NOVEL GAME γ | ナノ

if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【006号室 エース】
食事は美味しかった。ただ食欲が失せなかったらもっと食べてた。
ポートガスくんが居てくれて良かった。私の分も完食してくれたし。
で、いよいよ確認することが無くなった。

レディファーストでお風呂を頂きましたが、凝った仕様に大絶叫(赤い水の所為)。
入れ替わりで彼がお風呂に行かれている間にドレッサーを使用していて...
鏡に映った肖像画の目が動いてて再び大絶叫。恐怖を仕込み過ぎ。
正直、何の仕事もしてないけどもう精神的にクタクタになってしまった。

「お前、結構声出るのな」
「ポートガスくん...」
「そんなに怖かったのかァ?」

普通に怖いです。仕掛けも凝ってたし。
逆に平気で笑っていられるポートガスくんの神経が凄いよ。

「さァて、寝るか!」
「え?」
「え?寝るの早いか?」

まあ...早いと言えば早いとは思う。だけど問題はそこではない。
ベッドが一つしかないということに問題がある、と私は思うのです。

「なら枕投げするか?」
「え?あ、いや、」
「あー...枕2個じゃ盛り上がらねェか」
「あ、いや、その、」

どうしよう。どうやら意識してるのは私だけみたいだ。
本当にどうしよう。ベッドが一つなんですけどって言うべきかなあ。

1. 言うべき、だと思う。
2. 言わなくても大丈夫、かな。





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【006号室 エース】
「じゃ......エロいことしとく?」
「え!?」
「なーんてな。ほら、ベッド1個しかねェからつい」

し、心臓ばくんって鳴ったよ。何か痛かったよ。
爽やかに笑っていらっしゃるけど冗談が冗談に聞こえなかったよ今。
おーわー...余計意識しちゃう自分が恥ずかしいよ。
ポートガスくんはこんなに冷静に冗談言ってるのに何さ私の心臓!

「お、顔真っ赤。お前可愛いな」
「じょ、冗談は今、その、」
「はは。これは冗談でも何でもないぞ」

な、なんて爽やかなっ、これが人気の秘密か。

「もしかして彼氏いんの?だったらマズいよなァ」
「か、彼氏は居ませんが、ポートガスくんは恋人居るでしょ?なのに同衾は...」
「え?何そのどーきん?卑猥な響きだな」
「!?ひ、卑猥では...だ、男女が一緒に寝ることを意味してるだけで、」
「え?ユイとヤッていいの?」
「そっち方面から離れて下さい!!」

分かってて言ってる!これは絶対!分かってて!
爽やかさを残して私をからかって遊んでる。こんな人だったんだ。
同期だけどあまり近付けなかったから知らなかったよ...

「まァ、冗談はさておき」
「.........」
「おれもお前も恋人居ない。別にヤマシイことはないな」

恋人に対して、というのなら確かに問題はない、とは思うけど...
というよりポートガスくん恋人居ないのか。そっちの方が引っ掛かる。
先輩も同期も後輩も結構狙ってる子多いんだけどなあ。

「一緒に寝よ。そしたらユイも怖くねェだろ?」
「.........」
「大丈夫。ゾンビ出てもおれが殴るから」

えっと...仕込みの人間を殴るのは困ります。
そして一緒に寝よう、とかサラリと言えるスキルがまた何とも言えません。

何故か、ポートガスくんに促されるがままベッドに入った。
おっそろしく近場にポートガスくんが居る...これ見られたら殺されるレベルで。
あわわわする私を余所にポートガスくんは「おやすみ」と告げて目を閉じてしまった。
これは...仕方ないよね。何とも言えない状況のまま私もゆっくりと目を閉じた。

就寝する





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【006号室 ベッド】
.........カチコチ、何処かの時計が響く。
まあ寝れません!寝れませんよ!こんな近場に人が居たら!
こんな状況下、寝れるはずがないですよね!!(ヤケ)

何処で仕掛けが飛び出して来るか分からないと思ったら余計に心拍数も上がるし。
ポートガスくんはもう...寝てる。健やかな寝息が聞こえるもん。凄いよ。

カチコチ、響く時計の音。
色々不安を抱えてる時に限ってこの音が大きく聞こえる。

カチコチ、ギギッ、カチコチ、パキッ、カチコチ、カタカタッ、カチコチ......

異音が混ざってる。異音が混ざってる。異音が、確実に聞こえる!
これは仕様、これは仕様、これは仕様...と脳内で唱えても余計に聞こえる。
目を開けても閉じても音は響く。怖いしうるさいし......辛い。

このまま無理やり寝た方がいいのか、このまま音が止まるまで起きとくか。
というより止まるのかな。止まらなかったら完全に徹夜になるんだけど...

限界なので寝る
気になるので起きとく





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【006号室 ベッド】
ちょっと起き上がってベッドに腰掛けた。
もしかしたら資料に何かこのシステムについて書かれてるかもしれない。
そう思ってベッドを降りようとしたら腕を掴まれてビクッとなった。

「.........行くなよ」
「え?」

ポートガスくんの目がぱっちりと開いている。

「あ、起こした?」
「起きてた」
「あ...えっとね、ちょっと資料を確認しようと思って」

異音が徐々に大きくなっているような感覚がする...
てか、カチコチに挟まって聞こえる異音が廊下から聞こえる、気がする。
誰かが這いずってるような音、何か重いものを引っ張ってるような...
それがいつのタイミングで止まるかが知りたくて資料を、と話す前に引っ張られる。

「見なくていい」
「えっ、あの、」
「此処に居て」

さっきより更に近い位置に引っ張られて、これはっ、というくらい近い。
もしかして怖いのかな?何か様子が変。

「あの...」

どうしよう。何故か私をガン見してる。

「.........この距離、やばい」

スッと近付いて来るポートガスくんの顔を今度は私がガン見してしまった。
真っ直ぐ、真っ直ぐ近付いて鼻と鼻が接触した。

「嫌がんないの?」
「.........へ?」
「このままだとキスするよ?」

そうだ。この位置の近さからすればそうなってもおかしくない。
どうしよう。全く意味が分からない。頭がついてかない。

「.........マルコの陰謀だから、マルコに文句言って」

少しカサついた唇が触れて、彼の腕が私を捕らえた。
主任の陰謀かどうかは分からない。分からないけど...
今、起きている事態だけは分かってる。でも、意味が分からない。

「ちょっ......んっ、」
「ごめん...全然足りねェ」

何が?と聞く前に口が塞がれて息を吸い込むのが困難に。
お互いの息使いがどんどん荒くなって、どんどん追い込まれてく。

「.........ずっと、」
「え?」
「好きだった」

真面目な顔をしたポートガスくんから放たれた言葉に驚愕する。
俄かに信じられないし、またも意味が分からない。

「.........好きだユイ」

考える余裕も言葉を発する余裕も与えられないくらい、触れられてく。
待ったも掛けられないくらい、追い詰められてく。

「今日はキスだけ、させて」

ポートガスくんはそれを最後に私に覆いかぶさって来た。

★エンディング ポートガス・D・エース
続編のパスワードは【A】です。小説はこちらに置いています。

戻る
始めに戻る
別の物語に移動する





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう

ここはリンク調整のために改行処理しています。
同一ページを移動するようリンクを組み込んでおり、その事に気付かれないように努力しているだけで意味はありません。