親子(木春・1)


*オリキャラが出てきます。かなり捏造です。それでも平気!!という人はどうぞ。


「えぇ…はい…はい。ではお願いします。」
ピッ
パタン

皆がいつもの様にキャラバン内でワイワイと喋っていると電話をしていた瞳子監督が携帯を閉じて急に立ち上がった。
「皆、今この近くで格安の宿がとれたわ。いつもバス内で寝るのは体にも良くないから今日はそこに泊まります。」
「おぉっ!!ちゃんとした布団で寝れるんスか!!嬉しいっス〜!!」
「どんな所なんだろうね。」
「格安なんだろ〜?ボロくねーといーけどな。」
そうしてまたもやワイワイとしている間に瞳子監督が言っていた宿に着いたのであった。


「とーちゃーくっ!!」
「ハァ〜疲れたぜ…」
目の前には宿というより民宿という感じだが、落ち着いた感じの割と綺麗な建物が建っていた。
皆はぞろぞろと自分の荷物を持って宿の中に入っていった。
「意外と綺麗じゃねーか。」
「それに結構広いしね。」
「すみません、先程電話で予約した吉良瞳子ですが。」
「あ、は〜い!!」
瞳子監督が入口でそう言うと女の人の声が奥の方からして、パタパタと小走りで駆け寄ってきた。
「木暮くん!!またカエル使っていたずらしたでしょ!!」
「ウッシッシ!!知らないよ〜だ!!………って、え………?」
木暮はいつもの様に春奈から逃げていたが宿の女将らしき人が姿を現すと急に目を丸くして大人しくなった。
「捕まえた!!さぁ観念しなさい!!…って、木暮くん?」
「―――」
いつもなら春奈に捕まっても何かしら反撃する木暮が大人しくしているので春奈は不審に思い声をかけるが木暮は依然として女将の方を向いていた。
「お出迎えが遅くなって申し訳ありません。女将の小宮と申します。本日はようこそおいでになりました。」
小宮と名乗った女将は少しぽっちゃりとしているが人柄の良さそうな顔をしていた。
「急な予約、申し訳ありませんでした。その上こんな大人数で…。この度はお世話になります。」
「いえいえとんでもない。皆さんには人類の命運を背負ってもらっているのですから。どうぞ今夜はおくつろぎ下さい。それではお部屋にご案内いたします。」
「お気遣いありがとうございます。皆、部屋に移動するわよ。」
「「「はーい」」」
皆がぞろぞろと行く中、木暮だけはその場に立ち止まって女将の後ろ姿を見ていた。
「木暮くん、どうしたの?皆先行っちゃっうよ?」
春奈が後ろを振り返って木暮に声をかけたが木暮の耳には届いていないようだった。
「木暮くんってば、どうした「……っなあ!!」
木暮は意を決意したかの様に大きな声で女将を呼び止めた。
そのせいで女将だけでなく、他のメンバーも振り返った。
「はい?どうかしましたか?」
「?木暮どうかしたのか?」
木暮はしっかりと女将の目を見て、
「っあんたもしかして俺の「ママぁ〜」…!?」
「あらあらダメじゃない、こっちへ来ちゃ。今ママお仕事中よ。」
「だって暇なんだもん〜」
「全く、しょうがないわね〜」
そう言いながら女将は軽く子供の額をつついだが、その後子供の頭を優しく撫でていた。
「えへへ〜」
子供は嬉しそうににこにこと笑っていた。
「申し訳ありません、うちの子なんですがまだまだ甘えん坊で…」
「かわいい女の子ですね!!いくつなんですか?」
春奈が女の子の目線に合わせてしゃがんだ
「もうすぐ9歳になります。ほらあーちゃん、ご挨拶は?」
「皆さんこんにちは。こみや あさみ(小宮 朝美)です。」
そう言って朝美と名乗った子供はペこりと頭を下げた。
「はい、よく出来ました。じゃああーちゃん、お客様を案内しなきゃだからあっち行ってなさい。後でお手伝いしてもらうから。」
「は〜い」
母親にたしなめられて朝美は少し不満げだったがトタトタと戻っていった。
「お待たせして本当に申し訳ありません。この辺りには同年代の子供がいないものですからいつも暇を持て余しているんです。それで…どうかしましたか?」
最後の言葉は木暮に対して聞いたものだった。
「…いえ…すみませんでした…なんでも…ありません…」
木暮は女将に声をかけられると少しビクついて女将から目をそらしながら小さい声で力なく答えた。
「そうですか。ではお部屋に案内いたしますね。」
女将はにこやかに答え、皆を引き連れて行った。
木暮も少し躊躇いを見せたが皆の後について行った。

―他のメンバー達ははしゃいでいて気づかなかったが隣にいた春奈だけは木暮が以前の様な荒んだ目をしているかの様に見えた…

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