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「なんだろう、あれ……」

教室に着くと、黒い大きな箱のようなものが教室の後ろに鎮座していた。
紗良が不思議に思っていると、カルマが「あーなるほどね」と納得したように言った。

「カルマ君、あれが何か知ってるの?」

「たぶん、転校生でしょ」

「えっ!?」

E組にやって来た転校生は、なんと人間ではなく機械だったのだ。

「自律思考固定砲台と申します。よろしくお願いします」

機械の液晶に少女の顔が映し出され、口をぱくぱくと動かして自己紹介をした。
政府は、殺せんせーが生徒に危害を加える事が出来ないという契約を逆手に取り、機械を生徒に仕立てあげたという訳だった。

「いいでしょう。自律思考固定砲台さん。あなたをE組に歓迎します!」

1時間目の授業が始まってしばらくして、ガコンという音がして紗良は驚いてそちらを見た。
自律思考固定砲台が銃器を取り出し殺せんせーに向けて発砲を始めた。
ものすごい量のBB 弾が教室内を飛び交う。
殺せんせーは、一度目の銃撃では全て弾を避けていたが、二度目では指先を破壊されてしまっていた。

その後もずっと固定砲台の攻撃は続き、紗良は一番後ろの席なので弾がとんでくる事はなかったが、とてもじゃないが授業に集中出来る状態ではなかった。

ちらりと左隣のカルマの方を見ると、もはや授業を受ける気は一切ないようで、机に突っ伏して寝てしまっていた。
右隣の席である寺坂は、発砲が始まる度にイライラした様子で固定砲台の方を睨み付けていた。

休み時間、紗良はぐったりとして机に項垂れた。

「はぁ。これからずっとこんな状態なのかな……」

「疲れてんね、紗良。大丈夫?」

「うん……。寺坂君がずっと睨んでて怖くて……」

「別に紗良のことを睨んでる訳じゃないでしょ」

「それは、そうなんだけどね……」

寺坂が睨んでいるのは紗良ではなく固定砲台の方だと分かってはいるのだが、紗良は位置的に自分が睨まれているような感じがして、正直少し怖い思いをしていた。

「んーじゃあ、とりあえず寺坂のこと処刑しとく?」

「え!? そ、それはいいよ……!」

「そう? あ、噂をすれば戻ってきた」

休み時間、教室の外へ出ていた寺坂が、ガムテープを片手に戻ってきた。
そしてあろうことか、固定砲台をガムテープでぐるぐる巻きにし始めた。

「て、寺坂君、何やってるの……?」

「見りゃ分かんだろ! もう銃を出せねぇようにしてんだよ!」

「そ、そんな……」

「へぇ、寺坂にしては気が利くじゃん」

「こいつ、ウチのクラスで好き勝手しやがって! ムカつくんだよ!!」

こんな風に拘束するのはさすがに可哀想だと思ったが、固定砲台の銃撃に皆が迷惑していたのも事実で、結局だれも寺坂を止めることはしなかった。
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