ゆきりき | ナノ


▼ No,3

一歩一歩私に近寄る彼に不意に嘉が身体を入れて視界を遮った。


「ゆき乃になんか用?」


トクンと胸が高鳴る。ちょっとだけうれしくてつい頬が緩んだのを未来に見られていて、ポコって頭を撫でられた。


「1年7組奥田力也です。僕と付き合ってください!」


…初対面で告白する奴初めて見た!とりあえず嘉の腕の奥からひょっこり顔を出すと、ニッコリ微笑むサル、もとい、力也。

突拍子のない告白劇にネコが大爆笑していて、反対に嘉は物凄い不機嫌な顔。対照的な2人を前に至って冷静な未来が印象的で。


「ごめんなさい。」


まぁ断るよね、普通。嘉の存在がどうとかってことじゃなくて、奥田力也と初めて喋ったわけで。知りも知らない男の告白を受けるほど馬鹿じゃない。


「だめかぁ〜〜!!!」


オデコに手を当ててオーバーリアクションで力也がひざまづく。ほんのり香る香水がちょっとだけ心地いいとか思ってしまったけど。



「OKする女いると思う?初対面で。」
「まぁ、俺のこと覚えて貰うのが目的やったし。ほんまは今すぐ付き合うて!って思ってますけどさすがにそんな馬鹿ちゃう。興味持ってくれませんか?」


…興味は持ったけど。…無言の私を未来がめちゃくちゃ凝視している。ついでに嘉と私を交互に見ていて…


「なるほど。未来ありがとう!」


通じたのか未来はニヒルに笑う。私を後ろに隠す嘉の腕から飛び出してサルの前に立つ。


「どこが好き?私の。」
「どこが、えっと笑顔と、あ勿論顔も。あとそのサラサラの髪触ってみたくて、他にも色々触れてみたい。なんていうか、身体が反応するんや、ゆき乃さんに。」


サルの言葉にちょっと感動。でもネコは「ただの欲求不満じゃん!しぇんぱいをエサにしたらオコだから!」なんて言ってる。そして嘉もワナワナしていて…。


「よっしー言い返さないの?」


未来の言葉に苦笑いの嘉。

ここで嘉が「俺のだ」ぐらい言ってくれてもいいような気もするけど。優しい上に、気弱な嘉には無理かも。そう思うと、このサルを見るのもいいのかもしれない、なんて。




-3-

prev / next

[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -