『あっ、別に気にしないでいいからね!それに私も覚えてないから悲しみようがないし。でも、水の材料が何なのかは探してるところだから、それで二人に親近感湧いて……』
重たくなった空気と、暗くなった二人の表情を明るくしようと、アヤメは顔の前で手を振ったり、二人の肩をポンポン叩いたりとあたふたしている。
『それに…!私ほら、家族も兄弟もいないから、弟みたいでほっとけなくって………』
ーー アヤメの壮絶な過去に感情移入して落ち込んでいる場合じゃない。自分達を必死に元気付けようとしてくれるアヤメに二人がそう思ったのは同時だった。
「弟か。じゃあアンタは俺らの"姉ちゃん"だな!よろしく頼むぜ!」
「うん、そうだね!こんな姉さんがいるなら賢者の石も…水のことも、きっとすぐ見つかるよ!」
弟…!これが弟!
アヤメは感動と嬉しさのあまり、二人に抱きついていた。東方司令部にいる時には絶対に見せない一面だった。
『じゃあ二人のこと、エドとアルって呼んで良い?私は気軽にアヤメでいいから!』
「おういいぜ!んじゃ早速はじめよーぜい」
ーーここから始まる調査で、残酷で絶望的な事実に行き着くことは、まだ誰も知らない。
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