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楽しい時間が過ぎるのはあっという間で、気がつけば外は暗くなり始めていた。

「今日は楽しかったね」

「うん、またみんなでクレープ食べに行こうよ」

「そうだね、また行こう。じゃあ僕はこっちだから」

そう言って渚はバイバイと手を振り、去って行った。

残された紗良とカルマも歩き出す。

「赤羽君も、家こっちなの?」

並んで歩きながら、紗良はカルマにそう質問した。

「いや、違うけど?」

「えっ!?」

予想外の答えにびっくりする紗良。

「家まで送るよ」

「……良いの?」

「また変なのに絡まれたりしたら大変だし。っていうか今日は断らないんだね」

そう言ってカルマは少し意地悪そうに笑った。

「あ、あの時はその……!ちょっと怖かったから……ごめんね?」

カルマと初めてあった日、怖くて逃げ帰ってしまった事を思い出し慌てて謝る紗良。

「別に気にしてないよ」

「よかった……」

ホッと胸を撫で下ろす紗良。そして少しの沈黙の後、

「……じゃあ、今は?」

とカルマに問いかけられた。

「え?」

「今はもう、怖くない?」

少しだけ真剣な様子でそう聞かれて、紗良もきちんと答えを返す。

「うん、怖くないよ。今日だって助けてくれたし……。赤羽君が本当は良い人だってもう知ってるから。だから、大丈夫」

そう言って紗良は優しく微笑んだ。

「ふーん、そっか」

紗良の答えを聞いてカルマも満足そうな様子だった。

「…でも、いつからかわれるかと思うと、ちょっと怖いかな」

と少し不満を漏らしてみた。

「だからそれは、紗良ちゃんが良いリアクションするのが悪いんだよ」

「そ、そんなぁ……」

そうこう話しているうちに、2人は紗良のアパートの前についた。

「ここ?」

「うん、送ってくれてありがとうね」

「いいよ。どうせ家帰っても誰も居なくて暇だし」

「……そうなの?」

カルマの両親はインド旅行に出かけており、今日は家に居ないらしい。

「コンビニでも寄って晩飯買って帰るかな」

そう言ってカルマは踵を返した。

「じゃあね〜紗良ちゃん」

「……っ!ま、待ってっ!」

紗良は去っていこうとするカルマの服の裾をとっさに掴んだ。

カルマは少し驚いたように振り返る。

「……なに?」

「あ、あの……」

「ん?」

「良かったら、うちで晩ごはん食べていかない……?」
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