06「んーん。文、へーきだよ」


それから時間がたちました。
今、猫の文次郎は人間の文次郎から貰った小さな軽いそろばんで遊んでいました。
何故か団蔵くんたちのそろばんは重たくてビクともしなかったからです。
会計室に眠たい雰囲気が充満しかけた時、猫の文次郎の後ろに、人間の文次郎が来ました。

「もう夜も遅いから、先に長屋の部屋に戻っていろ」

確かに猫の文次郎はこの時間は、いつもならもう寝ている時間です。
けれど猫の文次郎はニコッと笑って、



「んーん。文、へーきだよ」
「そうか?」
「そろばんで遊ぶのたのしいからまだへーき」

そして見せ付けるように、そろばんを弾きました。
滅茶苦茶に弾かれたそろばんを見て、人間の文次郎は苦笑します。

「そうか。眠くなったら言うんだぞ」
「うん」

この会話に田村先輩は、

(これ私たちにも言ってくれないかなぁ…)

と思いました。




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