報告(綱塔+円夏:十年後)


プルルル…
パタパタ…
ガチャ
「はい、円堂です…あら!!久し振り!!懐かしいわね。元気だった?…えぇ…えぇ円堂くんは相変わらずよ。…えぇそう雷門の。…えぇ…えっ!?来週!?随分急ね…あっ、大丈夫よ!!えぇ…円堂くんにも伝えとくわね。…えぇ…えぇじゃあ来週ね。またね」
ガチャ
「夏未ーどーしたんだ?」
さっきまで入っていた風呂から上がってさっぱりした顔つきをした円堂が髪をわしゃわしゃとふきながら夏未に尋ねた。
「!円堂くん!!あのね、来週の土曜日って空いてる?」
「土曜?午前は部活だけど午後は空いてるぞ。何かあるのか?」
「あのね、塔子さんが綱海さんと一緒にうちへ来るの」
「綱海と塔子かぁ!!懐かしいなぁ…あの二人って確か結婚したんだよな」
「えぇ、なんでも塔子さんのお父様に報告があるらしくてその後に私達にも言う事があるらしいわよ」
「へぇ〜なんだろな?まぁいーや、夏未、晩メシは?」
「えぇ!!今日は頑張ってグラタンを作ったの!!」
「そうか!!楽しみだな!!」
(今度はどんな味がするんだ…?)
円堂は表面上はニカッと笑いながらも内心は不安であった。
夏未の料理は見た目はまぁまぁだか味はかなりヤバいのである。
しかし大切な夏未を泣かせたくない一心で毎日必死で食べ続けているのだ。
(この年で胃薬が手離せないってヤバいよなぁ…)
こうして円堂家の1日は
過ぎていった。


―土曜日―
「ただいまー」
「「「お邪魔します」」」
いつもは円堂一人のハズが今日は何故か沢山の声が聞こえた。
「お帰りなさい円堂くん。…あら、皆もいらっしゃい」
「悪いな、夏未。今日綱海達が来るって話したら天馬達や鬼道達も会いたいってさ。もうちょいしたら秋や吹雪達も来るってさ」
「突然お邪魔してすみません」
「あら、構わないわよ。ゆっくりしていってね」
「「「はい」」」
天馬達が元気良く返事した。

そんな中浮かない顔をしている人もいた。
「なんで俺まで…今日仕事持ってかえってきてんのに…」
そう呟いたのは木暮だった。
しかし木暮の腕を春奈ががっちりと掴んでいるので逃げようにも逃げれないのである。
「いーじゃない木暮君!!塔子さん達せっかく沖縄から来てくれるんだから!!」
「うっ…!!」
ぶつくさ言いつつも春奈のいうことには逆らえないようで
「…少しだけだからな」
と折れてしまった。
それを聞いた途端満面の笑みを浮かべるものだから更に何も言えなくなってしまった。

「ふふっ…さぁ皆上がって。お茶でも出すわ」
そして皆ぞろぞろと上がっていった。
数時間もすると風丸や吹雪、秋などもやって来ていつの間にか円堂家は沢山の人達でいっぱいになった。


「なかなか綱海来ねーなぁ…」
「そーねぇ…」
ピンポーン!!
「あ、来たみたいよ!!」

「オーッス!!おぉ!?今日は人が多いなぁ!!」
「綱海!!久し振りだな!!」
そこにはあの頃より背が伸び更に日に焼けて黒くなった綱海がいた。
「久し振りだな円堂!!こいつらが前にお前が監督してるって言ってた奴らか?」
「まぁな!!」
「あれ?綱海君、塔子さんは?」
「ん?あぁ塔子なら「オイコラ条介!!少しは荷物持て!!」わ、悪ぃ…つい懐かしいくって…」
「たくっ…」
玄関の方から怒鳴り声が聞こえ、綱海は苦笑いしながら玄関の方へ戻っていった。
そして色々な荷物を持った綱海がまた戻って来てその後ろに塔子がついてきた。
「おぉ!!塔子久し振りだなぁ…って」
「「「えーっ!?」」」
「ん?どうしたんだ皆?」
皆はかなり驚いていたが対する綱海は不思議そうな顔をしていた。
「いや、どうしたって綱海お前…」
「塔子さん、赤ちゃんいつの間に産んだんですか!?」
「かっわいー!!」
「へへっ夏未に報告があるって電話しただろ?それがコレ。『海』っていうんだ。半年前に産まれてさっきまでパパのとこに行ってたんだけどなかなか離してくれなくて…」
「親父さんかなりベタぼれだったもんな〜」
綱海がその様子を思い出した様で少し遠い目をした。
「『海』ってまさに綱海らしいな…」
鬼道が苦笑いしながら言った言葉にも綱海は嬉しそうだった。
「可愛いーだろー?子供はいーぞ〜」
「条介ってば既にかなりの親バカなんだよ〜」
「いーだろ!!だって俺と塔子の子だぞ!!」
「わかったわかった」
綱海はいかに子供はいいか熱弁していたが塔子によって軽く流されていた。
「あの…塔子さん赤ちゃん抱っこしてもいいですか?」
「あ、あたしもしたい!!」
「僕も!!」
春奈を筆頭に沢山の人が抱っこしたいと言った。
「ん?いいよ。もう結構思いから気をつけてな」
ハイ、と塔子が春奈に渡した。
「わ、ホントだ結構重い」
「いーなぁ赤ちゃん」
皆見慣れない赤ちゃんにくぎ付けだった。

「塔子さん、今日はどこに泊まるつもしなの?」
「ん?あぁ今日ホントは報告だけだったからすぐ帰る予定だったんだよ。でももうこんな時間だし、どっかそこら辺のホテルでも泊まろうかなって」
「だったら今日うちに泊まってけよ!!なぁ夏未?」
「そうよ!!うちは全然構わないわよ」
「いいのか?まだ海結構夜泣きするぞ?」
「いーっていーって!!俺らもそのうち出来るんだからその予行練習だよ!!」
「おぉ!?随分大胆だなぁ円堂」
綱海が円堂の肩に手を回しながら言った。
「!?…っもう、円堂君たら…」
「でもホントにいいのか?」
「いーって!!綱海!!今夜は飲み明かそうぜ!!」
「おっ!!いいぜ!!」
もう既に二人は盛り上がったいた。
「ったく…ごめんな夏未」
「あら、いいわよ。その代わり色々私達も話しましょ」
「おぅ!!」

―こうして皆でどんちゃん騒ぎをしながら一夜が明けた―


「昨日はありがとな、楽しかったよ!!」
「こちらけそ。私達も楽しかったわ」
「また来いよ!!」
「おぅ!!その時はお前らの子供の顔見せてくれよな!!」
「おぅ!!」
「円堂君!!」
「あははっ!!じゃあまたな!!」
「おぅ!!元気だな!!」
そうして別れを惜しみながらも皆は別れ、

「楽しかったな条介!!」
「だな!!またいつか会いに行こうな!」
二人は楽しそうに笑いながら沖縄に帰って行った。

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