第二話「黒男」


未来とピノコはブラックジャックを信じて

帰ってくる日をずっとで待っていた。

「お待たせ」

すぐにブラックジャックは釈放され

また元のような生活が戻って来た。

あの留守番電話を聞くまでは…。

『黒男…私だ影三(かげみつ)だ。

お前に会いたい』

そんな内容の留守番電話が何度も録音された。

それを聞くたびに未来は胸騒ぎがした。

「ちぇんちぇー!

また同じ人からお仕事の電話だよ?」

「間違い電話だよ」

ピノコの問いにブラックジャックは

歩きながらそう言った。

未来から見たブラックジャックは

本当になんでもないという様子だった。

「でも黒男って…」

未来も心配そうにブラックジャックを見た。

先日からあった言いようのない不安が

未来の中でどんどん大きくなる。

「私の事は気にしないでくれ」

「でも顔色悪いのよさ!」

ピノコはブラックジャックを病室に強引に連れていき

口に体温計をくわえさせた。

「熱はないみたいね」

体温計を見て未来がつぶやいた。

「ピノコ、未来。

さっきも言ったが私の事は放っておいてくれ」

「でも…黒男って

ちぇんちぇーのことでしょ?」

「まあな。

ブラックジャックを日本語にすれば

黒男だからな」

ピノコの質問にブラックジャックは苦笑した。

「黒男さん…」

「お前さんに呼ばれるまで

自分の名前は忘れかけていたよ、未来」

戸惑いながら名前を呼んだ未来に

もう一度ブラックジャックは苦笑した。

どんどん悲劇が近づいているのを

この時三人は知らなかった。


to be continued