依存して
P5Sの謎時空 ネタバレ要素はたぶん無








…。


「夢乃、今日何食べたい?」
「んー…、海鮮丼食べたい」
「わかった」

いいの?と首を傾げる夢乃に、俺は頷いた。 多分、いや、自分でも自覚出来るくらいには笑顔を浮かべていると思う。 だって昨日も一昨日も海鮮丼だったから。
ルブランに居た頃も、夢乃はよくカレーとコーヒーを食べに毎日来ていた。どうやら彼女はハマると飽きるまで同じ物を食べる性格らしい。 そんな所も可愛いと思う。

「また海鮮丼になっちゃうよ?」

どうやら連日の海鮮丼に、他の仲間のお腹事情が気になるらしい。夢乃は申し訳無さそうな顔をこちらに向けた。 ハの字の眉が愛らしくって、俺は多分今、ニヤついてしまっているだろう。

「…どういう顔?」
「あー…うん。 可愛いなって思って見惚れてた」
「もう」

そういうのいいから!とペチペチ背中を叩かれるが、それが俺にとってはご褒美なことを夢乃は未だに気づいてない。

「海鮮丼美味しいから、皆もきっと喜んで食べるよ」
「美味しいのは否定しないけど…竜司あたりがそろそろ嫌がりそう」
「味で黙らせる」
「うー…いやダメだよ、今日はみんなの食べたいものにしよう」
「海鮮丼がいい」
「じゃあ海鮮丼に1票ね」
「俺が作るのに、俺の食べたいものじゃダメなの?」
「…君は私の食べたいものが食べたいものなんでしょ?」
「うん」
「今チャット送ったよ、みんな見るかなあ」
「夢乃?」

そういえば…同じものを繰り返し食べ続ける人は、依存体質なことが多いってネットで見たな。 そのまま俺にハマって依存してくれればいいのに。


「あ、祐介はカレーがいいって。…双葉もカレーだ、あの2人は本当にカレー好きだね」
「マスター直伝のカレーだからな、俺の十八番」
「だねえ。 私も君の作るカレー大好きだよ、美味しいもん」

くしゃりと微笑む夢乃が愛おしくて、思わず抱きしめた。 甘い花のような香りを肺いっぱいに吸い込んで彼女を見ると、困ったような顔で微笑みを浮かべている。

「ここがキャンピングカーで良かったね。 街中だったら蹴り上げてたよ」
「どこを?」
「聞きたいの?」
「うん」

意地悪く笑いながら夢乃の腰を引き寄せた。その細くて薄い曲線に、俺は何時もの事ながら胸が高鳴る。 汗ばんだ額にパラパラと前髪が散らばり、隙間からブラウンの瞳がユラユラと俺を上目遣いに捉えた。

「分かってるくせに。 いじわる」
「うっ…… その『いじわる』の言い方、可愛い…」

堪らず白い首筋に吸い付いて、抱きしめる両の腕に力を込める。 ぢゅっと唾液混じりの音が聞こえると、「バカ!」と小さい叫び声が耳に届いた。 小さい身を捩りながら、俺の腕を抜けようとする夢乃の手を取り、ぐらりと重心を崩して、そのままテーブルに縫いつけた。
薄く開かれた朱色の唇に喰らいつくと、ビクンと夢乃の身体が跳ねる。

「れ、れん……!ん…っ」
「…俺、夢乃の汗の匂い、すごい好き」
「におうから…っ 」
「いい匂いだ」

耳の裏から鎖骨まで、夢乃の香りを堪能しながら皮膚を吸った。 可愛らしい花の香りから、次第に甘ったるい甘美な香りへと移ろっていく。 バタバタと抵抗する脚を、片方捕まえて持ち上げてやると、夢乃は羞恥を孕んだ瞳で俺を見上げた。

「へ、へんたい…」
「可愛いこと言わないでくれ…」
「貶してるんだけど!?」
「俺にとってご褒美でしかないって言ってるでしょ」
「と、とにかく離して…?恥ずかしい…」

両手を俺に掴まれているせいで、脚の間を隠す術がない夢乃は、空いている脚を内股に揺らしながら顔を赤らめる。 俺の視線が恥ずかしいのか、横をむく夢乃の無防備な首筋は、「食べてください」とでも言うかの如く俺を扇情的に煽った。 どくどくと俺の血液が下半身に集中していくのを感じる。

「あー…」

夢乃は夏なのに、日焼けを気にして露出度の低い服を着ている。 UVカットのカーディガンに、太ももからつま先まで黒タイツ。 しかし露出した白い首筋が、露出の無い身体と相俟って、余計に俺の性的興奮を誘う。

角度を変えて何度もキスをして、肌触りの良いタイツを太股越しに撫でると、ピクリと身体を震わせながら夢乃は俺の背中にしがみついた。

「ま、まって…!」
「だめ、待てない」
「あっ、ちょっと…んぅ、…は」
「…流石に、車で最後まではしないから…」
「き、みが、途中でやめたこと、な……っ」
「夢乃、大好き。あいしてる」

胃袋も身体も心も、全部俺に依存しちゃえばいのに。 最早煽るしか意味のない弱々しく甘い抵抗に、俺の頭の中は夢乃一色に犯され、いとおしさのあまりあ彼女の唇に噛み付いた。






祐介 : 結局、今日の晩飯はどうなるんだ?
双葉 : カレー!!!!
竜司 : いや、ラーメンだろ!?
杏 : お好み焼きじゃないの?
真 : 言い出しっぺの夢乃が来ないわね…
双葉 : カレーで決まりだなっ!!
竜司 : なんでだよっ!
春 : 夢乃ちゃんはきっと海鮮丼だよね!私も海鮮丼食べたいな
竜司 : 昨日も食ったじゃねーか
祐介 : 美味いものは美味いからな。俺は一向に構わん
真 : 来ないわね、夢乃。 そういえば蓮も来ないけど…
杏 : あー
竜司 : あー
双葉 : 解散っ!! 各自しっかり時間を潰せーっ! 間違ってもキャンピングカーへ戻ったりするなよ〜
真 : えっ どうして?
祐介 : 替えの鉛筆を取りに行きたいんだが
竜司 : しゃーねーなっ 美味いもん奢ってやんよ
祐介 : 本当か!? 今どこにいるんだ? すぐに向かおう!
双葉 : ナイス竜司〜


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