▼ No,2
ネコの隣、真っ赤な髪の幼馴染、深堀未来がスマホのカメラロールをスライドさせていて、肩に顔を乗せて腕にギュっと抱きついてそれをネコが覗き込んでいる。
「ああこれだ。こいつ、力也。」
クルリと画面をこちらに向けた未来に、私と嘉がそれを覗き込んだ。
「…興味ない。」
「………、」
シレっと答えた私をジッと見つめる嘉の熱い視線の意味はさすがに気付いてないとは言わない。でもだからって今まで何のアクションも起こしてこなかった嘉を、私の方から何かを言うこともなく、何かをすることすらない。正直男なら自分から来いって思うよね、普通。
まぁ最近の傾向と言えば、草食男子なんて言葉もあったかもしれないけど。
「リッキーこう見えて英語も喋れるし、基本誰とでも仲良くなれるフレンドリーなの。結構しぇんぱいとお似合いな気もするけど?カラオケ一緒にどうですか?って言ってたけど、行かない?」
「行かない。サル興味ない。カラオケも嘉と未来だけでいい。」
そう言ってお弁当の中にあった玉子焼きを一つ手に取って嘉の口に入れる。嬉しそうに微笑む嘉に、キュンとしない訳じゃない。
でも自分からなんてとてもじゃないけどいけない。興味ないフリして、本当の本当は思いっきり恋がしたいと思っているなんて。超絶面倒くさい奴だよね私なんて。
そんな事を話して過ぎたお昼休み。
二年の私と嘉は三階へ。一年のネコと未来は四階へと移動する。
分かれ道の階段の真ん中、そこで私達が通りがかるのを待っていたんだろうか?
「リッキー!」
ネコの声に彼の視線が真っ直ぐこちらに飛んできた。
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