【1F フロント】
「003号室ですね」
ウィーンカタカタ、という音をさせて袖口からスッと一枚のカードキーを出した彼女。
アンドロイドならではですね。自分の中でカードキーを生成出来るらしい。
「突き当たって右側のエレベータよりB1、左手のお部屋となっております」
「地下?」
「はい。何か御座いましたら1階フロントまでお願いします」
「.........了解しました」
「尚、お部屋の変更は何があってもご遠慮頂いておりますのでご了承下さい」
ええー何ソレ怖い。
パートナーだって説明を受けてないっていうのにチェンジ利かないとかタチの悪いキャ●クラか!
でも一応仕事だし、プレオープンイベントだし...頑張るしかないのね。うん。
「道中、足元にお気を付け下さい」
.........道中って、此処ホテルでしょ。
無機物かつ感情のないアンドロイドに見送られ(?)ながら進む。
見つけたエレベーターは普通の物だけど...開いた瞬間、顔を背けて項垂れた。
全面鏡仕様とベッタリ付けられた血糊手形...もうぶっちゃけ帰りたい。
――進まないと、大変なコトが起きちゃうよ?
開いたままのエレベーターから聞こえた子供の音声に、私は慌ててフロントを後にした。
003号室へ向かう