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ストーカーをあぶり出すため、紗良は人通りのない路地裏を一人で歩くことになった。
一人と言っても、すぐ近くにカルマと学秀が控えている。

(何かあったらすぐ助けに入ってくれるとは言ってたけど……やっぱり緊張するなぁ)

しばらく歩いた後、紗良は2人に言われた作戦通りに後ろを振り返った。
紗良が突然振り向いたため、ストーカーは慌てて電柱の影に身を隠す。
一つ深呼吸をしてから、紗良は意を決してその人物に声をかけた。

「あの……さっきから私のあとをつけてきてますよね……?」

ストーカーがビクリと肩を震わせるのが見えた。

「な、何か用があるのならはっきり言って下さい……!」

紗良がそう言うと、ストーカーはようやく電柱の影から姿を現した。

「ちっ、見つかっちまったもんは仕方ねぇ……覚悟決めろ!」

そう言うとストーカーはズンズンと紗良の方へ迫ってきた。

(か、覚悟って何……!?)

紗良は怖くなり、踵を返して反対方向に逃げ出した。

「こ、来ないでっ……!」

「あ、おい待て逃げんな……!うわっ!?」

直後、ストーカーはカルマに足を引っ掛けられ盛大に転んだ。

「いってぇ……」

「気安く紗良に近づかないでくれる?」

そう言って倒れているストーカーを見下ろすようにして目の前に立ちはだかるカルマ。

学秀も出てきてその隣に並んだ。

「”法田コウジ。××中学2年◯組”か……」

学秀は学生証を手にしており、そこに書かれてある文字を淡々と読み上げた。

「なっ!いつの間に盗りやがった……!」

ストーカーもといコウジは学生証を奪い返そうとして立ち上がろうとするが、カルマに頭を押さえつけられ阻止される。

「ぐっ……!」

「ねぇ、ずっと紗良のあとを付け回して、一体何のつもり?」

「お、お前にはカンケーねぇだろ」

「ならば、君のストーカー行為を学校に報告させてもらうけど良いんだね?」

「ス、ストーカー!?俺が!?」

どうやら自分がストーカーをしていたという自覚は無かったらしい。

「あれはどう考えてもストーカーでしょ。紗良も怖がってんだけど」

「そ、そんなつもりじゃ……」

「じゃあどういうつもりな訳?」

カルマがそう問いかけると、コウジは押し黙った。

「反省も弁解もなし、か……」

学秀は呆れたようにはぁとため息を一つ吐いた。

「……が、学校にチクりたきゃ勝手にチクれよ!だいたい、ストーカーしてたっていう証拠なんて何も……」

「何言ってんの?証拠ならあるけど」

カルマはそう言うと、スマホの画面を相手に見せつけた。
そこには紗良の後をつけるコウジの姿がばっちりと録画されていた。

「これをあんたの学校と親と友達に送りつけて〜それからネットにも流しとこうかな」

ニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべるカルマ。

「そんな事になったら、君の立場はどうなるだろうね?」

カルマと学秀の2人に追い詰められ、コウジの顔面は蒼白になっていった。

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