百人一首題-005

ここは熊本城のとある一室。
月明かりを肴に清正と宗茂は酒を飲み交わしていた。

「もう季節はすっかり秋だな」
「あぁ、そうだな」

矢のように過ぎていった激動の日々を思い返しながら清正は目を細めた。
父のように慕った秀吉の死後、築かれた泰平の世は脆くも崩れ去った。
各地で戦が起こり、三成が関ヶ原で倒れた。
壊さないようにと、絶対に守り抜いてみせると思っていた豊臣の家は紅蓮の炎の中に消えた。
いろいろなことが起こり過ぎたのだ。

互いに黙ったまま杯を呷る。
火照る頬に秋の夜風が気持ちいい。
目を閉じてみると風に乗って鈴虫の泣く声が聞こえてきた。



「恋を求めて鳴くあの声は、俺の声だ」

今までずっと黙っていた宗茂が突然口を開いた。
意味が分からずに、端正だと言われるその顔を見つめる。

「鈴虫が鳴くのは求愛行為だろ?」

だからあの鈴虫の声は俺の声なんだ。
フッと笑った顔はいかにも女にモテそうな顔だ。
ただ清正は宗茂と同じ男なので何も感じないけれど。

「お前の言いたいことが分からん」
「馬鹿だな」

あっさりと言い切った宗茂に清正が立ち上がろうとしたが、手で制された。

「俺がお前に求愛してるっていう事だ」

自然と近付いてきた唇に思わず清正も目を閉じた。
離れていった雰囲気にゆっくり目を開けると、不敵に笑う宗茂がいたのだった。

*

雰囲気は思い通りに書けた気がする
けど内容はよくわからん感じになってしまったかな
そしてこれをDCでどう書くか全く考えつかないっていう、ね

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