アイドル科の王さまと普通科の娘 | ナノ

アイドル科の王さまと普通科の

Act.13  本能が想像の光を求めてる


「それでね、ナマエちゃん。」
「ん?」
「聞きたいことがあるのだけれど、いいかしら?」
「もちろん。」


少しだけ困ったように眉を下げたその表情に、何故か脳は用件を察した。


「『王さま』の行方、知らないかしら?」


――ああ、やはり。
いや、そもそも察するも何も自分と彼らとの繋がりは『王さま』である。
何もおかしなことではなく、むしろこれが普通なはず。


「ごめんなさい。ナマエちゃんだって、知りたいわよねェ。」
「あ、いや、ちょっとぼーっとしてた。」


だから哀しげに微笑む必要はない。


「うん、知らない。学校にも、来てない?」
「みたいなのよォ。誰も姿見ないって言うし。本当にも〜!」


「せっかくたくさん輝けるようになったのにィ!」と唇を尖らせる姿がなんとも可愛らしい。


「……ていうか、本当に停学なの?」
「え?」
「実は、退学してたりとか。」
「ん〜それはないみたいよォ。泉ちゃんが確認とってくれたしね♪」
「そう、」


この学院の生徒では、あるんだ……。
まだ会える可能性はあるってことなのだろうか。


「司ちゃんも『王さま』のこと気になりだしてるし、会わせてあげたいわァ♪」
「司ちゃん……?」


これは初めて聞く名前だ。


「ウチに新しく入った子よォ。礼儀正しくて、すっごく可愛いの〜♪」
「そ、そうなんだ。」
「今度、ナマエちゃんにも会わせてあげるわね!」
「ありがとう。」


……一体どういう『ユニット』に変化しているのかが気になる。
まあ、元の形をしっかり知っているわけではないけれども。


「ともかく、ナマエちゃんが知らないなら『王さま』はまだ出てきてくれないのね。」
「私基準なんだ。」
「そりゃあそうよ〜♪」


何故だ。


「早く、皆が揃った『Knights』でステージに立ちたいわ。」
「ナルちゃん……。」


きっと、彼の本音はここにあるんだろう。
まったく。こんな可愛らしい後輩を残して、『王さま』はどこへ浮浪しているのだか。


「見つけたら、連絡入れる。」
「ありがと♪ 連絡先、教えるわねェ。」
「うん。」


私も、見てみたい。

ステージ上で輝く彼の姿を。
彼の作曲した旋律で、彼が楽しそうに笑顔を届ける姿を。





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