NOVEL GAME γ | ナノ

if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【001号室 景吾】
きちんと机の端に避けられた私物に触れないように、私は机に寝そべった。
懐かしい感覚、学生時代はよくこんな風に授業中に寝ていたなーみたいな。
程良く聞こえるシャワー音もあって、本気で夢へと誘われて.........

「そこで寝ても構わないが、翌日に差し支えるぞ」
「!!?」
「それにローブの裾が肌蹴てる。誘ってんのか?」
「ぎゃっ!!」

夢を扉を今にも開けて飛び立とうとしていた時に響いた跡部氏の声。
本当に現実も忘れて飛び立とうとしていたもんだから驚いて飛び起きた。

「び、ビックリしました...」
「それはこっちの台詞だ。何たって机に、」

えっと...いや、普通にダブルベッドで共に就寝する仲ではないからです。
と、言えれば良かったんだけど、驚きで心拍数上がり過ぎて言葉が出なかった。

「これだけ広いんだ。お互い邪魔にはならねえよ」

いやいや、そういう問題ではないんです。
何をどうした時にこんなことになるのか...抱える頭はあっても回避案はもう浮かばない。
やっぱりあの時点で勝手にベッドで寝るべきだったと後悔してももう遅い。

「勝手に風邪ひかれても困る。黙って入れ」
「.........了解しました」
「言っとくがな、襲うつもりはねえ」
「そ、そんな心配はしていません!」
「ならいい。さっさと寝ろ。俺も疲れてる」

.........まあ、ご多忙みたいですし、そうですよね。
本当に、ほんっとうに悩ましかったけど壁側からベッドに入って窓に背を向けた。
それに確認してからか、跡部氏も窓側からベッドに入って来た、ようだった。

就寝する





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【001号室 ベッド】
.........カチコチ、何処かの時計が響く。
まあ寝れませんよね!眠かったけど寝れませんよ!
こんな状況下、寝れるはずがないですよね!!(ヤケ)

大きなベッドなだけあって、本当に邪魔にはならないけど眠れない。
赤の他人で異性ですよ。そこそこ気になりますよ。

カチコチ、響く時計の音。
色々不安を抱えてる時に限ってこの音が大きく聞こえる。

カチコチ、ギギッ、カチコチ、パキッ、カチコチ、カタカタッ、カチコチ......

異音が混ざってる。異音が混ざってる。異音が、確実に聞こえる!
これは仕様、これは仕様、これは仕様...と脳内で唱えても余計に聞こえる。
目を開けても閉じても音は響く。怖いしうるさいし......辛い。

このまま無理やり寝た方がいいのか、このまま音が止まるまで起きとくか。
体は寝たいと言ってるけど脳は寝れないと言う。私自身は...

限界なので寝る
気になるので起きとく





















if...の扉 #10

ミックスランダム/扉の向こう
【001号室 ベッド】
異音が徐々に大きくなっているような感覚がする...
てか、カチコチに挟まって聞こえる異音が廊下から聞こえる、気がする。
誰かが這いずってるような音、何か重いものを引っ張ってるような......

「.........12時までの辛抱だ」
「ヒッ!?」
「プログラムだからな。12時で停止する」

てっきりお休みになられていると思った跡部氏がそう言った。
現在の時刻は...まだ10時半。おおう...寝るには早いけど、寝たい。
それなのにあと1時間以上ある。システム停止まで。

「怖いのか?」
「.........怖いですよ普通に」

元々、ホラー系は得意ではない。むしろ苦手な方だもの怖い。
寒くも無いのに異音がするだけで悪寒が走る。それが作り物と分かっていても。

「.........そうか」

跡部氏はそれだけ呟くと何やら寝返りを打たれたらしく、もぞもぞ動く。
遠いけど何となく伝わる振動に少しだけ安堵するのは、
そこに人が居ると認識出来るからだと思う。

やっぱり寝よう。
そう考えて目を閉じた瞬間、温かい体温を背中に感じた。

「ヒッ!!?」
「.........俺だ。こうしてりゃ怖くねえだろ」

ああ、跡部氏ですか。そうですね。誰かが傍に居たら安心...

「って、何してるんですか!!?」
「アーン?怖いんだろ?」
「いや、確かに怖いですけど...そうじゃなくてですね!」
「落ち着け。目を閉じて深呼吸しろ」
「いやいやいや、」
「俺も疲れてんだ。言うこと聞け!」

.........イエス、キング。
忘れてたけどこの方は跡部氏だった。私は他社だけど平社員でした。

「いいか?目を閉じて俺の呼吸と合わせて呼吸すれば眠れる」
「.........ハイ」

背後から私を抱き締めていらっしゃる跡部氏の呼吸は...頭上から響く。
と、いうことは...私の頭の上に跡部氏のお綺麗な顔が!?
.........いやいや、落ち着こう。仕事クビになる。

跡部氏の言う通り、同じように呼吸をしていれば何か睡魔様が再びご降臨なされて来た。
確かに眠くなってきた。確かに、もう怖くない。
夢への扉が開かれる前に、何となく、これは言っておかなければならない気がする。

「.........跡部さん」
「何だ?」
「.........おやすみなさい」

跡部氏の返事はもう聞こえなかった。

★エンディング 景吾
続編のパスワードは【king】です。小説はこちらに置いています。

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