身をもって体験しました


『私の可愛い子達が…こんな現実って酷いですっ』

「嗚呼、嘆くでないナキ、これも無情な月日よ」

「貴様ら!ナキを泣かせる気かっ!!?」

「そっちが勝手に嘆いてんだろ!俺が知るかっ」

「つまり、そのナキはガキ…梵天丸だったオレしか知らねぇわけか」

「そして大谷もな」

「ヒッ…われは昨夜、寝ておらぬから免れたらしい」

「そうなのか?」



全員が揃ったところで謎の現象の原因を探る中、三成くんだけは皆が何に驚いているのか解らないらしい

ちょっとズレてるとこは相変わらずだね、でも気づいてくれ



『刑部さんと私だけ変わってないでしょ?他は成長してるのに』

「…確かに」

「佐吉…いや三成よ、特にわれは姿が変わっているのではないか?」

「…………」

『刑部さん…でも三成くんはすぐ刑部さんって分かって助けたよね?』

「ああ、見てくれなど知るか。刑部は刑部じゃないのか?」

「佐吉…!」



私と刑部さんはガッチリ手を取り合う。刑部さん、佐吉くんは立派に成長したみたいですね!



「ちょっと大谷の旦那…いつまでナキさんにベタベタ触ってんのさ」

「む…ヒヒヒッ!猿は相も変わらずヤキモチ焼きか」

『あ、佐助くんもウェルカム?おいでおいで』

「っ―…そんなんじゃない、見苦しいって言ってんだよっ」

「あ、じゃあ代わりに俺が…」

『来るなマセガキ』

「あははー、やっぱり?」

『ったく…まぁ慶次くんは置いといて。もう一つ聞きたいんだけど、家康くん』

「ん?」

『さっき、会うたびにーって言ってたよね?じゃあ皆の知る私も…』



一緒に戦国時代に行っちゃってるわけなんだろうか?

そう問いかければ皆が揃って頷いた。そっか…私、ついてっちゃったのか



「ナキがわれらの世に…か」

『何ですか、文句あるんですか刑部さん』

「ヒヒヒッ!よっぽどの豪傑になると思うてなぁ、われの首など一薙ぎか」

『馬鹿力って意味ですかコノヤロー、表に出ますか』

「おお、今にも手折られそうよ。怖いコワイ」

「ナキ殿と大谷殿の喧嘩は久しぶりに見るな!」

「ナキさん、そのまま殺っちゃえばいいよー」

「…………」



私たちにとっては日課だけど、武将たちにとっては久々なんだろう。やれやれと眺める皆

ただ一人、やっぱり三成くんは不思議そうな顔をする



「どうした?」

「いや…つい昨日も同じやり取りをしていたと思っただけだ」

『昨日?私と刑部さんが?』

「ああ、夫婦喧嘩は犬も食わぬから放っておけと半兵衛さまは仰っていた」

『あはー、そこはちゃんと止めてよ三成…く…ん…?』

「…………」

『…………』





………夫婦喧嘩?





「なんだ?先日、婚儀を挙げたばかりではないか」

『知るかっ!!!え、ちょ、待って、未来じゃ私と刑部さんって夫婦なのっ!?』

「佐吉、いや、三成…ぬしはいつの間に冗談など覚えた」

「私が嘘をつくと思うのかっ!!?」

『思わないから焦ってんでしょっ!!?』



まさかの衝撃事実に固まる私たち。チラッと隣を見たら刑部さんと目が合って…一斉にそらす

やばい、そんな、急に言われても…まさか刑部さんとそんな仲になるとは思ってなかったわけで―…



「三成、ワシはそんな話聞いてないぞ!」

「貴様の記憶違いなど知るか。私は事実を言ったまでだ」

「そうかもしれんが…ワシの知っていることと違うぞ」

『へ?』

「だってナキは今、慶次と新婚旅行とやらで日の本中を旅しているはずだ」




・・・・・・。




『………は?』

「あははー、毎日ナキに怒られてばっかりだけどね!昨日も宿を飛び出されちゃってさ」

『………は?』

「…そんな顔しなくてもいいじゃないか、毎回探す俺の身にもなれよ!」

『それこそ知るかっ!!!』



待て待て新婚旅行?それはつまり慶次くん…もとい宗兵衛くんと結婚してることになる

けどあれ?刑部さんと結婚したばかりなんじゃ…




「ちょと待ちなよ!なに勝手に言ってんだっ!!」

『佐助くんっ!!?』

「今、ナキさんは武田に居るはずだ!大阪には居ないし、誰の室にも入ってないっ!!」

『え?そうなの?』

「ああ、なぁ旦那!」

「うむ!それにナキ殿には佐助が居る故、他の御仁に現を抜かすなどあり得ぬ!」

「そうそう、俺が居る…か、ら…」

『…………』

「…………」




………えぇー、




「そこまで言わなくてもいいんだよ旦那っ!!!」

「うぉっ!!?す、すまぬっ!!」

『なになに?佐助くんともそういう仲なの?束縛系?独占欲強い感じ?』

「ち、ちち違うっ!!そんなんじゃ、ない、とは…言えないけど違うっ!!!」

『結局どっちなんだよ、それ』



佐助くんまで参戦…これはハーレムだと喜ぶべきか、悪女な自分にドン引きするべきか

そうなると残りも危ない気がするぞ



『………元親くん』

「何で俺を睨むんだっ!!?俺はナキに手は出してねぇぞ!」

『そうなの?』

「ああ、それにナキは…毛利のとこに居るんじゃなかったか?」

「…………」

『え、元就くんの方?』

「会ったことは数度しかねぇけどな。毛利、ナキを逃しちまったのか?」

「貴様…我がナキを逃がすと思うてか」

『!?!?!?』



おっと、元就くんは他の子と事情が違うようだ!

見つめられた瞬間、ゾワッと悪寒が走り刑部さんを盾にする。監禁フラグじゃないですか?


…しかし、皆揃って食い違いが酷い。あと一組、問題の彼らが残っているが

焦りを隠せない片倉くんと…その隣でやはり胸を張ってる梵こと独眼竜



「ずいぶん食い荒らしてんだなぁナキ」

『そんなこと言う子に育てた覚えはないよ!そして身に覚えもないっ!!』

「婚儀にHoneymoon、か。だがそんなもん小十郎はとっくに済ませてるぜっ!!」

『それを何故、君が自慢気に言うのかなっ!!?』



さっきから片倉くんが黙ってるのはコレが理由か!

今も皆が注目する中、彼は思いきり顔をそらしている。冷や汗がスゴいぞ堅物男子



「次は世継ぎだと奥州中が騒いでる」

「ま、政宗様っ!!!」

『うわ…まさか堅物男子と真っ先にそんな話までいくなんて…堅物男子なのに』

「悪かったなっ!!俺もまさかテメェが節操のねぇ女だとは思ってなかった!」

『だから身に覚えないって!』

「ナキっ!!貴様ぁ…刑部を裏切る気かっ!!?秀吉さまの御前で添い遂げると誓ったではないか!」

「ちょ、俺も利やまつ姉ちゃんに紹介してるよっ!?人の女房かっ拐うのは止めてくれ!」

「何を言うっ!!ナキ殿は今やお館様含め、甲斐中の民が羨む佐助との睦まじい仲を―…!」

「旦那っ!!それ以上言うの止めてくれないっ!?」

「ナキが安芸から出られるわけなかろう。貴様らが見ておるのは幻よ」

「まぁ何処へ行こうが、最後にナキは小十郎のもとに戻ってくるがな!」

『だから君の片倉くんへの自信は、どこから沸いてくるのかなっ!!?』





「大谷…本当にナキを妻にしたのか…?」

「われは知らぬ。ぬしこそ本気でナキを室としたのか?」

「そ、そりゃ…まぁ…って、なんだその目は!」

「…………」

「元親どうする?この流れに便乗してワシらもナキを奪うか?」

「火に油を注いでどうすんだよっ!!?とにかく…そのうち戻るだろ、その時に真実は確かめようぜ」






―…翌日




『梵んんんんっ!!!』

「ぎゃあっ!!?な、なんだよナキ!苦しい、抱きつくなっ」

『やっぱり梵も皆もこのサイズがいい…弥三郎くんもこっちおいで!』

「い、今のお姉ちゃん目が血走ってるからヤダ!」



翌日、目が覚めると皆はもとの大きさに戻っていた

私は真っ先に梵と弥三郎くんを確かめる。君ら二人の成長は私にとって悲劇だ



「ナキどの、それがしも!」

「ワシも!」

『おいでーっ!!』

「ナキ、早く朝食をつく―…」

『ぎゃあっ!!?』

「…何故、我を見て怯える」




「…大谷の旦那、昨日って何か変わったことあったっけ?」

「ヒヒッ、われは知らぬ。変わらぬ一日ではなかったか?」

「大谷っ!!!朝方、俺の枕をひっくり返してたのテメェだろっ!!?」

「…はて、知らぬわ」

「何度目が覚めたと思ってんだ…!あと着替えの裾を固結びしたのもそうだろっ!?」

「はてさて、存ぜぬわ」

「あと宗兵衛が見当たらねぇんだがっ!!?」

「宗兵衛ならぎょ…むぐっ」

「佐吉、黙っておれ」

「ちょ、どうしたの何があったのっ!!?」

「猿、ぬしは奴を妻にはしておらぬ。今回は許してやろう」

「???」








20130422.
もしも未成年組が成長したら

ルート分岐したら、それぞれとワイワイやります^^


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