12/30 ( 21:13 )

Q.バンビのどこを触るのが好き


琉夏「ぜんぶ、…全部は駄目?」
沙雪「琉夏君、触り魔の引っ付き虫だから…特に冬はもう!折角節約しておこた買ったのに!」
琉夏「だって沙雪の方がいいもん」

琥一「頬だな、スッゲー伸びるぞ。ほれ」
沙雪「ひたいひたいひゃめれ!ばか!」
琥一「あぁ?この間、俺の頬が伸びなくて面白くないって抓りまくったのはどこの誰だ」

嵐「…何でそんなこと聞くんだ」
深雪「嵐君、そんなにいやそうな顔しなくても…」
嵐「人に聞くことじゃないだろう」

新名「え、あ…、うん、脚?かなーなんて」
雪音「おっぱいとおしりより?えー、ウソだァ!」
新名「ちょ、そんな、俺が折角気ぃ使ったのに!」

紺野「答えないと駄目かな」
雪子「駄目…みたいですよ?」
紺野「じゃあ手だな。柔らかくて、暖かいよ」

S紺野「答えないと駄目かな」
雪子(玉緒さんの笑顔が怖い…)
S紺野「言いたくないんだけど」

藍沢「さわり心地は腹かな」
雪代「どうせ私は子供体型ですよ…」
藍沢「良いじゃないか、やわらかくて俺は好きだぞ」

大迫「髪、というか頭だな!」
雪代「えへ」
大迫「撫で心地が良いぞぉ」

平「う…あ…、やっぱり、あの、むね…かな」
雪代「そんなに照れなくても…」
平「き、君に触ることが出来るだけで、僕は…!」

太陽「先輩はぜんぶ素敵です!」
雪代「太陽君、あの、声が大きい…」
太陽「あったかいしいいにおいがするし!」

転換注意



雪隆「るぅはどこ触っても柔らかいからな。全身だ」
るぅ「私もユキのこと全部好きー!」

コウ「…―、悔しいけど、やっぱ男の方が良い筋肉してるよなァ」
雪隆「コウ、意外と尻が良い具合に引き締まって―痛い!本気で痛い!締めるな!」
コウ「黙れ黙れッ!」

らん「背中、かな」
雪隆「ん、なんでなんで」
らん「筋肉が綺麗にのってるから触っててきもちいい」

雪隆「センセーの?やっぱ胸。すげえの一言」
大迫「デリカシーのかけらもないなァ」
雪隆(こーやって露骨な事言っても照れもしない)



12/29 ( 12:07 )

つよデレ

 新名

 人生における目標で、師匠と呼んでも大げさではない人物に出会えたことはこの上も無い幸運だと、新名は振
り返る。さらに、迷い、逃げそうになる自分をいつも見守ってくれる人に出会えたことも、有り余る程の幸せで
ある、とも。

 三年生が部活を引退した日。夕暮れの中新名と雪音は並んで帰宅していた。いつもは騒がしいくらいにおしゃ
べりな二人なのに、今日は黙ったまま、歩いていた。
 やがて意を決したように雪音が顔を上げ、少し話があると新名を河川敷に引っ張った。
「ねえニーナ、私はキミにこのまま柔道を続けて欲しい、好きな方に進めなんて言えないよ」
 臨時雇いの柔道部マネージャーと本人は言っていたが、嵐と大迫に頼られ後輩達からも慕われていた雪音は泣
き笑いの顔で新名に告げた。自由でやりたいことに邁進する彼女は束縛を嫌い、他人にも強制をすることは殆ど
無い。嵐に一体大からの引き抜きが来たときですら、私や柔道部のことは気にせず、君の望む方に進めと真っ直
ぐ伝えたらしい。
「雪音ちゃん、オレは…」
「知ってる。ニーナ頭いいからきっと一流大だって行けるし、要領もいいから就職だって出来る。ファッション
関係の夢だって望めば叶える力をキミは持っている」
 だけど、と雪音は俯いた。
「私は…、私は、柔道を続けて欲しい。でも、私がこんな風に言ったからって、それを理由に続けてほしくは無
い」
 雪音の背後で燃える様な夕日が今にも山稜に消えようとしていた。逆光になって、彼女の表情は見えない。
「不二山があんまり必死だったから見てらんなくてさ、ちょっと手伝うつもりでマネージャーになったけど、三
年間凄く楽しかった。特にニーナや皆が入部してからは、毎日楽しくてつい入り浸っちゃた」
「入り浸るなんて…、雪音ちゃんはマネージャーだろ?」
「だって…、私、汗臭いのキライだったし熱血とかダサいって…さんざん馬鹿にしてたのに…。不二山が強くな
るのも、ニーナが試合に勝つのも、皆で団体戦で初勝利したときも、嬉しくて嬉しくて…」
 ぐす、と鼻をすする音が聞こえる。強い彼女の初めて見せる弱音に新名は動揺した。
「そんなのオレも一緒だって。マジダセエって思ってたし。でも今は超楽しい、ね」
 秋の日は落ちるのが早く、どんどん周囲が暗くなっていく。逆光も薄れ、次第に薄闇の中雪音の泣き顔が浮か
び上がってきた。ばれない程度に化粧をしている彼女の顔は、マスカラが落ちた所為で目の周りが黒くなってい
る。
「泣かないで、雪音ちゃん」
「う、うぇ…ニーナぁ、ごめんねえ、わがまま言って、ぐす、ひっ、って、不二山と大迫ちゃんが、ニーナは
まだまだ強くなるって、言ってたのっ」
 勇気を出して新名が伸ばした腕に、ついに雪音は泣き出してしまう。
「ニーナぁ、さみしいよお、引退なんてしたくないよぉ…」
「うん、オレもさみしい」
 柔らかな体温と驚くほどに頼りない体躯を抱き締める。何だかんだいって部活設立からの苦難の道を、メンタ
ル面で支え続けたのは雪音なのだ。本人が言うほどにその存在感は軽くはない。
 それは、新名の中でも同じだった。
 街で見かけた可愛い子、同じくらい見た目がいいなら幾らでも代わりの利く存在だったのに、いつの間にかか
けがえのない人へと変わっていた。柔道という予定外の要素が入ったのは偶然だったが、それがなくても結局彼
女は新名の特別になっていたような気がする。
「引退しても、卒業しても、そんなの形だけじゃん」
「うん…」
 こくんと頷く腕の中の雪音を見て、そう、形だけと心中繰り返す。本人同士の気持ちの問題なのだと。
「オレ、雪音ちゃんのこと…」
「ありがとニーナ!そうだよね、これっきりでぶっつり会えなくなるわけじゃないし!」
 がば、と泣いた跡を残したままそれでも笑顔で雪音は新名を見つめる。
 勢いで告白しそうになっていた新名は言葉を引っ込め、はは、と引きつった笑いを零す。
「顔ぐっちゃぐちゃでしょ?ニーナ以外に見せらんないよー、あはは!」
「あ、あははは」
 半ば空元気気味に発された言葉は、親密さを示すものなのかまるっきり恋愛対象として見られていないのか、
判断がつかない。
 ちょっとまっててね、と鏡を覗き込む雪音を待ちながら、新名は歯がゆさに地面を蹴った。



12/28 ( 08:15 )

不器用な彼女を許してください

S紺野バンビと真っ黒みよちゃん 

「村田さん、結構長くここでバイトしてるよね」
 アナスタシアのカフェスペースで、雪子は見知らぬ客の男に話しかけられた。いきなり名前を呼ばれたのには
驚いたが、胸にネームプレートを付けているので不審なことではない、と気を落ち着ける。
「は、はい、高校に入ってすぐ始めたから、長いと言えば長い、です」
「じゃあ今三年生?」
 簡単に逆算した客に、今度こそ驚きを隠しえない。ずっと見られていたのかと思うと、親しみより恐怖が湧き
上がってくる。
「そ、そうです」
「じゃあ、もう受験だね。バイトもあんまり来れないでしょ?中々キミにあえなくなると思うと寂しいな」
 男は何気なしに馴染みの店員がいなくなることを憂いただけかもしれない、だが完全に雪子は混乱してしまっ
た。しかし客をぞんざいに扱うことも逃げることも出来ない。
「村田さんー、レジお願いしまーす」
 おどおどしながら客の前に棒立ちになっている雪子を救うように、高く可愛らしい声が販売スペースの方から
響く。勢いよく振り返ると、困ったような顔をしたみよが手招きをしていた。
「で、では、ごゆっくり、どうぞ」
 三年間でやっと染み付いた接客用語を何とか搾り出し、早足で友人の下へと逃げる。
「バンビ、大丈夫?」
 小柄なみよが見上げてくる。彼女の大きな猫目には不安と呆れが見える。
「ありがとうミヨ、ごめんね」
「ああいう客はそうですね、はいそうですね、で流せばいいの」
 うん、と頷くもやはり雪子はまだ動揺しているようだった。
 不器用で優しすぎるほどにやさしい友人のことをみよは好ましく思っていたが、いつか事件に巻き込まれそう
で怖くて仕方がないときもある。今もあからさまなナンパに嵌りそうになっていたのに、気付かない上男にまで
気を使い手を握られそうになっていた。
 暫く客のあしらい方について、何度目か分からないお説教をしていると、ドアベルが鳴った。
「いらっしゃいま、せ…」
「やあ」
 また厄介なのが来た、とみよは溜息をつく。
 去年までのはばたき高校生徒会長で、この不器用な友人の恋人である紺野が笑顔で立っていた。
 中等部の頃からお互いそれなりに有名人で共に人の裏を読む事に長けるみよと紺野は、直接の会話は滅多にし
ないが水面下での駆け引きは行っていた。特に今も嬉しさを隠すことも出来ずに頬を染めている少女絡みでは、
し烈な駆け引きを繰り返している。
「いらっしゃいませ、ご注文がお決まりでしたらお声かけください」
 暗に注文以外で喋るな、と釘を刺す。雪子も裏に下がらせようかとも思うがそこまですると露骨だろうと思い
とどまる。
「そうだな、ねえ君のお勧めってどれ」
「え、あと、かぼちゃのタルトが、今の季節限定でおすすめ、です」
 注文をしつつ上手く会話に持ち込む紺野のやり口に、みよは口を歪める。しどろもどろになりながら嬉しそう
にケーキの説明をする雪子だけが、冷たい空気に気付いていない。
 別に友人が紺野と付き合うことを否定しているわけではない、むしろ請われたら応援だってしている。しかし、
本音と建前を使い分け、狡猾に物事を進めることが出来る紺野のことはあまり好きではない。そのやりくちが自
分と似ているから、余計にだ。
 出来れば雪子にはあの心優しい桜井兄弟のどちらかとくっ付いて欲しかったのだが、紺野の罠に気付けなかっ
た自分の落ち度もあると歯噛みする。
 それに、心底楽しそうに紺野と会話する友人を見ているとまあ良いか、と言う気持ちになる。
 彼女が幸せであること、それだけはみよと紺野共通の願いなのだから。




12/23 ( 23:11 )

書いている人の脳内で、深雪という名前が嵐の嫁状態になってしまいましたよって新名くんの恋人は雪音ちゃんになります。
とりあえず『雪』の字がついていればバンビなので、申し訳有りませんが名称使い分けにお付き合い下さい。


マフラー

バンビ大1新名高三冬

 冬だから、と何の前置きもなしに、年上の恋人からマフラーをプレゼントされた。
「え?なんで、いいの」
「うん、こないだウチの店に入荷したときから、絶対ニーナに似合うって思ってたんだ」
 にこにこ笑う雪音は、早速とばかりにくるくると新名の首にマフラーを巻き首の横で可愛らしく蝶結びをした。
「うん可愛い可愛い!似合う似合う!」
 満足そうに飛び跳ねる彼女は可愛いが、褒め言葉に引っ掛かりを覚えてしまう。この間嵐に手袋を押し付けた
ときは格好良いとべた褒めだったのに。
「雪音ちゃん、オレ可愛い?」
「うん、可愛いしカッコイイしニーナ最高!」
 テンションの上がった彼女から望んでいた言葉が投げられる。イマイチ言葉が軽いような気もしないでもない
が、とりあえず心は満たされる。
「でもさー、新名さ、逞しくなったよね?」
「え、なんで」
 何だかんだいって街で出会ってから四年経っている。聡い雪音のことだ、何かしら新名の変化を見ていたのか
もしれない。
「いまマフラー巻いて思ったんだけど、首太くなってる」
「ゲ、マジで?あんま嬉しくないんですケド」
 柔道は好きになったが、やはり猪首で耳の潰れ肩の盛り上がったスタイルは出切ればお断りしたい新名である。
「ううん、良いじゃない。見せるための筋肉じゃなくてさ、芯のしっかりした格闘家っぽいカラダだよ?オレ脱
いでも凄いんです出来るじゃん」
「オレ、脱いでも凄い?」
 身なりに気を遣うのは好きだが、自分の裸をまじまじと観察する趣味は持っていない。無意識に、だがそう雪
音に聞いてしまう。
「そ、そう、ね?まぁ…すごい…んじゃない?」
 急に真っ赤になって、テンションの下がる雪音にしまったと新名も赤くなる。
 雪音が高校を卒業したその日に、新名は彼女に告白をした。ずっと好きだった、諦められない、と真摯に伝え
た言葉は成就し、晴れてお付き合いすることになったのだ。ずっと堪えていた思いは堰を切って溢れ新名を暴走
させ、小悪魔なくせに初心な雪音もそれを止められず、ずぶずぶと二人は事あるごとに抱き合った。
 だから、新名の体を一番知っているのは雪音だということになる。
「あー、うん、ありがと。すっげーあったかい」
「本当?あったかい?良かったー!」
 あはははは、と空々しい会話を繰り返す二人は、手を繋ぐことも出来ずにぎくしゃくと歩き始めた。



12/22 ( 07:29 )

新名とサブカルバンビさん

 お金たまったし、ずっと行きたかったから、と大学の夏季休暇が始まるなり雪音は一人キューバへ旅立ってし
まった。
 高三の夏休みは受験対策と部活の〆で忙しいが、遊ぶ時間を作ることは出来る。新名だって、土日は年上の恋
人と遊ぶべく計画を練っていたのに思い切りその腕は空を切った。
 毎日、写真つきのメールが来る。沖縄やグアムなど南国のそれとは違う、中米の色。アマゾンのような木々と
古いヨーロッパを思わせる町並みに、岩だらけの海岸と意外に深い海の色。路上で自由に楽器を奏でる人々。正
直、いいな、と思った。
 雪音と居るといつも新しい世界が目の前に開ける。情報に敏感というくくりでも新名と彼女は全く違う方向を
向いている、平たく言えばあちらはサブカルだ。

 明日帰国するよ、とのメールを受けていそいそと新名は空港へ出向いた。ニーナ!と手を降りながら大きなナ
ップザックを背負い、カメラを斜めがけした彼女が駆け寄ってくる。
「おかえり、雪音さん!」
「ただいま!ねえごめんニーナ、今日ヒマ?」
 もちろんヒマ、と答える。荷物持ちでも写真の整理でもドンと来いだ。

「遊園地行かない?」

 空港から、はばたき市内へではなく隣の市にある遊園地へバスで向かう。旅行用カメラバッグの底からしまっ
たまま忘れていた遊園地の招待券が出てきたらしい。期限ギリギリのそれをもったいなく思い、雪音はこのよう
な暴挙に出たということだ。
「別に疲れてないから、心配しなくても大丈夫大丈夫」
「マジで?」
 うん、と笑顔で頷く彼女の顔には疲労の色が無い。雑貨店アルバイトと写真撮影活動の合間に、柔道部の臨時
マネージャーをこなしていたバイタリティは伊達じゃなかった。
 くしゃくしゃの封筒の中に同封されていたパンフレットを広げ、新名は顔をしかめる。
「ってかさー、この遊園地コースターばっかじゃん」
「それが売りだからね。でも大丈夫、もういっこはばたきには無いイイのがあるの」
 なになに、と聞いても教えてもらえず、仮眠するから着いたら起こして、と寄りかかってきた柔らかな体に誤
魔化される事にした。

 遊園地の北側には草原が広がり、アスレチックやツリーハウスが点在していた。さらに、自転車をはじめ色々
なものが貸し出されている。
「草スキー…」
「そう、そりじゃないよ。ちゃんと冬スキーの夏版」
 座り込んでローラーの付いたスキー板を履く雪音を手伝い、新名は自分もサポーターを付ける。なだらかな緑
の丘はきちんと整備されておりスキーコース然としていた。家族連れは殆ど居らず、オフシーズンのスキーヤー
ばかりだ。
「さー滑るぞー!」
「おー?」
 ざっ、とストックをかざして結構なスピードで滑降する細い背中を追いかける。
 みなさん、あのひとアメリカから十三時間飛行機に乗った後なんですよ。信じられますか。
「ニーナはなんでもそつなく出来るよね、スキーも上手上手」
 何度も転んでそれでも笑顔の恋人は、そういってよしよしと新名の頭を撫でてくる。いつまでも抜けない彼女
の撫で癖にちょっとため息をつく。
「アリガトウゴザイマス」
「じゃあ、次はあれー」
 指差された先には、直径三メートル程はあろうかという透明なビニール球が転がっていた。
「あれ…?」
 看板にはゾーブと書いてあるが、あまり人気はないようだった。
「大きなビニールボールの中に入って丘の上からただ転げ落ちる遊び、だって」
 ああ、もう目がきらきらしている。だめだ、だれも彼女を止められない。

 そうやって日が暮れるまで引きずり回されたあと、丘の上で少し遠い遊園地の花火を眺める。
「ね、ニーナが大学合格したら二人でどっか行こうね」
「…海外は無理っすよ」
 そう言うと、じゃあ四国か山陰ね!とシブい答えが返ってくる。でもどこでも、雪音と一緒ならきっとたくさ
ん楽しいことや目新しいことがあるはずだ。
 やがて花火が終わって、辺りが静かになる。それでも新名にもたれたまま動かない彼女はぼうっと空を見てい
る。楽しい時間の終わりを認めるのが嫌なのだ。
「じゅんぺー…」
 ぎゅっと甘えるように寄り添い、名前で呼ばれる。それは、さみしいというサイン。
「アンタのそーいうとこ、ずるい」
 抱き返して、キスをする。いつもは手入れを欠かさない彼女の唇が、旅行とフライトのせいか乾いていて新鮮
だった。
 そのまま、申し訳なさそうに帰宅を促す係員に割って入られるまで、ずっと二人でそうしていた。




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