪を眺めながら思う。

「…俺が『長いほうが可愛い』って言ったから?」

そう言うと彼女は恥ずかしそうに笑った。俺のためとか可愛すぎだろって思って、思わず抱き締める。

「…じょーすけ、くん。」

「なぁに、ななこちゃん。」

相変わらず俺は「東方先輩」と呼ばれていたけれど、ななこちゃんは本当に時々、恥ずかしそうに俺の名前を呼ぶようになった。
相変わらず油断しているウサギちゃんは隙だらけで、俺は事あるごとに彼女に良からぬことを教えているのである。

「…仗助くん。」

ななこちゃんはもう一度、甘い声で俺の名前を呼んだ。彼女が名前を呼ぶのは、「抱き締めて欲しい」とか「キスして欲しい」とか、そういった類のおねだり。
可愛いから毎回ちゃあんと叶えてあげてたけど、そろそろ意地悪したい気持ちにもなる。

だってそんなの、ズルいじゃん。

「なんスかななこちゃん。して欲しいことがあるならその可愛いお口でちゃあんと言って。」

唇の端を吊り上げてそう返せば、彼女はほっぺを真っ赤にして恥ずかしそうに俯いた。
思わず腕に力が籠りそうになるのを堪えて腕を解く。俺だって我慢したくはないけど、せっかくだからたまには可愛らしくおねだりして欲しい。

「…な、んでもないです!」

ぷいっと音がしそうな勢いで、ななこちゃんは俺に背を向けた。恥ずかしがりな所は可愛いけど、そんなことされちゃあ益々言わせたくなるのが男ってもんで。

「ふぅん、言ってくれりゃあ仗助くんはなんだって叶えてやるのによォー。」

ぴくりと肩が震えた。背を向けているくせに、こちらを意識しているのが丸わかりだ。ホント、ウサギみてーだなーって思う。背中向けてたら喰われちまうぜ。

「…う、…あの…」

逡巡が容易に見て取れる。ななこちゃんはホント分かりやすくて、言葉なんかで言わなくたって全身で俺のことが大好きってわかる。だから俺も大好きだって言うけど、たまにはこの可愛い声で、俺のことが好きだって聞きたい。

「…なんだよ。言わねーの?」

それとも、言えないようなコトがいい?なんて艶めく黒髪に唇を寄せて囁けば、彼女はまたびくりと肩を跳ねさせた。
耳に掛かった髪の向こうにほんのり赤い首筋が見えて、思わず噛み付きたい衝動に駆られる。俺がオオカミだったらとっくにがぶりだ。

「…せんぱい。」

くるりとこちらを向いた顔があんまり色っぽくて、頬が緩む。あーもー、グレート。

「…なぁに。」

「あの、…その…ッ…」

金魚みたいに口をパクパクさせながら、真っ赤な頬のななこちゃんは言うべき言葉を探しているようだった。別に減るもんじゃあないし、なんだって言やあいいのに。

「…別にエンリョするような仲じゃねーだろ。」

「…う…あの、…キス、して…ください…」

それは蚊の鳴くような声だったけれど、しっかりと俺の鼓膜を揺らした。ななこちゃんの細い肩を捕まえると、彼女は瞳を閉じて顎を少しだけ持ち上げた。薄い瞼の向こうには期待の色が隠れているのだろうか。

「…いーよ。」

ちゅ、と音を立ててその可愛らしい頬にキスすると、ななこちゃんは驚いたように目を開けた。なんで、って顔に書いてある。瞼の向こうの期待の色は俺が思っていたよりもずっと濃かった。

「…なんで、ほっぺた…」

「赤くて美味しそうだったから。…別のとこが良かった?」

意地悪く笑ってみせると、彼女は俺がからかっていることに気づいたのか、頬を赤くして「今日のセンパイは意地悪ですね!」とそっぽを向いた。拗ねてるのも可愛いな、なんて俺はどんだけ彼女が好きなのかと苦笑する。

「そっち向いたらもうキスできねーんだけど?」

こっち向いて、ななこちゃんがキスしてよ。なんて言ってみれば、彼女は素直にこちらを向いた。縋るように腕が伸ばされて、首筋を引かれる。されるままにななこちゃんの目の前まで顔を下げると、彼女は柔らかな唇を俺に押し付けた。まるで誘うように薄く開かれた隙間に舌を差し込むと彼女は小さく吐息を漏らし、可愛らしい舌をこちらに差し出す。絡め取って吸い上げれば回された腕に力がこもった。

「…んぅ…っ…」

息を荒げながら珍しく積極的に口付けてくる彼女に、俺の身体は簡単に熱くなってしまう。分かりやすく形を変えてしまうのがオトコってもんだから、抱き締めているななこちゃんにもきっと伝わってしまうだろう。隠しても仕方ないと腰を押し付ければ、彼女はびっくりして体を強張らせた。

「…せんぱい…」

「ななこちゃんが可愛いから。…責任取って?」

そっとベッドに押し倒すとななこちゃんは恥ずかしそうに顔を背けた。露わになった首筋は羞恥のせいかほんのりと赤い。耳の後ろに吸い付くと彼女は可愛らしい声を上げた。それがあんまり可愛くて、二つ三つと跡を増やしながら制服を捲り上げた。

「…あっ、先輩ッ…」

ブラジャーの下から手を差し込もうとして、胸の真ん中に普段と違うプラスチックがあるのに気付いた。これはもしや、と指先で摘み上げればパチリと音がしてぽろりと零れ出す果実。

「これ、フロントホックってやつ?…脱がしやすいからしてくれてんの?」

「…っや、ちがっ…ちがいます!」

ぷっくりとした頂を指先で弄びながら、二つに分かれた下着に視線を送る。こんなに簡単に脱がせることができるなんて、オトコのための下着じゃねーの?なんて。

「違わないだろ?…俺に脱がされるとこ、想像した?」

「ぅあっ、あ…いじわるッ…」

耳元で囁けばそれだけで彼女の身体はびくりと反応する。本当に可愛いウサギちゃん。

「…さぁてななこちゃん、何して欲しい?」

意地悪って言われたら、ちゃあんと意地悪してやんなきゃなー?と笑えば、ななこちゃんは顔を真っ赤にして言えませんとばかりにふるふると首を振った。

「言えたら、なんでもしてやるよ。さっきも言ったろ?」

それまではおあずけな、と愛撫の手を緩める。手のひら全体で胸をゆっくりと揉みしだき、空いた手は太腿を撫でる。気持ち良いところに触って欲しいのか、ななこちゃんは腰を揺らめかせながら小さな吐息を零している。

「…先輩ッ…」

懇願するような声がひどく色っぽい。俺だってそんな声聞きながら我慢すんのは辛いんスよななこちゃん。

「…言えないなら、ななこちゃんが自分でしてもいーっスよ?」

今にも泣きそうな彼女に、選択肢を増やしてやる。まぁどっちにしたって俺は美味しいし、と唇の端を吊り上げながらななこちゃんを眺めていると、彼女はおもむろに太腿を撫でる俺の手を取った。

「…せんぱい、触って…」

ななこちゃんは俺の手を秘部に当て、それを押しつけるように彼女の小さな手で押さえた。切羽詰まっているのか、腰が揺れている。

「…かーわい。触って、そんでどーすんの?」

指先で軽く撫でる動きを繰り返す。物足りないのか彼女は手に力を込めた。俺に触ってもらうことだけ考えてるんだな、と彼女を見て思う。あーもう、たまんねー。

「…ゆび、…いれて…ッ…」

「…ん、そんじゃ脱がすぜ。」

べたつく下着を取り払って、彼女の中に指を沈める。軽く抜き差しを繰り返すと彼女は俺にしがみついて浅ましく腰を揺らした。

「…全然足りない?」

「…ぅんっ、たりな…ッは…じょーすけくんッ…」

彼女の手が、布越しでも熱が伝わりそうなほどに熱くなった俺自身に触れる。彼女の薄い爪が、ジッパーを引っ掻いた。

「…はやく、じょーすけくんでいっぱいにして…ッ…」

まさかそんな言葉がくると思っていなかった俺は、ななこちゃんのその姿だけで思わず達しそうになる。触られてもないのに発射とかどこの童貞だよ、と逸る気持ちを必死で押さえ込んでいそいそと支度する。こんな可愛い顔を見せられては持ちそうにないな、なんて。

「…あー、マジめっちゃ可愛い。ななこちゃん、」

期待に震える先端を当てがうと、ななこちゃんは俺の首筋に腕を回してぎゅうっとしがみついた。

「じょーすけくん…ッあ、あっ、ぁ…」

「…ッすげ、ななこちゃんッ…俺、すぐ出そ…」

ななこちゃんは待ち望んだ刺激にとろんとした瞳で気持ち良さそうに声を上げ、何度も俺の名前を呼んだ。彼女の声に追い上げられるようにして、抽送を深くしていく。

「好きッ、すき、じょーすけくんッ!」

「俺もッ、好き、ななこッ…!」

何度も何度も呼び合いながら、二人で一気に絶頂まで駆け上がる。ななこちゃんがその白い背を勢いよく退け反らせるのとほぼ同時に、俺はななこちゃんを深く深く穿って腰を震わせた。


*****


「…はー…すっげー気持ち良かった。」

ぎゅう、と隣にいるななこちゃんを抱きしめると彼女は恥ずかしいのか俺の胸に額を押し付けたまま、不満の声を上げた。

「ひどい!先輩のいじわる!」

「そんなこと言ってよォー、すげー濡れてたじゃん。…じょーすけくん好き、って何回も言ってさ。そんなに言えるんならフツーの時だって一回くらい言ってよ。」

俺だって、好きって言われたい。いくらななこちゃんが俺のこと好きだって態度でわかったって、ちゃんと言葉にされるのとではやっぱり違うし、

「…じょーすけくん…好き。」

「…へ。」

思考が遮られたその言葉に、思わず間抜けな声が出てしまう。ななこちゃんは俺の反応が気に入らなかったのかそれとも恥ずかしいのか、ごち、と俺の胸板に可愛らしい額をぶつけた。

「そーやっていじわるばっかり!しかも意地悪しててもカッコいいとかズルい!」

「へ?」

あーもうダメだ、にやけちまう。俺多分すげー間抜けな顔だから、そのままにしててななこちゃん。

「…せんぱい!」

俺がまた間抜けな声しか出さなかったのでななこちゃんは勢い良く顔を上げ、俺の緩みきった顔を見てその可愛らしい頬を赤くして小さく呟いた。

「…もーホント、ズルい。」



20160120


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm