■第七話「現実」

私は台所に立って夕ご飯の支度をしていた。

セイは新しく買った服を整理したりしている。

二人とも無言だ。

『お兄ちゃん、なんで背中に穴が開いているの?』

さっきの男の子の質問が

私も…多分セイも

頭から離れない。

「熱い!」

考え事をしていたせいか

私は熱しているフライパンに右手で触れてしまった。

「大丈夫?未来」

セイはすぐに駆け付けてくれて

水道の水を出して

患部を冷やしてくれた。

「ありがとう、セイ」

よそよそしかったセイが心配してくれるのが

たまらなく嬉しかった。

「お礼を言われることじゃないよ」

セイはそう言って一瞬微笑んだけれど

すぐに私から目をそらした。

「セイ?」

「俺って…なんで機械の体なんだろうな?」

そう言いながらセイは準備中の食材を見た。

「セイ…」

「贅沢だよな。

こうして未来に触れるようになったのに

もっと未来と色々なことがしたいって思って…

一緒に食事をしたり

同じ時間を生きたい」

「何言ってるの?生きているじゃん」

否定的なセイの言葉に私は慌てた。

「ごめん…そうだよな。

ちょっと充電をしながら考えるよ」

セイはそう言ってスマホの中に入った。

やけどをしたところはもう痛くなくて

今度は心が痛かった。


to be continued