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「寒いっ……!」
映画館の中は冷房がよく効いていて、紗良はぶるりと肩を震わせた。
「ハワイの室内はとにかく冷房が効いていますからね。皆さんちゃんと防寒の準備をして下さい。はい、どうぞ」
そう言って、殺せんせーから毛布を手渡される。
「わ、ありがとうございます」
その毛布は、ピンク色でハートの模様が散りばめられたとても可愛らしいデザインのものだった。
渚とカルマにも同じ毛布が渡される。
渚はともかく、カルマにはその毛布はひどく不釣り合いで、毛布を手に持って微妙な顔をしているカルマを見て、紗良は思わず、ふふっと笑みを零す。
「ちょっと、何笑ってんの」
カルマはそう言うと、紗良の頬をむぎゅっとつねった。
「い、いひゃい……! にゃにするの……!」
やめてと訴えるが、カルマはなかなか離してくれない。
見かねた渚が苦笑いしながら助け舟を出してくれた。
「カルマ君、それぐらいにしてあげなよ」
「えー」
ようやく解放された紗良は渚の後ろにさっと避難し、ヒリヒリと痛む頬をさすった。
「もう、カルマ君ひどい……」
「紗良が悪いんでしょー」
そんなやり取りをしていると、コーラとポップコーンを買いに行った殺せんせーが戻ってきた。
「ヌルフフフ、仲がいいですねぇ。はい、コーラとポップコーン。では、席に座りましょうか」
殺せんせー、渚、紗良、カルマの順で席につくと、殺せんせーがイヤホン型の触手を渡してきた。
「先生の触手を耳に。習ってない単語が出たら解説します。あとは頑張って楽しみながら聞き取りましょう」
ハワイの映画館まで連れて来て貰って、コーラにポップコーンまでご馳走してくれて、英単語の解説までしてもらって、至れり尽くせりだ。
紗良は幸せを感じながら、映画を視聴した。
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