誰よりもキミが好き!


私の彼氏はかっこよくて優しくて、バスケもできて…
だけどちょっと変。




「テスト終わったー!!」

テストが終わったから今はお昼タイム。
屋上で、鉄平と日向くんと伊月くんと、
…いつもならリコちゃんも一緒なんだけど
"部活の準備があるの!"って言って消えた。
だから今日は4人でお昼。
…準備ってなんだろう。
マネージャーの私も聞いてないし、またスキップして帰ってくるのかな。

「日向、テストどうだった?」

このにっこにこしてるのが私の幼馴染の木吉鉄平。
190オーバーの巨男。
私はもちろん、日向くんや伊月くんよりも大分高い。

「あ゙〜…俺今回ヤベーかも」

隣で苦い顔したのが日向順平くん。
バスケ部の主将でキレると怖い。
そして…

「ハッ…テストで早々手スト(テスト)ップ…キタコレ!」
「キタコレ!じゃねぇよ」

ダジャレを言って日向くんに叩かれた残念な彼が私の彼氏、伊月俊くん。
イーグルアイっていうすごい眼をもってて、バスケもできるのに
ダジャレが好き。好きって言うか、趣味?

「お前はどうだった??星名」
「んー…日本史は自信ある。日向くんのおかげだね」

そう言ったら、日向くんはすっごい嬉しそうな顔した。
すると伊月くんがニヤニヤしながら日向くんをつつく。

「でも日向。お前中学ん時カントクんとこ通いまくって点数落ちて超怒られてたよな」
「リコちゃんとこ??」
「そう。あの時は日向半ばヤケだったもんな」
「おまっ…そういうこと言うなダァホ!!」
「事実だろ」

ポツン…って効果音がピッタリだと思う。
私と鉄平カヤの外。
日向くん、伊月くんと同中なんだよな。
…ちょっと羨ましい。
なーんて思ってたのが顔に出てたのか、鉄平が心配そうに顔を覗き込んできた。

「どうした?暗いぞ、ひかる」
「へ?!暗くないよ!!なんでもない、大丈夫」
「そうか??」

それでも鉄平は納得しなかったのか、イキナリ立ち上がると
私の脇の下に手を入れて持ち上げた。
所謂高い高い状態。

「ひぁっ?!ひゃわわわわわっ…!!」

思わず変な声が出ちゃったよ。
ほら、伊月くんと日向くんもびっくりして見上げて…見上げて?!

「ちょ、鉄平!!パンツ!!パンツ見えるからー!!」

私は慌ててスカートのすそを抑える。
私の身長、160pなんて夢のまた夢。
むしろ150pを目指してる段階だから、ヘタしたら鉄平にも見えてる。

「白地にピンクレース。男のロマンだな」
「っ〜!!ヘンタイ!!」

手はスカートを押さえてるから足で鉄平を攻撃すると、
イタイイタイと笑いながらおろしてくれた。
私はササッと伊月くんの後ろに隠れる。

「木吉」
「元気ないみたいだったからな。元気でただろ??」

確かにさっきまでの考え全部フッ飛んだけども。
そんなこと考えてたらイキナリ伊月くんに腕を掴まれて私たちは屋上を出た。




お互い無言で来たのはまだ誰も来てないバスケ部部室。
来てからも私も伊月くんも何も話さないから沈黙が重い。

「あ…あの、…伊月くん??」
「なに??」
「怒ってる??」
「…なんで。怒ってないよ」

嘘、怒ってるよ。
だってこっち向いてくれない。
…だめだ。怒らせたのは私なのに、私泣き虫だから泣いちゃいそう。
泣くな泣くな。
そう思ってても涙が止まってくれるはずもなく、自分の涙腺の弱さが嫌になる。

「う…ぐすっ…」

私が泣いているのに気付いた伊月くんが慌てて寄ってきて、謝ってくれた。

「ごっごめん!!泣かせるつもりはなくて…ホント怒ってないから!!」
「うぅ…ひっく」

違うよ、ごめんねって言いたいのに
私の口からは嗚咽しか出てこなくて、首を横に振ることしかできない。
すると頭上あら"あぁ、もう"って焦った声が聞こえて、
伊月くんに抱き寄せられた。

「本当にひかるに怒ってるわけじゃなくて…俺の問題っていうか…。
あぁ、もう、とにかく泣きやんで!!」

背中を一定のリズムて優しくトントンと叩いてくれるおかげで大分落ち着いた。

「伊月くん、彼女なのにわかってあげられなくてごめんね。
思ってること全部言って。言ってくれなきゃ分かんないよ」

私がそういうと、伊月くんは困ったように言った。

「…嫌いにならない??」
「ならない」
「絶対??」
「絶対」

私が断言すると伊月くんは諦めたように溜息をついて部室のイスに座った。
私もその隣に座る。

「ひかると木吉は、さ。小学校から一緒だって言ってたじゃん??」
「鉄平??うん、そうだね」
「俺は高校からなわけだから全然敵うわけもなくて、木吉の方がひかるのことよくわかってるのは知ってるしわかってる。…わかってはいるんだけど、…ひかるの元気がないのを木吉が先に気付いたことも、俺は"伊月くん"なのに木吉は"鉄平"なことも…正直パンツ見られたことも全部悔しい。俺が彼氏なハズなのに木吉に勝てない自分に腹が立つんだよ」

伊月くんはそう一気に吐き出すと、黙り込んでしまった。
…なんていうかこれは…

「…ヤキモチ??」

私がそういうと、伊月くんは気まずそうに顔をそらした。
…あぁ、なんだ。
私だけじゃなかった。

「俊くん」

私が名前で呼ぶと、伊づ…じゃなくて、俊くんがピクリと反応した。
今度は私の番。

「私、日向くんが羨ましいんだよ」
「…日向??」
「うん。私よりも先に俊くんと出会って、私よりいっぱい俊くんを知ってる。一種にバスケだってできるし、私よりいっぱい時間を共有できる。さっきだって楽しそうに中学の話してたしさ。…そんな日向君が羨ましいんだ。俊くんが鉄平にヤキモチ妬いてるなら、私は日向くんにヤキモチ妬いてる」

私がそういうと、俊くんはポカンと呆気にとられたような顔をした。

「いや…日向は男だし…」
「一緒だよ」
「違うでしょ」
「一緒だもん」
「俺はひかるしか眼中にないし!!」
「私だって鉄平なんてどうでもいい!!俊くんがどう思っていようが俊くんが一番だもん!!」

お互いに本音をはきだして静止。
ふと我に返ると笑いがこみ上げてくる。
お互いに笑いあってどちらからともなく言った。


「大好きだよ」





誰よりもキミが好き!
キミだけが大好きだ。

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