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元恋人のレトリック

!!!色々と捏造注意!!!




ななこと僕は、恋人だった。

「…なに。」

「いや?…別に。」

じとりとした視線に「つれないなぁ、」と溜息を吐けば、これ見よがしに顔を逸らされた。思わず笑みが溢れる。

ななこはそんな僕を見て、また視線を逸らす。逃げ出そうとでもいうのか、遠ざかる足をハイエロファントで捕まえた。

「ちょ、やめてよ…」

「どうしてさ。…名前くらい呼んでくれたっていいだろ?」

恋人だった時はあんなに甘い声で『花京院くん』って呼んでくれたのに、彼女は僕の名前を呼ばなくなった。僕にはそれが理解できない。どれだけ話しかけても、名前を呼んでもらえないなんて、辛すぎる。
彼女が僕を呼ぶ、甘い声が好きだ。その視線も、吐息も、全部全部、愛してる。
華奢な身体を抱き寄せれば、ななこはまたぷいと顔を背けた。

「…ほんと、やめてよ…花京院くん」

「…そうじゃあないだろう?」

ぎゅう、とななこを抱く手に力を込めれば、彼女は「もう!ばか!」なんて僕の胸を叩く。
そんな弱々しい抵抗なんてなんの効力もないけれど、さすがにそんなに嫌がられると僕だって傷つく。

「…早く、ほら。」

「…やだ。」

「どうしてさ。…強情だなぁ。」

嫌なの、ともう一度彼女は言った。別に今更恥ずかしがることなんてないのに、何がそんなに嫌だというのか。
無理矢理なんてしたくないけど、君がそんなに嫌がるなら僕にだって考えがあるよ、と笑えば、彼女は上目遣いに僕を見た。僕の瞳が真剣だからだろう、観念したみたいにぎゅっと瞳を閉じて、ゆっくりと唇を開いた。

「…の、りあき…」

言い終わる前に真っ赤な頬に口付けると、ななこは恥ずかしそうに瞳を伏せた。

「奥さんになったのに「花京院くん」じゃあおかしいだろう?ななこだって、「花京院さん」になったんだから」

「…でも、花京院くんは花京院くんだもん…」

「いい加減に慣れてよ。恋人の時はあんなに甘えてくれたのに。」

改まると照れてしまうのはまぁわからないでもないけれど、それにしたってなんと可愛らしいことか。

「…だって、花京院くんの奥さんになれたとか…嬉しすぎるし…」

消え入りそうな声がして、頬に柔らかな唇の感触。もうこの奥さんは、なんて可愛らしいんだろう!

「…煽るのもいい加減にしてくれないか。」

僕だって、この先君とずっと一緒だなんて嬉しすぎるんだから。と口付けを返せば、彼女は幸せそうに笑って僕に抱き着いた。


20161122

ヤンデレストーカー院にみせかけた元恋人、今夫婦。
いい夫婦の日ですね!


萌えたらぜひ拍手を!


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bkm