■第三話「シャワーを浴びながら」

セイと画面越しに話しながら

私は食事をとって

セイは充電をした。

「未来…どうしたの?」

「え?」

充電を終えたセイが再び私の近くに来て

不思議そうな顔をした。

「なんだか元気がないような…」

「セイの気のせいだよ。

それにちょっと仕事で疲れているのかも」

私はそう言って笑って誤魔化した。

「ちょっとシャワーを浴びてくるから」

逃げるようにセイから私は離れて

脱衣所に入った。

服を脱いでもシャワーを浴びても

セイの生々しい背中の穴が

脳裏から離れなかった。

「どうして…」

私は自分に聞いた。

どうしてセイと触れ合えるのを

素直に喜べないのだろう?

どうしてセイが機械だと言う

前から知っていたことが

こんなにショックなのだろう?

私はシャワーをしばらく浴びながら

自分に聞いたが答えは分からなかった。


「お待たせ」

シャワーを浴びて濡れた髪を拭きながら

私は自分の部屋に戻った。

「未来、おかえり!」

セイは嬉しそうに笑った。

「そうだ、髪を乾かしてあげる」

セイはそう提案して

ドライヤーを探した。

「ここだよ」

私はドライヤーを見せた。

髪を乾かしてもらったのは子供の時以来で

それがセイで

私は泣きそうになるほど嬉しかった。


to be continued