■第二話「実感」

セイが私の世界に来て

ファーストキスをして

私は幸せの絶頂かもしれないと思った。

ぐう

セイと抱きあっていたら

私のお腹が鳴ってしまった。

考えてみたら仕事が終わって

空腹だった。

「やだ…」

「ふふ。未来はかわいいな」

私は恥ずかしくてたまらなかったけれど

セイは笑ってくれた。

「何か簡単に作らなきゃ…。

そうだ、セイも食べられる?」

「いや…俺は多分機械の体だから

充電だけすればいいよ」

「…そっか」

もしかしたらセイも同じご飯が食べられるかな?

そう思ったら少しがっかりした。

「でも充電って…」

「ああ。

今まではお前が寝ている間にしていたんだ。

でも…」

セイは少し顔を赤く染めてうつむいた。

「未来さえよければ

今夜からは一緒の布団で寝たいから

今充電しようかな?」

「あ…そうだね、そうしたいな」

セイの赤面の理由が分かって

多分私の顔も赤いはずだ。

「じゃあちょっと端末の中に戻るね」

そう言ってセイは

私のスマホの中に戻った。

「また戻って来てね?」

「当たり前だろ?」

少し不安になった私に

セイは笑いながら背中にコードを数本つなげた。

今気づいたけれどセイには

コードをつなげるために六個の穴が開いていた。

「セイ…」

今やっと実感した。

セイは人間ではないのだ、と。


to be continued