NOVEL GAME γ | ナノ

if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【005号室 宍戸】
食事は美味しかったよ。多少、食欲が失せてしまったことが勿体無いくらいは。
で、だ。いよいよ確認することが無くなった。

レディファーストでお風呂を頂きましたが、凝った仕様に大絶叫(赤い水の所為)。
入れ替わりに宍戸がお風呂に行かれている間にドレッサーを使用していて...
鏡に映った肖像画の目が動いてて再び大絶叫。恐怖を仕込み過ぎ。
正直、何の仕事もしてないけどもう精神的にクタクタになってしまった。

「.........イチイチ叫ぶなよ激ダサだな」
「あ、もう上がったの?」
「お前の声にビビるから上がった」

いやいや、逆に何故自然に上がってきてるのかって話ですけど。

「つーかさ...俺らどうやって寝ろと?」
「.........あ、」
「お前、そんなことも考えずによく一緒に泊まろうとか言ったな」

確かに...いや、何ら問題は無い。

「一緒に寝ても問題ないけど」
「.........は?」
「修学旅行のノリでさ。あ、もしかして寝相悪い?」
「そういう問題か!?」

ええー...何か私がおかしいみたいな顔しないで下さい。
だってさ、普通に一人で寝るの怖くない?私は怖いです。つまり、正解は...

1. ええ、そういう問題です。
2. むしろ、そういう問題です。





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【005号室 宍戸】
「どっちも肯定じゃねえか!!」
「ちょっ、ストーリー上の突っ込みは禁止っしょ!」
「知るかよ!」

ヤバイ...今度はあきれ顔に変わってしまいましたがな。
と、いうより何一人で動揺してるのか全く分からないんですけど。
いいじゃん。減るもんじゃないし、隣で寝ても......

「あ、宍戸彼女いる?」
「.........それ、今関係あるか?」
「別の女性と同衾しちゃマズいって話じゃないの?」
「何だよ、そのどうきんって」
「男女が一緒に寝ること。因みに私は彼氏イナイ」
「知るか!!」

.........また怒鳴られた。
カルシウム不足なんじゃないの?そんなに怒りっぽかったっけ?
あ、でも昔から突っ込みのセンスは冴えてた気はするなあ。

「これだけ広いんだし、問題ないと思うんだけど」
「.........」
「てか、本当に怖いから一人で寝れない」

宍戸に手を合わせながらお願いする。とりあえず一緒に寝て下さい、と。
本来だったらこんな無茶なお願いとかするつもりはないけど、今回だけさ今回だけ。
だって、本当に怖いもの。何が仕込まれてるか想像出来ないし...

「分かった。分かった分かった分かった」
「え、何で4回も...」
「腹括ればいいんだろ!好きにしろ!」

えっと...その言い方されると私がまるで寝込みを襲うように聞こえますが?
けど今はそんなこと言わずに宍戸の気が変わらないように大人しく寝よう。

宍戸にお礼と絶対逃げないよう追加でお願いをして、壁側からベッドに入って窓に背を向けた。
ブツブツ言いながらも宍戸も窓側からベッドに入って来た、ようだった。
小さく「おやすみ」という言葉に返事はない。
ちょっと申し訳ない気持ちを抱えつつも私はゆっくりと目を閉じた。

就寝する





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【005号室 ベッド】
.........カチコチ、何処かの時計が響く。
まあ寝れませんよね!眠かったけど寝れませんよ!
こんな状況下、寝れるはずがないですよね!!(ヤケ)

何処で仕掛けが飛び出して来るか分からないと思ったら余計に心拍数も上がるし。
宍戸はもう寝たのかな...起こしたりしたら怒る、よね。

カチコチ、響く時計の音。
色々不安を抱えてる時に限ってこの音が大きく聞こえる。

カチコチ、ギギッ、カチコチ、パキッ、カチコチ、カタカタッ、カチコチ......

異音が混ざってる。異音が混ざってる。異音が、確実に聞こえる!
これは仕様、これは仕様、これは仕様...と脳内で唱えても余計に聞こえる。
目を開けても閉じても音は響く。怖いしうるさいし......辛い。

このまま無理やり寝た方がいいのか、このまま音が止まるまで起きとくか。
体は寝たいと言ってるけど脳は寝れないと言う。私自身は...

限界なので寝る
気になるので起きとく





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【005号室 ベッド】
「ねえ宍戸...ねえってば!」
「.........頼むから起こすな」

異音が徐々に大きくなっているような感覚がする...
てか、カチコチに挟まって聞こえる異音が廊下から聞こえる、気がする。
誰かが這いずってるような音、何か重いものを引っ張ってるような......

「ねえ、ちょっと怖くて寝れないんですけど」
「激ダサだな。俺はお前の方が怖い」
「何でだよ!私が怖いはずがない!」
「どう考えてもお前が遥かにこえーよ」

この奇妙な仕掛けより私の方が怖いとか有り得ないんですけど。
あーもう音がこのフロアを行ったり来たりしてる音が気持ち悪すぎる。
人為的なものだと思うのよ?それでもやっぱり怖い。

「ねえ宍戸...」
「宍戸は寝ています」
「起きてるじゃん!!ねえ、もうちょい傍に寄ってもいい?」
「.........はあああああ?」

何その心底嫌そうな声は。いや、確かに困るのは分かるよ、うん。
同期同僚でそこそこ仲良くしてもらってるけど所詮他人だし。
友達みたいな感覚はあるけど...職場の仲間であって友達じゃないし。
当然だけど、恋人でもない。普通に考えたら、嫌がられても仕方ない。

「.........ごめん!うん。大丈夫!おやすみ」

大体、隣に居てくれるだけで有難いんだ。そうだそうだ。
思いっきり脳内で好き歌とか流しとけば乗り切れる!多分。
堅く目を閉じて好き歌好き歌と念じて......も、ちっとも歌が流れない。
ここまで来たらエンドレスで歌芸人ネタでもいい、流れろ。

「.........手」
「.........へ?」
「片手だけなら、貸してやるよ」

もそもそと少しだけ移動して来た宍戸が中間点くらいで手を出した。

「.........手、借りてもいいの?」
「ああ。気が変わらないうちに借りとけ」
「.........ありがと」

私もモソモソっと移動して差し出された手にぎゅっとしがみつく。

「ちょっ、おまっ、」

握るだけじゃ怖いからぬいぐるみみたいにしがみついた。
そしたら宍戸が変な反応したけど無視してぎゅーっとしがみつく。

「.........はあ」
「貸してくれるんでしょ?溜め息吐かないでよ」
「.........頼むからヨダレだけは勘弁な」
「垂れないよ!」

全力で否定したものの、実際はどうだか。
それでも握るだけとか無理すぎて抱き締めた。

その後、宍戸は何も言わずに手だけの存在。
自分じゃないぬくもりがこんなに安心するものとは知らなかった。
宍戸自体がどう考えてるかは分からないけど私は安心しきってる。

「.........おやすみ」

その安心からか睡魔が降臨して来た。
私はそのまま素直に身を委ねて意識を手放した。

★エンディング 宍戸亮

戻る
始めに戻る
別の物語に移動する





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう

ここはリンク調整のために改行処理しています。
同一ページを移動するようリンクを組み込んでおり、その事に気付かれないように努力しているだけで意味はありません。