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はかあなにはいる。

「露伴くんさぁ、私にヘブンズドアーで漫画書いてよ。」

「はぁ?何を言い出すんだよ君は。」

コイツは馴染みの相手ではあるが、その発想にはどうにも馴染めない。今日もうちに来るなり意味のわからないことを言い出した。

「今さぁ、二次元にハマってるんだけど露伴くんにマンガ描いてもらったら私も二次元になれるかなぁって。」

「突飛な発想は非常に興味深い。だけどなぁ、ななこ。意味がわからない。」

ぼくがそう告げると彼女は一冊のマンガを本棚から取り出し、迷うことなく目的のページを開いた。

「これ!ピンクダークのこのキャラがめちゃくちゃ好きなんだよぉー」

彼女は幸せそうな顔でぼくが生み出したキャラクターの名前を呟き、溜息をつく。その姿は恋い焦がれるそこいらの乙女と寸分違わぬはずなのに、応援の気持ちは全くと言っていいほど湧いてこない。

「マンガに出せとは言わないからさ、彼を私にちょうだいよ!ね?お願い!」

「…それは、ぼくが君の妄想を読んでマンガとして君に書き込むってことかい?」

言われてみれば、他人の本にマンガを描いたことはないから、描いたら一体どうなるかには興味がある。ほんの少しだけぼくが乗り気になって顔を上げたら、彼女は未だかつて見た事がないくらい顔を真っ赤にして慌てていた。

「だ、ダメダメっ!私の妄想を読むとか、そーいうのは絶対だめっ!!!」

「へぇ。そう言われると興味が湧いてくるよ。」

ホント、不思議だよなァ。
そう言いながら唇の端を釣り上げれば、ななこは怯えたように後ずさる。そんなに見られたくないようなコトを考えているのかと思うと益々興味が湧いた。

「やっ、やだ、しなくていいからっ、露伴くん!」

「…君がぼくにお願いしたんだろう?叶えてやろうって言うのに随分だなぁ?」

「や、ッやだぁ、…露伴くんッ…やめて…」

壁際に追い詰められていやいやと首を振る彼女を見ているとぼくは一体何をしているんだという気持ちになったが、別に無理にキスを迫っているわけではない。端から見ればきっとそんな風に見えるんだろうが、ここはぼくの家で、傍目に見る人間はいない。

「ヘブンズドアー!」

ばらばらと彼女が解けて、目の前に文字が躍る。ざっと目を通して目的の箇所を見つけたぼくは、彼女の想像力の豊かさに脱帽した。

本の中で『ななこ』と甘い声で彼女を呼ぶのはぼくの作ったキャラクターで。ぼくとしてはそんな風に作ってはいないのだけれど、彼女のキャラ解釈は発想と同様独特らしかった。
さっきぼくがしたように、彼女を壁際に追い詰めて口付けたりだとか、お姫様抱っこでベッドに運ばれたりだとか。かと思えば意地の悪い台詞を吐いてみたり(こっちはぼくの解釈に近かった)、口に出すのは憚られる程のことまで。

目が離せず読み進めていくうちにぼくの心と身体は非常に複雑なことになっていた。

「…っ!露伴くん!!!」

「…そんな妄想より、もっとリアリティのある経験をしたらどうだ?」

ななこは気が付くなりぼくに向かって不満の声を上げたので、黙らせるべくさっき読んだ動作を思い出す。彼女に書いてあったように壁際に両腕をついてその身体を囲い込むと、ななこは彼女の妄想と同じような反応をした。

「…な、ッ…何、露伴くん…」

「このままキスしてやろうか?」

「…やだッ…そんなの…」

既視感。
考えて見ればさっきまでも同じような体勢だったなと思う。目的が違えばまた違った景色になるようで、先程と変わらないはずのななこの顔がひどく可愛らしく見えた。

「君はそう言ったって、無理矢理されるのが好みなんだろう?」

「ちが、ッて!もしかして…読んだの!?」

真っ赤になってぼくを睨み付ける彼女。
ぼくの表情で答えが分かったらしく、胸を押し返しながら露伴くんのバカバカ!なんて叫んでいる。なんだ可愛いじゃあないか、そもそもぼくが生み出したキャラクターなんだから、ぼくだっていいだろ別に。

「少し黙れよ。ムードってもんを知らないのか君は。」

ゆっくりと顔を近づけると、ななこは戸惑いながらもきつく目を閉じた。先程まで押し返していた手は、どうしていいかわからないといった風にぼくの服をぎゅうと握る。

「…ろはんくん…」

懇願するようなその声が、まるで待ち望んでいるように聞こえて、ぼくは彼女の柔らかそうな唇に自分のそれをゆっくりと重ねた。

「…っ、ん…ぅ…!」

見た目以上の柔らかさが、唇を伝わってくる。塗られたグロスのせいか、彼女の唇は甘くとろけるような香りがした。
感触を確かめるように二度、三度と口付けると、その度に彼女は戸惑ったように身体を震わせた。

「…っ、ろは…ん、っ…」

吐息交じりに名前を呼ばれ、瞼を上げれば目の前に潤んだ瞳のななこがいて。

ぼくは先程読んだ彼女の妄想と同じように、ななこを抱き上げる。驚いた彼女は悲鳴をあげながら足をバタつかせたけれど、落ちそうになって慌ててぼくの首筋にしがみついた。

「…そうやってろよ。暴れて落ちても知らないぜ。」

「…やっ、降ろしてよぅ…露伴くん…」

泣きそうな顔を隠すためだろうか、ぼくにしがみついて情けない声を上げているというのに、ぼくときたら首筋に掛かる吐息に良からぬ想いを馳せているだなんて。
それもこれもななこがあんなこと考えてるのがいけない。これは君が望んだことなんだからな、と心の中で言い訳をして、彼女をベッドに組み敷いた。

「ぼくに漫画を描けって言ったのは君だろ。」

「…それはッ!もういいってば!」

バタバタと暴れる彼女を呆れ顔で見ながら「いいから聞きなよ。」と言えば、彼女は抵抗の手を止めて不思議そうにぼくを見た。
存外素直なんだよなコイツ。

「ぼくは漫画にリアリティを追求する。…知ってるよな?」

「…うん、しってる…けど…?」

両手首を頭上に纏めて片手で押さえ込み、ぐいと顔を耳元へ。これも彼女に書いてあった通りの動作。

「必要経費だ。『身体で払えよ。』」

「ーーーーッ!!!」

ななこは言葉にならない声を上げて、真っ赤な顔を隠そうとじたばたしているが、ぼくに抑え込まれて顔を背けることしかできていない。首筋まで赤くなっているのが見えて、一体どこまで赤いんだろうかと空いた手で興味のままにボタンを外した。

「身体まで真っ赤だな。…恥ずかしいのか?」

「当たり前でしょ…ッ、や…露伴くんッ…」

首筋をべろりと舐め上げると、彼女は可愛らしい声を上げた。ぼくはななこをそんな目で見たことはなかったはずなのに、こんなことになっているのは彼女のせいだ。

「…事の発端はななこなんだからな。」

ななこの太腿に腰を押し付けると、彼女は言葉の意味に気付いたらしくこれ以上無いくらいに赤い頬を更に赤くして、いやいやと首を振った。
ボタンを外した先には、可愛らしいピンクのレース。少女趣味だと笑って剥ぎ取り、その下の膨らみに舌を這わせた。

「…ひぁっ…ッん…、は…」

先端を口に含んで舌で転がせば、面白いように声が上がる。もう抵抗なんてされないだろうと押さえていた手を離すと、あろうことか彼女は自由になった手でぼくの頭を抱いた。
手を脇腹から腰に滑らせば、ななこは擽ったそうに身をよじる。きめの細かい肌は絹のようなんて陳腐な比喩では表せないほど触り心地が良く、ぼくはその柔らかな感触を確かめるように何度も肌を撫でた。スカートのホックを外して、下着越しにそっと指先を這わせる。

「…っや、ぁ…」

彼女は恥ずかしいのか脚を閉じようと力を込め、ぼくの手は柔らかな肌で挟み込まれる。
擽るように下着を擦り上げると、色っぽい吐息と共に力が抜けていく。そうして何度か繰り返すうちに、指先に濡れた感触。

「なぁ、今どんな気分だ?」

「…っやぁ…んッ…そんな…のっ、…」

嫌ならやめたっていいんだぜ、と耳元で囁けば、ななこは戸惑ったように瞳を揺らす。
その仕草を肯定と受け取ったぼくはそのまま下着を剥いだ。抵抗しなかった所を見ると、間違ってはいなかったらしい。直に触れた彼女の秘部はぬるついて熱を持ち、容易にぼくの指を飲み込んだ。

「っうぁ、ろはんく…ンッ…」

ぎゅうと縋るように抱き付かれる。気持ち良さそうな姿に思わず生唾を飲む。
普段とはまるで別人じゃあないか。なんて冷めた思考とは裏腹に、ぼくの身体はすっかり煽られてしまっていて。

「…ななこ、」

焦がれるように名前を呼べば、それだけで指が締め付けられる。他人を見て興奮するなんて一体いつぶりだろうかと考えながら、触ってもいないのに激しく主張している自身を取り出して彼女の膣口に擦り付けた。

「っうぁ、ろはんくんっ…あ…」

2、3度入り口を撫でるように動かすと、それだけでななこは腰を揺らめかせた。快楽で蕩ける瞳は懇願するようにぼくを見ている。

「…言ってみろよ。どうして欲しいんだ?」

自分だってもう入れたくて仕方ないのに、彼女の乱れた姿が見たくてそんなことを言う。その紅い唇で、ぼくを求めて欲しいなんて。

「…露伴く…んッ…は、やく…いれて…ッああぁんっ!」

言い終わらないうちに彼女を一気に貫く。彼女の唇から溢れたのは悲愴さなんて微塵も感じない愉悦に塗れた悲鳴で、ぼくはその声に更なる昂りを覚えた。

「…ほら…ッ、お望み通り入れてやったぜ…っ…」

何度も穿ちながらそう言ったところで彼女には聞こえていないらしい。開きっぱなしの唇からは唾液やら嬌声やらがだらしなく溢れ続けている。

「ひぁっ、あっ、んんッ、んぅ、」

もはや意味を成さない音しか零さない彼女の唇に噛み付くように口付ける。
彼女はぼくの唇があることなんてお構いなしに声を上げながらびくびくと背をしならせ、ななこの締め付けに呼応するようにぼくは身体を震わせ長く吐精した。

「…っう…ぁッ…」

己の欲を吐き出し切ったモノをゆっくりと引き抜くと、ななこはまた声を上げた。そしてとても恥ずかしそうに、非難を含んだ声で小さく「ろはんくん」とぼくの名前を呼ぶ。

「…それで、ぼくはこれを漫画にすればいいのか?」

揶揄うように言って彼女をぎゅうっと抱き締めれば、ななこは頬を真っ赤にしながらぼくの胸を押し返した。


「穴があったら入りたい…」

「君が掘った墓穴ならあるぜ。」


20151218


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm