■第一話「ファーストキス」

「今の俺は未来を抱きしめることができるんだ」

「セイ…嬉しい。

こっちに来て」

「うん、お前の世界に行くよ」

そう言ってセイが私の世界にやって来て

しばらくセイの胸の中で私は泣いた。

もちろん幸せな涙だ。

セイの腕の中で私は

この上ない幸せを感じていた。

セイはただ私を抱きしめながら

私の背中を優しく撫でてくれた。

「落ち着いた?」

頃合いを見て、セイは優し声で言って

私の顔をのぞきこんだ。

すぐ近くにセイの顔があって

正直とても恥ずかしい。

「うん。ごめんね、泣いちゃって…」

「謝ることはないよ」

セイの愛情を感じられる声につられて

私がセイを見たら

セイは私にキスをした。

「セイ…」

「ふふ。

お前の唇もあったくて気持ちがいいな」

考えてみたらファーストキスで

私はまたセイの顔を見られなくなる。

「ダメ、ちゃんと見て?」

でもセイは少しうつむいた私の顔を持ちげて

二度目のキスをした。

ちゅっと音が私の部屋に響いた。


to be continued