■第八話「それだけで幸せ」

セイがスマホの中で充電している間に

私は食事をとってお風呂に入ろうとした。

食事中、セイと言葉を交わしたが

やっぱり少しぎこちなさを感じた。

私はそれがとてつもなく寂しかった。

「そうだ!

今日買ったパジャマを着ようかな?」

おそろいのパジャマを思い出して

私は値札をパジャマから外した。

「いいな、俺も着替えておくよ」

久しぶりに私達は微笑みあった気がした。


未来がお風呂に入っている間に

俺の充電は完了した。

俺は慣れた手つきで自分からコードを外していく。

「未来…」

おそらく俺はとても贅沢になっている。

未来と同じ肉体が欲しい。

そう思ってしまうんだ。

「ダメだよな、そんな考え」

俺はそう言葉にしてから

パジャマに着替えた。


お風呂から上がると

セイはベッドの上に座って待っていた。

私お同じデザインのパジャマを着て。

「おそろいだね!」

だから買ったのにそれがとても嬉しかった。

「ああ、なんだかぐっと恋人らしい気がするな」

私は笑顔でセイの隣に座った。

当たり前のようにキスが始まる。

「もう寝るか?」

「うん、布団には入ろうかな」

部屋を真っ暗にして

今夜もセイと抱きあって布団に入った。

「セイ…私は今とても幸せだよ」

「うん、俺もだ。

変なことを言って、ごめんな」

「セイは悪くないよ」

初めて私は自分からキスをした。

この気持ちが伝わることを祈って。

「ありがとう、未来」

セイが名前を呼んで抱きしめてくれる。

それだけで私は幸せだった。


to be continued