第五話「合流先と妖獣のアリエッタ」


未来達はアニスが無事だと信じて

合流先であるセントビナーへたどり着いた。

ジェイドと未来が名乗って

マルクト軍の基地(ベース)へ入ると

マクガヴァン将軍と

引退をしたらしいマクガヴァン元帥がいた。

「おお!ジェイド坊やか!」

マクガヴァン元帥は

ジェイドを見て嬉しそうだった。

「ジェイド坊や、ね。

あとで呼んであげたいわ」

「未来〜聞こえてますよ?」

ジェイドがニヤリと未来に笑った。

「ん?そこのお嬢さんは?」

「私はマルクト帝国軍第一師団所属

未来中佐です」

「あなたが噂の堕天使未来ですか?」

少し離れた場所から見ていた

マクガヴァン将軍が驚いた。

「ほほう、ジェイド…

いいお嬢さんを見つけたな」

マクガヴァン元帥がジェイドと未来を見て

意味深に笑った。

「わ、私は一緒に任務をしているだけです!」

「そうなのか?こんなにかわいらしいのに…」

マクガヴァン元帥はさらに笑う。

「かわいらしい?ですか?」

未来は照れたが

「私は軍人です。

ともかくジェイドとは

任務以外は関りはありません!」

きっぱりと言った。

「おやー傷つきますよ、未来」

否定した未来に

ジェイドはいつもの笑顔で言った。

「カーティス大佐。御用向きは?」

いつまでも雑談すると思ったのか

マクガヴァン将軍は咳払いをした。

アニスからの手紙は

マクガヴァン将軍が持っていて

ジェイドが読んだが

「どうやら半分はあなた宛のようです。

どうぞ」

とルークに渡した。

そこにはハートがたくさんある

ラブレターと化した文が書かれていた。

「目が滑る…」

「アニスらしいわね」

そこにいたジェイドを除いた人が苦笑した。

しかし手紙にはちゃんと

「神託の盾兵が町を封鎖するので

第二地点に向かう」

とも書いてあった。

どうやら第二地点は

フーブラス川を渡った先にあるカイツールらしく

そこへ向かうことにした。

しかし町を出ようとすると

神託の盾の六神将がいた。

ジェイドがタルタロスで殺そうとしたラルゴもいて

未来達がカイツールへ向かうと予測していた。

「しまった…ラルゴを殺り損ねましたか」

「ジェイドのあの攻撃で、生きてるなんて…」

ジェイドも未来も悔しい気持ちになった。

ルークとティアは

ヴァンが戦争を起こそうとしているか

とけんかになったが

ガイになだめられた。

「終わったみたいですねぇ。

それではカイツールへ向かいましょうか」

「ジェイド…あなた、いい性格しているわね」

「未来、ほめ言葉として受け取りますよ」

ジェイドは未来にそう言って

先に町の出口まで行き

未来達も後に続いた。


カイツールに向かう前にイオン様の要望で

宿屋で休むことにした。

話を聞くと、イオン様はタルタロスから

セフィロトへ連れ出されたらしい。

「セフィロトで一体何を…」

「言えません。教団の極秘事項です」

申し訳なさそうにイオン様は言った。

「なんだよ、けちくせえな。

ところでジェイドは大丈夫なのか?

封印術をかけられたし…」

ルークはジェイドを心配そうに見た。

「そうよ…

封印術は身体能力も低下するのでしょ?」

未来はタルタロスで

自分をかばって封印術をかけられた

ジェイドの姿を思い出し

胸が苦しくなった。

「大丈夫ですよ、ルークに未来。

元の能力が違うので、多少の低下なら

戦闘力はみなさんと遜色ないかと」

「むかつく」

「すみません。根が正直なもので」

相変わらずのジェイドとルークのやり取りが終わり

全員は宿で休むことにして

各部屋に入っていった。

しかしジェイドはイオン様に背を向けて

考え事をしているようだった。

(ジェイド?)

未来は気になったが

なぜか声をかけてはいけない気がして

黙ってイオン様とジェイドがいる部屋を出た。


町を出ると

いつものように魔物が襲ってきたが

未来の譜術によって、ほとんどが倒された。

「なんだよ、俺たちの出る幕ねえじゃねーか」

「ご、ごめんなさい。ルーク」

未来は申し訳なくて、謝った。

「まあまあ、ルークのわがままに

いちいち謝ったらキリがないさ」

フォローをしたガイが、未来を見つめた。

「それより、あんな短い詠唱で

譜術を発動できるんだな」

未来はほとんど詠唱をせずに

譜術を扱っていた。

「小規模な譜術なら、ね」

未来は照れ笑いをしたが

「私も並み大抵のことじゃないと思うわ」

ティアまでガイの言葉を肯定した。

「そ、そんなことないわ」

しかし当の本人は自覚がなかった。

「謙遜するものではありませんよ、未来。

私は封印術で能力が低下していますから

心強いです」

「ジェイドまで…そんなことより

早くカイツールへ向かいましょうよ」

未来はほめられるのが、苦手だった。


カイツールへ向かうために

フーブラス川を越えようとしたが

妖獣のアリエッタが待ち伏せていた。

アリエッタが言うには

チーグルの森でルーク達が倒したライガが

彼女の母親代わりらしい。

「地の果てまで追いかけて…殺します!」

そう宣言したアリエッタが

攻撃しようとしたとき

地震が起き、猛毒の障気が噴き出した。

未来達はティアの譜歌で助かったが

アリエッタは気絶してしまう。

そして意識のないアリエッタに

ジェイドは槍を向けた。

「や、やめろ!」

ルークがとめようとしたが

ジェイドはアリエッタに一歩近づく。

「甘いのね、ルークは」

未来もジェイドの行動に賛成

と言わんばかりに

ルークを批判した。

しかしイオン様の願いもあり

ここでは見逃すことになった。

「なんだよ、二人して…」

ルークは、冷血な未来とジェイドを

気に入らなかったが

二人は構わずに歩き始めた。

軍人として、批判されるのには

慣れていたからだ。


to be continued

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