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○ッチ売りの少女

「…ヤバい…」

給料日の2週間前にして米がなくなった。
ついでに財布の中身もない。
これはちょっと笑えない。

私はななこ。いわゆる苦学生というやつだ。
S市に進学したはいいものの、とにかくお金というものがないので、奨学金とバイトでなんとか食いつないでいる。

「やっぱ教科書かぁ…」

先日買った教科書に想いを馳せる。
専門書というやつはどうしてあんなに高いのか。赴任したばかりの先生の授業で、先輩からお下がりがもらえなかったのが痛い。
部屋でお金になりそうなものを探したけれど、そもそも娯楽というものがないこの部屋からは何も見つからなかった。

米粒が数えられるほどになってしまった袋を見つめて、溜息をつく。

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「こんにちは露伴先生、私を買いませんか。」

「…突飛なやつだと思ってはいたが、何を言いだすんだ君は。」

突然チャイムが鳴り、出てみれば見知った顔。ぺこりと頭を下げながら、先程の問題発言である。

「お金もお米もありませんので、露伴先生に断られたら日払いのキャバクラか風俗しかないんです…」

縋るように見つめられる。
学生生活は金が掛かるというが、食うに困るほどなのか。それともコイツが無駄遣いでもしたのか。
大学生というものになったことがないぼくとしては、どんなものか気になる。

「面白そうじゃあないか。話、聞かせろよ。」

「それは風俗で働いてからってことですか…?」

悲壮な表情を向けられる。おいおい、流石のぼくだってそんなに鬼畜じゃあないぜ。
まぁ、興味がないといったら嘘になるがな。

「バカ言うな。空腹で脳まで空っぽになったか。」

軽くぺちんと額を叩くと、それだけでななこはふらついた。大丈夫かコイツ。

「だって昨日からなんにも食べてないんですよ…」

「…まったく…無駄遣いでもしたのか?」

ため息まじりにそう聞いてやる。
新年度で酒でも飲んではじけすぎたのか。それにしては些かひどい有様ではあるが。

「子供のお小遣い稼ぎじゃありません。…これは死活問題です…」

あまりに真剣な目をしていたから、思わずスタンドを発動する。
死活問題というようなことが、彼女にはあるというのか。

「へぇ…。そういえば君のことはよく知らないな。読ませろよ。」

ドシュッ!という音がして、ページがめくれる。彼女を本にしてみれば、なるほど20年弱の人生にしては分厚い。ページが多いということは、それだけの経験をしているということ。

ざっくりと目を通し、少しだけ後悔する。
12歳で親に先立たれたその後の暮らしぶりは、いっそ最初から親がいない方が幸せだと思えるんじゃないかというほどで。
まるで三文芝居のようだが、それが彼女の現実だったんだろう。
それでも文面は希望に溢れて、時折見られる挿絵は色鮮やかだった。

「ん…、せんせ…あれ?」

「話はわかった。とりあえずその空腹をなんとかしろ。」

あいにく食事になりそうなものはなかったので、とりあえず台所にあったクッキーとコーヒーを出してやる。

「いただきます!」

勢いよく噛り付くななこを見て、そういえば空腹の人間を初めて見たな…と思った。
クッキーの皿はあっという間に空になる。

「すごい勢いだったな。」

「ごちそうさまでした。…で、さっきの話なんですけど。私本当に生活苦なんです。」

そりゃあ奨学金とバイトでなにからなにまで賄えばそうなるだろう。
よく進学する気になったと、コイツの底力に感心する。

「…あぁ。で、ぼくにどうしろと?」

「私を買ってください。」

「それは、労働力としてか?それとも、女として?」

ぼくの家で仕事をするつもりなのか、身体を売るつもりなのかで話はだいぶ変わってくる。まぁ風俗かキャバクラと言っていたあたりで後者だろうが。

「先生が『価値が高い』と思う方で。」

家事労働という逃げ道を提示したつもりだったのに、あっさりと答えられて些か驚く。

「へぇ。よっぽど困ってるんだな。」

「困ってなきゃこんなこと言いません。」

一体どんな覚悟をしてここにきたのか、きちんと読めば良かったと思う。
ぼくを頼ってくれたことに、不思議と悪い気はしなかった。

「ぼくは処女を抱いたことがなかったんだ。これもリアリティだな。」

そう言うと、彼女は真っ赤になって慌てた。

「なッ!なんで知ってるんですか!」

「ん?今日のパンツが水玉だってことか?」

「…ッ!なんでそこまで!!」

さっき本にしたときに、『パンツの水玉模様が飴玉に見えてヤバい』って書いてあって思わず吹き出した。
切羽詰まっている割に余裕じゃないか、ななこ。

「…それはさておき、なんでまた身体を売ろうと思ったんだ?」

「お金になりそうなものは…それしか…」

困ったように眉根を寄せる姿は悩ましげで、危険な色香を感じさせた。

「君は自分が大切じゃないのか?」

「大切だから、露伴先生に買ってもらおうと思ったんですよ。」

部屋中探してバス代を捻出しました。と彼女は続ける。
それは知らない男よりはマシだという意味なのか、それとも…

「まるでぼくのことが好きみたいだな。」

「…好きですもん。」

そんなことは書いていなかった。
いや、単に見落としただけなのか。
真意はわからないが、言えることがある。

「…ベッドの中の発言としては、合格だな。」

これから抱かれるなら、たとえフリでも好きだと言っておいたほうが利口だろう。
彼女なりの処世術なのか、リップサービスなのか。

「…言っておくが、ぼくは優しくないからな。」

そっと肩を抱いて、ベッドルームへと連れて行く。ななこは特段普段と変わらぬ様子でぼくの隣を歩いた。

「ねぇ先生、なんで知ってたの?私今日はズボンなんだけど。」

先ほどのパンツの話だと気付く。
パンツの柄だけでなく人生まで見たと知ったら、君は何を思うのか。

「それはぼくが岸辺露伴だからだ。」

「…なんかすごく納得した。」

神妙な顔で頷くので思わず笑ってしまう。
いったいぼくが何に見えるんだ。

「さ、お喋りはおしまいだ。脱げよ。」

ベットサイドに腰掛けてそういうと、ななこはぼくから目をそらすこともせずに服を脱ぎ始めた。

「全部、脱げばいいですか。」

水玉模様のパンツとブラジャーになったところで、そう聞かれた。
飴玉みたいだと思ったななこのセンスは間違っていないと頷けるくらい、飴玉みたいにカラフルな水玉模様。

「…飴玉みたいだな。」

「…先生もそう思います?」

「舐めたら甘いんじゃないのか?」

手招きするとトコトコと寄ってきた。
抱き寄せて飴玉みたいな水玉模様をそっと舐める。
舐めながら手を回してブラのホックを外せば、そのままはらりと落ちる。

「…ひゃ!」

直に胸を舐めると、ななこの口から声が漏れる。ペロペロと舐めれば、くすぐったそうに身をよじった。

「…もう少し色っぽい反応したらどうだい?」

「だって…ッせんせ、…舐めちゃや…ッ…」

「君に『嫌だ』なんていう権利があると思うのか?」

「…っう、…ない…です…」

ベッドに寝転がらせると、胸を両手で隠してしまう。それならば、と下着を引きずり下ろして足を開かせた。

「…ぅひゃっ!せんせ、恥ずかし…」

「その顔、いいぜ…。どれ、味も見ておこう…」

まだ青い蕾に舌を這わせる。
キメの細かい肌は弾力があり、舌を押し返してくる。まだ誰も触れたことがない茂みを分け入るようにしながら舌で探っていく。さながら探検隊の気分だ。

「やっ、あっ、せんせ、ヌルヌルするよぉ…」

舌全体で舐めあげていく。だんだん赤く充血してぷくりと主張する花芯を舌先で突くと、刺激が強すぎたのかびくっと身体が跳ねた。

「せんせ、やだ、それやだっ…」

「君に拒否権はないと言っただろ?」

中からとろりと愛液が溢れ出してくる。
花芯への愛撫はそのままに、ゆっくりと指を挿れていく。多少キツいが、まぁ入らなくはない。

「やあっ、あっ、ぐりぐりしちゃやッ…」

中を探るように指を動かせば、掻き回される感覚に声を上げる。
反応がいちいち新鮮で面白い。

「どこがイイんだ?言ってみろよ。」

「…わかんな…ッ、せんせの、触るとこ…ぜんぶ…気持ちいっ…」

「煽るなよ…」

処女の癖に、よく分かっている。
計算尽くの言葉なのか、それとも天然なのか。なんとも可愛らしい反応に余裕が削がれていく。
慣らすのもそこそこに、ぼくはズボンのベルトを外した。

「…せんせッ…これ、ホントに入るの…?」

「…そういうふうに出来てるからな。」

ななこは初めて見る男性器に興味津々の様子で、恥ずかしげもなく手を伸ばしてくる。

「…熱い…し、かたい…」

感触を確かめるようにむにゅむにゅと握られて、思わず腰が引ける。
もう少し恥じらいってもんがあってもいいんじゃないかと思うが、無知とはそういうものなのか。

「…ほら、挿れるから足開け。それとも…四つん這いの方がいいか?」

「…じゃあ、こっち…」

四つん這いになり、おずおずと尻を突き出す。顔が見えないほうが恥ずかしくないから、なんて言っているが、この体勢だって相当恥ずかしいだろう。

「…随分といい眺めだな…」

「…恥ずかしいので、早くしてください…」

ぎゅっと枕を抱きしめている。
ぼくに縋ればいいのにと心の隅で思ったが、別に恋人でもないしそんなもんか、と行為を続ける。

「…っ、痛いか?」

濡らしたとはいえ処女だ。キツい中を押し広げながら、大丈夫なものなのかと些か心配になる。

「…んっ、…い…たい…っ…」

「…少しだけ、我慢しろよ…」

どうにか奥に辿り着く。ななこはぎゅっと枕を抱きしめたまま耐えているようだった。この体勢じゃ彼女がどんな顔をしているのかわからない。

「…ッは…」

「…全部、入ったぜ…」

後ろからそっと抱きしめる。耳許で囁くと、くすぐったいのか首を竦めた。

「…せん、せ…」

「…大丈夫か?…」

「…へーき…せんせ…の…はいってるの、すご…いっぱい…」

「…本当に、君は煽るのが上手いな…」

軽く腰を揺すれば、枕の隙間から嬌声が漏れる。彼女は声を抑えることもなく、仔犬のようにきゃんきゃんと鳴いた。

「せんせっ、せんせ、ッあ、だめっ…も…」

「…あぁ、ぼくもそろそろ限界だ…ッ…」

「やっ、あ、ああぁっ、!」

びくびくと収縮する内部に搾り取られるように、ぼくは彼女に白濁を注ぎ込んだ。

*****

行為が終わって衣服を身に付けると、ななこは普段と変わらないあっさりとした態度に戻って言った。

「ねぇ先生、なんていうんでしたっけ、こういうの。…オカモチ?」

「タニマチだろ。ラーメンでも出前する気か君は。」

まぁ、タニマチってのはいわゆるスポンサーだから、対価をもらっているこの場合は違うような気がするが。

「出前というか、どちらかといえば違うデリバリーじゃないですか?」

「マッチ売りの少女だったら美談なのにな。」

「マッチが売れずに死ぬくらいなら、エッチを売って生きますよ私は!」

「誰が上手いこと言えと。」

なんだかまるで事後のようではない会話をしながら、ぼくは妙な居心地の良さを感じていた。
対価が介在しなくなっても、僕に抱かれてくれるか?と、いつか聞く日がくるまでは、こうやって過ごすのも悪くないかもしれない。


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm