無理。隣、無理・・・!!
入学そうそう、憧れのフエゴレオン様と隣の席になりました。
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やはりA組は優秀クラスだったようで。周りの生徒は皆上流階級の貴族様方。
残念ながらモニカはC組で別れてしまったけれど。
(オーラやばいってオーラ!)
隣のフエゴレオン様は、早速媚びへつらう学友に囲まれて、忙しそうに対応していた。それでも、王族の気品がにじみ出ていた。
「やあ、僕はビュッサー家の次男、ベルント。以後、お見知り置きを」
突然反対側の男子が私の手を取って、手の甲に口付けした。うそ!貴族てこれが普通なの?スキンシップが少ない日本人だった私は慣れないばかりだ。
私は直感で下民を見下してそうな人だな、と思った。例えるならあれだ、ランギルスとフッハを足して2で割った感じ。
「どうも・・・」
いやー、距離近い。離れてください。そして早くフエゴレオン様とお話ししたいのに・・!!
「親交の証として、ミョウジの魔道具の最高級の物を僕にくれないかい?勿論、お返しとして君が喜びそうなものは用意するよ。どうだい?悪い話じゃないだろう?」
結局それ目当てか。
「んー、検討しておきますわ。」
早く会話を終わらせたかったので、適当にあしらう。
結局その日はフエゴレオン様とお話しはできなかった。
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「せっかくだし、この学校を探検しない??」
「いいね!」
イジーからの可愛いお誘いに秒で返事をした私。この広大なお城ともとれる学校を隅々まで見たかった。まるでU〇Jのホ〇ワーツ城みたいだ。
廊下が広い。天井が高い。凄い!トイレ綺麗!
興奮気味で上を見上げる。天井にも絵が描かれていて、見どころしかない。
「ちょっとナマエ、そんなに上ばっかり見ながら歩いてたらぶつかるわよ」
「気を付けるわ」
返事はそれでもうわの空。美術が割と好きだった私は天井絵に夢中で前方不注意。
「わぶっ!」
イジーの忠告虚しく、私は前の何かにぶつかった。
「あ・・・」
ナマエは真っ青になった。だって、目の前にいたのはフエゴレオン様と同じ髪色の凛々しい女性。そう、メレオレオナ様。あの!メレオレオナ様だよ?えー、凄いやっぱり間近で見てもかっこいい!
待って、私ぶつかった?やっぱりぶつかったよね。殺される!!!!
「もももも申し訳ございやせんでしたああああ!!!!」
必死の謝罪。なんか言葉がおかしくなった気がするけどこういうのは誠意が伝わればいいんだ誠意が。私がこんなミスを犯したせいで一族郎党になりませんように。
「騒がしいやつだな。なんだ?新入生か?」
さすがはメレオレオナ様だから、私がぶつかったくらいではびくともしなかったらしい。
「はい、そうです」
代わりにイジーが受け答えをしてくれた。私と違って冷静だ。王族慣れ?
「そうか。私は今機嫌がいい。これをやろう」
そう言ってメレオレオナ様がくださったのは、肉。
「・・・わあ」
「それを食べて強くなるんだぞ」
メレオレオナ様はそう言って、どこかへ向かってしまった。まだ学生だから、自由奔放度はそこまでじゃないのかもしれない。
ところでこれ、なんの肉...?
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