第三話「決意」


「黒男さん…」

未来は夜

普段着のままベッドで横になるブラックジャックに

心配そうに声をかけた。

心配すぎて未来の身は

引き裂かれそうだった。

「未来…

私は幼い頃、不発弾の爆発に巻き込まれたんだ」

苦しそうにブラックジャックは

ぽつりぽつりと自分の過去を話し始めた。

身体がバラバラになった親子

本間医師の奇跡のオペ

お父さんを許してあげましょうと言い残して

亡くなった母…

「そんなことが…」

気がついたら未来は泣いていた。

ブラックジャックの過去は初めて聞いたが

あまりにも悲しすぎると思ったのだ。

「私の為に泣いてくれるのか?」

「当たり前だよ。

夫婦なんだから」

目をこすりながら未来は言った。

未来の心からの言葉に

ブラックジャックは穏やかな笑顔になった。

「ありがとう、未来」

そんな未来をブラックジャックは

ぎゅうっと強く抱きしめて

「ちょっと留守にする」

何かを決意したように外に出た。

それを未来は信頼して見送った。


「こんなに心配しているのに

ピノコの事をどう思ってるのよ!」

しかし逆に

ブラックジャックのために御馳走を作っていたピノコは

そう怒った。

「ピノコちゃん

黒男さんはきっと、とても大事な用があるのよ」

そんなピノコをフォローしたのは未来だった。

「うーん、未来がそこまで言うなら…」

ピノコはまだ納得いかないようだったが

未来の声に怒りは収まったようだった。


to be continued