NOVEL GAME γ | ナノ

if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【003号室 シャンクス】
きちんと机の端に避けられた私物に触れないように、私は机に寝そべった。
懐かしい感覚、学生時代はよくこんな風に授業中に寝ていたなーみたいな。
程良く聞こえるシャワー音もあって、本気で夢へと誘われて.........

「オイオイ。風邪ひくぞユイ」
「!!?」
「それにローブの裾が肌蹴てる」
「ぎゃっ!!」

夢を扉を今にも開けて飛び立とうとしていた時に響いたシャンクス氏の声。
本当に現実も忘れて飛び立とうとしていたもんだから驚いて飛び起きた。

「び、ビックリしました...」
「驚かしたなら悪かったなァ」

けど机で寝るのは感心出来ない、とシャンクス氏は言った。
ですが普通にダブルベッドで共に就寝する仲ではないから...その、ね。
と、言えれば良かったんだけど、驚きで心拍数上がり過ぎて言葉が出なかった。

「これだけ広いんだ。大丈夫だ」

いやいや、そういう問題ではないんです。
何をどうした時にこんなことになるのか...抱える頭はあっても回避案はもう浮かばない。
やっぱりあの時点で勝手にベッドで寝るべきだったと後悔してももう遅い。

「大丈夫大丈夫。ほら、一緒に寝るぞ」
「.........了解しました」
「何なら子守唄歌ってやろうか?」
「い、いいえ、大丈夫です!」
「そうか。それは残念だ」

歌いたかったんですか?と突っ込みすべきだったんだろうか。
本当に、ほんっとうに悩ましかったけど壁側からベッドに入って窓に背を向けた。
それに確認してからか、シャンクス氏も窓側からベッドに入って来た、ようだった。
小さく「おやすみ」という言葉に返事をした頃、
驚くことにシャンクスは本当に寝息を立ててお寝になられた。

就寝する





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【003号室 ベッド】
.........カチコチ、何処かの時計が響く。
まあ寝れませんよね!眠かったけど寝れませんよ!
こんな状況下、寝れるはずがないですよね!!(ヤケ)

大きなベッドなだけあって、本当に邪魔にはならないけど眠れない。
赤の他人で異性ですよ。そこそこ気になりますよ。

カチコチ、響く時計の音。
色々不安を抱えてる時に限ってこの音が大きく聞こえる。

カチコチ、ギギッ、カチコチ、パキッ、カチコチ、カタカタッ、カチコチ......

異音が混ざってる。異音が混ざってる。異音が、確実に聞こえる!
これは仕様、これは仕様、これは仕様...と脳内で唱えても余計に聞こえる。
目を開けても閉じても音は響く。怖いしうるさいし......辛い。

このまま無理やり寝た方がいいのか、このまま音が止まるまで起きとくか。
体は寝たいと言ってるけど脳は寝れないと言う。私自身は...

限界なので寝る
気になるので起きとく





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【003号室 ベッド】
異音が徐々に大きくなっているような感覚がする...
てか、カチコチに挟まって聞こえる異音が廊下から聞こえる、気がする。
誰かが這いずってるような音、何か重いものを引っ張ってるような......

「.........眠れねェのか?」
「ヒッ!?」
「一応、コレは12時で停止するんだが」

てっきりお休みになられていると思ったシャンクス氏がそう言った。
現在の時刻は...まだ10時半。おおう...寝るには早いけど、寝たい。
それなのにあと1時間以上ある。システム停止まで。

「怖いのか?」
「.........怖いですよ普通に」

元々、ホラー系は得意ではない。むしろ苦手な方だもの怖い。
寒くも無いのに異音がするだけで悪寒が走る。それが作り物と分かっていても。

「.........そうか。なら、こっちにおいで」
「.........はい?」
「傍に居ねェから怖くなるんだ。もっと近付け」

.........
いや、いやいや、そこは簡単に近付いていいわけがない。
天下のレッド・フォースの社長さんですよ?私平社員ですよ。
そもそもこの状況がすでに問題であって、私、殺されちゃいますよ本当。

「ほら、こっちに来い。社長命令だぞ」
「いや、あの、」
「あ、お前、白ひげんとこの子だった。おれの命令とか聞かねェか」
「いや、そういうわけでは...」

むしろ、そういう問題でもありません。
背中に視線と声を感じつつ、自分がどうすべきかを悶々と考えて...
意を決して振り返って少しだけ中央に寄ってみた。

「もっとだ。そもそも端っこじゃ寝れねェだろ」

もう少し、もう少し...と背を向けたまま中央に寄った。
そうしていくうちに少しずつ背中に人の気配を感じた。シャンクス氏の気配。

「よし、そこでいいぞ。こっちを向け」
「ええ?」
「大丈夫。大丈夫だ」

そう言われてゆっくりと振り返ると当然、そこにはシャンクス氏がいた。
穏やかな笑顔で何故か手を広げていらっしゃるんですが...

「ここから先は自分の意思で来て欲しい」

それって...どういうこと?と思いながらもシャンクス氏から目が反らせない。
ゆっくり、ゆっくりと近づいてポスッとその腕の中にお邪魔すれば世界が閉じた。
優しく背中を撫でる手があって、頭を撫でる手があって。

「これで怖くはないだろう?」
「.........はい」

トクン、トクン...と聞こえるシャンクス氏の心臓の音。
その音もこのぬくもりも心地良くて目が閉じかけている。

「おやすみ。いい夢を」
「.........おやすみなさい」

何か、色々どうでも良くなって私は目を閉じて意識を手放した。

★エンディング シャンクス
続編のパスワードは【red】です。小説はこちらに置いています。

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