03「や!これ文がやるの!」
しかし体の小さな猫の文次郎は、だんだん疲れてしまいました。
中身をかきまぜる速さがどんどん遅くなります。
それを見た長次は猫の文次郎からボウルを取ろうとしました。
のびてきた長次の手に気がついた猫の文次郎は驚きます。
「ちょ、ちょーじ…?」
「…疲れただろう…あとは私がする」
猫の文次郎はさらに驚いてしまいました。
「んーん!できる!」
長次にとられてしまわぬよう、必死にボウルを抱え込みます。
「しかし…」
確かに料理の得意な長次が作ったほうが良いのかもしれません。
けれど猫の文次郎はどうしても自分の手作りを猫の留三郎に食べてほしいのです。
ついには涙を浮かべて、
「や!これ文がやるの!」
と叫びました。
これを見た長次は少し考え込んで、言いました。
「……最後までできるか?」
長次の黒い目をじっと見つめ返して、猫の文次郎は言います。
「うん!もん、やれる!」
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