黄黒幼馴染パラレル

黒子テツヤは黄瀬涼太に甘い
黄瀬涼太は黒子テツヤに甘やかされすぎている
黒子テツヤは黄瀬良太にとても甘い
の三作の再録と二作の書き下ろし。
幼馴染の黄黒二人がエッチするぞってなったら……という話。


簡単なあらすじ

黄瀬涼太と黒子テツヤがお隣同士の幼馴染だった場合のサンプルケース。
意識しすぎて黄瀬が黒子と普通に接することが出来なくなった小学校高学年から中学二年生。
放っておけばいいのに何だかんだ黒子は黄瀬を構っていて付き合うことになったりというオーソドックスな話。
黒子が黄瀬の内心をちょっとした事情で知っていて甘やかしているので、
黄瀬の望みがほぼ叶えられているパーフェクトワールド。

早い話がギャグです。



黄瀬涼太は恵まれすぎている
サンプル







黄瀬涼太は愛されている





 ついにこの日が来た!
 そんな気持ちでオレは黒子っちの隣でそわそわしてた。
 だって、だって!!

『黄瀬君の家に泊まっていいですか? キミのところお布団、広いですよね?』

 お布団というかベッドだ。
 海外の製品を輸入して部屋の半分以上をベッドに使っているとオレは昔、黒子っちに自慢した。
 黒子っちがオレの寝室に来たことは一度もなかったけどちゃんと覚えてくれていたらしい。
 黒子っちのそういう何気ない会話を覚えててくれるところが堪らなく好きだ。
「わっ、本当に大きいです」
 そう言いながらベッドに座ってシーツをナデナデ。
 黒子っちにはかわいすぎるで賞をあげるべき。
 仕草がいちいちかわいすぎるっ。
「シャワー、浴びてきていいですか?」
「あ、……アヒルさん浮かべたいっスよね。湯船作るよ」
 今日の黒子っちのラッキーアイテムは風呂に浮かべるアヒルの玩具らしいっス。
 確かに黒子っちには合いそうなベストアイテム。
 緑間っちも分かってるっスね。
 用意してくれた緑間っちに感謝のメールを打ち込みながら風呂の準備。
 ここで黒子っちが裸になるんだと思うと下半身に血が集まるっス。たまんねえ。
「黄瀬君、一緒に入りませんか?」
 まさかのお誘い。
 何回か目のお風呂で突撃する予定はあったけど最初から一緒に入るなんて想像もしてなかった。黒子っち、さすが!
「これから毎日一緒に入る?」
 冗談で言ってみたら黒子っちは照れながらも頷いてくれた。今日がオレの命日?
 どうしたのかと思っていたら黒子っちが「黄瀬君の家のシャンプーならボクの髪質変わりますかね」と言った。
 予想外の展開すぎて情報処理が追いつかない。
 首をかしげてると黒子っちがオレの髪を引っ張った。
 痛くない。指に絡めるぐらいの感じでなんだか、エロい。
「黄瀬君、髪の毛キレイじゃないですか」
 不満そうな黒子っちの尖った唇かわいすぎ。
「ボクは……違うので、黄瀬君の家のシャンプーを使えば改善するかなって……」
 オレの家のシャンプーは確かに黒子っちの家のよりレベルが高いと思う。美容院でしか販売してないシャンプーだから髪のケアとしてはいいものかも。
「気にしてたんスか? 黒子っちの髪、オレは好きっスよ」
 撫でてみる。
 指に絡みつく黒子っちの髪の毛。
 ブラッシングするだけでも変わるんじゃないのかとオレは思うんスけど、どうかな。
 黒子っちはずぼらさんだからオレが気にしてあげないと。
「そうっスね。オレがちゃんと黒子っちの朝のお手入れするっスよ」
「はい? そんな話してませんよ」
「夜も朝もずっとオレと一緒にいようっ」
 告白みたいになっちゃったけど黒子っちは頷いてくれた。
 毎日お泊りは黒子っちの家族が心配するかもしれないんで夜にこっそり抜け出してくるか朝にオレが早めに黒子っちの家に行くことで話はまとまった。
 これが薔薇色の日々。
「黒子っち、好きっ」
 ちゅっちゅっとキスをしながら湯船が出来上がるのを待つ。黒子っちの服を脱がせながらここから先の展開に興奮が隠せない。
 どれだけの時間、夢見ていたのか思い出して笑った。
 思いを自覚してから丸々三年、今は四年目に突入中だ。
「あのね」
「なんですか」
「黒子っち、大好きっ」
 顔がにやけきっている自覚がある。
 胸の奥からこみ上げてくる喜びを処理しきれない。
 黒子っちはオレのテンションに呆れることなく優しく笑って抱きしめてくれた。落ちつけるためかもしれないけど抱きしめて背中をぽんぽんされたところで興奮するだけだ。
「黒子っち、あの」
「キミが嬉しいとボクも嬉しいです」
 稀に見る黒子っちの満面の笑み。
 それだけで泣ける。
「黄瀬君、どうかしました?」
「感動しちゃって……」
「何にです?」
「黒子っちが、生きてることに」
 自分でも何を言っているのか分からない。
 分からないなりに伝えたくて必死になった。
「黒子っちとこうして一緒にいられるのが嬉しいっスよ」
 好きすぎて何も考えられない。
 考えたくない。
 頭は真っ白になった。
「お風呂、できたみたいです」
 このままお風呂に入って普通に黒子っちと眠ってもいい気分になってしまった。邪な感情が浄化されて今のオレはとてもキレイ。
「黄瀬君、背中流してあげます」
 そう言って黒子っちがスポンジを泡だらけにしてオレにくっついてきた。もうダメだ。いやらしいことしか考えられない。裸の恋人同士が肌をくっつけあったらいやらしいことしか思い浮かばないのが普通に決まってる。
 さっきまでの神に感謝しようみたいな気持ちが消えた。
 頭の中では黒子っちがオレの背中どころか前を洗っている映像に差し替えられてる。
 念入りにチンポを擦りあげる黒子っち。
 自分のとは大きさが違うことを気にしているのかスポンジで擦りつけてイジメてくる。
 それが気持ちよくて仕方なくてオレは風呂場で射精する。
 黒子っちはそれを見て興奮してオレにエッチをせがんでくるからよく解して後ろから黒子っちの中に侵入。
 気持ちよくて黒子っちはすぐに達しちゃう。
 オレが全然足りなさそうなのを見て謝りながら口でしてくれる。その後にすこし湯船に浸かってベッドにGO!
 気分によっては湯船の中で黒子っちにハメながらするけど黒子っちは大体すぐにのぼせちゃう。
 湯船の中でぐったりした黒子っちをオレはベッドに運んで冷たいタオルで顔や首をふいてあげる。
 そうするとなんでか黒子っちは身体がむずむずしてきて別のところを触ってっておねだりしてくる。
 首が性感帯なんだ。黒子っちかわいい。
 のぼせてて身体が上手く動かない黒子っちが小さな声でどこを触って欲しいのか指示を出す。犯罪的にかわいいい。
 最初はなかなかどこがいいって言えない黒子っち。
 自分が気持ちいい場所をそもそも把握できていない黒子っち。そんな黒子っちにオレがどこが気持ちがいいのか教えていってあげる。次からはちゃんと言うんだと言い含めながら首筋から鎖骨、わきの下、胸や乳首、へそやわき腹、指でなぞったり舌でペロペロしたりして黒子っちがビクビク反応しているのを楽しむ。
 黒子っちは恥ずかしながらもオレの舌に身悶えてかわいいチンコをビンビンにさせちゃう。
 下腹部にキスをしてへそをなぞりながら黒子っちに聞く。
『次はどこを触って欲しいっスか?』
 黒子っちは答えない。
 恥ずかしそうに目をそらして答えない。
 オレが指で勃ってるチンコをツンツン触ったら小さい声で喘いで身体を震わせる。
 黒子っち、かわいすぎる。
『早く言わないとやめちゃうっスよ』
 そう言いながらチンコをしごいたりして黒子っちがあんあんかわいく喘いでるところを見続ける幸せ。
「おちんぽにキスしてっ」
 って黒子っちが言うからオレは「仕方がないっスね」と黒子っちのかわいいチンコを口でしごいてあげる。
 手でやるよりも黒子っちの反応がよくてオレは調子に乗って黒子っちの腰を浮かせて穴に指を――。
「……して、欲しいんですか?」
 聞かれてオレは後ろを振り向く。
 背中を洗ってくれていた黒子っちが顔を真っ赤にしている。どうしてだろう。
「黒子っち?」
「あの……して欲しいんですか?」
「なにをっスか?」
「おちんちんにキス」
 恥ずかしさにオレの顔が見れないのか黒子っちが顔を思い切りそらしてる。
「黄瀬君、いま、そう言いました」
 もじもじと戸惑っている黒子っち、かわいい。
「いやならいいっスよ。無理しないで」
 妄想の中の黒子っちの台詞を口から出していただけだったけどダメ元でお願いしてみる。
 黒子っちは「キスだけです」と優しく言ってくれた。
 この世の天国を味わう許可を得てオレはこれから昇天する。隕石が落ちてきて死んでも化けて出たりしない。
 十分に幸せな人生を送れた。神様ありがとう。







「勃ってない……?」
 まさかの、まさかの展開!
 確かに風呂場で二発も発射したけどそれで終わるオレじゃない。いつも最低四回、多いと十回は抜いてから夜に寝てるのに二回出したぐらいで黒子っちを前にして息子が下を向いているなんておかしい!
「これは……これはその、なんかの間違いっスよ」
「黄瀬君、いいんです」
「だって、だってこんな――」
 勃ってないからゴムがつけられない。
 左手で擦ってみても反応しない。
 なんで?
 裏切りの息子。
 あんなにいつもビンビンに反応させてオレのことを困らせていたのに肝心な時には役に立たない。






黄瀬涼太は恵まれすぎている






 不発になった初めての夜が明けて朝。

 静かにガッツポーズをとりながらボクは洗面台の鏡を見ていました。黄瀬君はまだ寝ています。
「やりました。風呂場では殺意を抱きましたが結果オーライとはこのことです!」
 男同士のエッチ。それはボクにとってハードル高いです。
 まだ昨日ぐらいのことならいけます。
 足でいじってたら勝手に黄瀬君はイッてしまったし、口でするのも正直抵抗がありますけどお尻よりはマシです。
 お尻に黄瀬君のあの質量は無理です。
 間近で見て思いましたが無理です。
 でも、お断りですと言ったところで黄瀬君が納得するはずありません。
 納得しない黄瀬君に対してボクができることとは何か。
 何もありません。
 ただ犯されるのを待つだけです。
 そう、ボクはそんな人間なんです。
 弱いんです。弱すぎます。
「抵抗しても黄瀬君を燃え上がらせて、本気で抵抗して逃げたら黄瀬君を追い詰めすぎる……」
 黄瀬君が自殺でもしようものならボクは今後、自責の念で潰れてしまいます。罪悪感は底なし沼ですよ。
「はぁ、やりました」
 何はともあれお尻を守り通した、それが全てです。
 黄瀬君はショックを受けていたみたいですけど寝ぼけながらボクのお尻を揉んだり胸をちゅうちゅう吸っていたので十分元気だと思います。









 ボクを見て一言、赤司君が「どこも変わりなさそうだね」と口にしました。
「何の話です」
「昨日の流れから絶対にオマエ達の中は進んだと思ったんだけど……黄瀬の評価を間違えていたかな」
 真面目な顔で何を言っているんでしょう。
「それとも黒子が慣れているからオレにも分からないのか?」
 変な疑惑を持つのはやめて欲しいです。
「赤司君、それはボクと黄瀬君の問題です」
「あぁ、なんだ。黒子、ひどい奴だな。逃げたのか」
「ッ! 違います」
「図星か。……まあ、それもいい。逃げたいと思ってて逃げられるなら逃げればいい」
「逃げてません。向き合ってます」
「黒子は黄瀬のどこが気に入らない?」
「黄瀬君はスゴイ人です。褒める場所がいっぱいあります」
「長所で消される短所はなんだ?」
 どうして赤司君はこんなことを言い始めたのか分かりません。言わないと解放してくれない気がするので答えてしまうのが早道ですね。
「思い込みの激しいところ。人間関係に対して極端なところ。ボクの家族にいい顔をするところ。……恵まれているところですね」
「長所はそのまま短所でもあるね」
「思い込みの激しいところは長所ですか?」
「人間関係に対して極端なところも扱いやすいだろ? コツさえつかめばなんとかなるもんだ」
「そうかもしれませんが、至難の業です。黄瀬君は怖いです。暴れ馬です。凶暴なオオカミです」
「そうか……そんな黄瀬は嫌い?」
「嫌いじゃないです。嫌えないからずっと幼馴染です」
 けれど、この関係が続いている最大の原因は黄瀬君の方にある。黄瀬君がボクを構いに来るから続いてる。
 微妙な時期も黄瀬君はボクの顔を見たくないのに見に来ていた。意識して変な行動をとるのが嫌だと押し入れの中で嘆きながらも黄瀬君はボクに会いにくる。
「素直なんですよね」
 そして、大馬鹿者。
 黄瀬君はボクが誰と何をしているのか知れば知るほど追いつめられて悲しく悔しくなって生活を荒れさせていくのに原因になるボクから離れようとしないんです。本当バカ。
「ボクが黄瀬君を好きだとしても黄瀬君がボクを好きになってなかったら今みたいな関係にはなれそうもないです」
 たとえば「黒子クン」と言いながら見下すような黄瀬君の瞳は黒子に対する愛情はない。興味もない。嫌われていた。ボクは黄瀬君と比べるとスゴイわけじゃないから仕方ない。けど、黄瀬君は隣同士だからずっと一緒にいた。
 引っ越したり学校が変わったら、もうボク達は一生話すことはない。そのぐらいに黄瀬君とボクの関係は一瞬のものだった。黄瀬君がボクを好きだと言わなければ、押し入れから声が聞こえてこなかったらボクと黄瀬君はきっとすれ違っても声を掛け合うような関係にはなれなかった。
「黄瀬は恵まれているな」
「そうです。ボクと違って才能にあふれてるんです。だから、いいじゃないですか。弱点の一つぐらいあったって、かわいいものです」
 ボクが努力すれば黄瀬君は勃ったりするかもしれませんけど、頑張る気なんかないです。
 それはお尻に対する恐怖じゃなくって黄瀬涼太君の秘密を握っているという優越感を守るための、ボクのわがまま。
「いいや、恵まれていると思ったのは一人の人間にそこまで思われていることだ」
「そこまで?」
「黄瀬に嫌われたとしても黒子は好きで居続けることができるんだろう? 不仲なのか仲が良いのかオマエ達の関係はよく分からなかったけれど全部、黒子が許してあやふやなものにしていたから問題にならなかったんだね」
「問題です。黄瀬君少し前まで部活中も態度悪かったです」
「けれどね、黒子が見ていないところでは黒子がした助言をちゃんと守っているんだよ、黄瀬は」
 上級生への挨拶や掃除、使った道具の片付け。
「黒子が手を出してしまう時だけあいつは甘えてたんだ」
「……そうでしたか。黄瀬君はそういうずるい子です」
 仕事を押し付けられることをちゃんと抗議するべきだった。黄瀬君は待っていたのかもしれない。黄瀬君はきっとボクと話す理由を不器用に作っていたんですね。
「やっぱり黄瀬君のこと好きです」
 嫌いになれない。
 恋なのか分からなくても。
 愛なのは間違いないから。


発行:2013/09/29
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