ゆきりき | ナノ


▼ No,1

優しい彼氏だね、羨ましい!


なんてよく言われるけど、優しいだけで留まれるような奴ではなく、優しすぎるゆえに、私はいつもいつも不安だらけなんだ。




遡ること3ヶ月前。

初めて彼、奥田力也と話したのはちょうど今から3ヶ月前だった。




「ゆき乃しぇんぱい!ねぇねぇ、リッキーがしぇんぱいのことめっちゃ可愛いって言ってたよ!」


幼馴染の立花朝海。通称ネコ。小さい頃からネコって呼んでいるけど、どうしてネコになったのかもう覚えていない。

ただ、男ウケする彼女は、女子特有の群れるのが苦手で、男と一緒にいる事のが遥かに多いせいか、群れ女子達からの反感を食らっていた。最も本人はこれといって特に気にしてる風はないけれど。

そんなネコが唯一懐いている女が私で、ネコのさばさばした性格の中にある熱い感情が好きで、ついつい構ってしまうんだった。

そもそも私自身も女同士の群れがさほど好きではないから。


「リッキー?誰よそれ。」


お昼休み。屋上でみんなで昼食をとっている最中にそう言われた。


「え、聞いてない。」


私の隣、同じく幼馴染の加納嘉将こと嘉がちょっとネコの方に身を乗り出して口を挟んだ。


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