06「んーん。文、へーきだよ」


それから更に時間がたちました。

「潮江先輩…これは、」
「なぜこうなった?」



日付が変わる少し前になって、団蔵くん、左吉くん、左門先輩はみんな眠ってしまいました。
しかしその中で未だ元気な子猫がいます。
猫の文次郎は嬉しそうに、眠っている団蔵くんの指をしゃぶっています。

「おーい。小さい猫ー? おまえは眠くないのか?」

田村先輩がそう聞くと、

「ぜーんぜん、へーき!」

そういってまた団蔵くんの指をしゃぶりました。





「しっかし、あの子猫。全然寝ませんね」
「ああ。大丈夫か?」
「それにしても、あの子猫。指、しゃぶりすぎですよ。団蔵の両手びちょびちょですよ」
「何言っているんだ。俺は毎朝そうだぞ」
「!?」

そして会計室の襖が勢い良く開かれ、

「毎晩猫にしゃぶられてるって本当かっ、文次郎!!!!」

血走った目の食満先輩があらわれましたとさ。




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