第三話「こっちから好きって言いたい」


朝、目が覚めてリビングに行くと

「おはようございます、愛しい未来」

ジェイドが不意打ちでそう言った。

「ぐはっ!」

あまりにも甘い言葉に

私は悶えて変な声を出してしまった。

ダメだ、過呼吸になりそう。

あれ?でも…。

「どうしたのです?

朝食、できてますよ」

「う、うん…」

私はあることに気がついてしまった。

オールドラントへ旅立つときから

ジェイドは何度も

「好き」

とか言ってくれる。

でも…私は全然言ってない!

これはまずいよね。

大好きなんだもん。

「ジェイド…あ、あの…」

「はい?」

私がしどろもどろに呼ぶと

ジェイドは首を傾げた。

なんでこの人はこんなに

私を萌えさせるのが

得意なんだ?

「あのね…えっと…」

「好き」その一言が

恥ずかしくて言えない。

「な、なんでもない!」

つい私はそうごまかしてしまった。


「あーあ」

ジェイドは執務室へ向かい

私は街並みを歩いていた。

「未来じゃないか」

すると爽やかな声が聞こえる。

「ガイ!」

「また会ったね。

ジェイドの旦那は?」

「今は仕事中で…

私もなにか働こうかな〜なんて」

それは本当だった。

居候は申し訳ないし。

「そっか。

けど、さっきのため息は

それだけじゃない気がするんだが…」

「うっ」

図星で私は驚いた。

でもガイなら話してもいいかな?


「旦那も愛されてるなぁ」

ハハとガイは笑う。

「もう!本気で悩んでるのに」

「悪い悪い。

お!噂をすれば来たぞ?」

「え?」

ガイが指差した方に

ジェイドが歩いてきた。

「ほら!頑張れ!」

ガイは私にウインクをし

「旦那〜!

未来は話があるらしいぞ」

「が、ガイ!」

「おや、嬉しいですね」

私は慌てたが

ジェイドは本当に嬉しそうに歩いてきた。

「じぇ、ジェイド…あの…」

今朝のように私は口ごもってしまう。

でも…



A.「好き」
B.「お仕事、お疲れ様」

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