起きると夕方だった。
むくりとベッドから起き上がろうとする。
「………」
腰、いて〜〜〜〜〜!!!!
まぶた、おも〜〜〜〜〜!!!!
背骨、しんでる〜〜〜〜〜!!!!
「川本マジ許さん……」
おふとんにくるまってぶつぶつ恨み言を吐いていると、1DKのマンションのドアが開いた。
で、ベッドルームに続くドアが開いたので、ぎろっと睨みつける。
「地獄に落ちろ!」
「物騒だな、繊細な乙女ちゃん」
コンビニにでも行ってきたのか、白い袋をさげている。
こいつがコンビニに行くなんて珍しい、惣菜とかカップ麺は油が多すぎるって嫌っているのに。
「なに?からあげくんでも買ってきてくれたの?」
「んなわけねえだろ。薬局でしっぷ買ってきたんだよ」
「しっぷ!?じじくさっ」
「しっぷばかにすんな、おまえ、そんな偉い口叩いてっけどいらねーの、しっぷ」
「いる」
しっぷの箱を奪い取り、腰に貼ろうとしたけど体中ばきばきでうまく動かない。
うらめしい…。
「貼って」
「あ?」
「貼って!しにそうに体中いたいの!」
「あーはいはい」
布団をぺろっとめくって、川本さんはあたしに着せた自分のTシャツをまくった。
下半身はパンツしかはかされてないのは趣味なのか?
「どこ」
「まあ、一番痛いのは股の間ですけどね!」
「下品なビッチだな」
「お尻の割れ目のちょっと上らへんがめちゃ痛いです」
お尻の上にしっぷを貼ってもらって、あたしはご満悦である。
足をばたつかせると、川本さんを蹴ったらしい。
「いて、おまえふざけんな」
「人の穴を散々さんっざん掘りまくって気絶させた男にふざけんなとか言われたくない〜」
「もとはと言えばあおいが悪いんだろ」
「あたしィ?」
なんであたしが悪いの!?
「俺がいるのにほかの男にほいほい股開きやがって…」
「えっ」
なにそれ?
なんで、川本さんとご飯食べてるからってほかの男とセックスしたらいけないの?
「は?俺たち付き合ってるだろ」
「付き合ってないよ」
「はああ!?」
え?
ごはん一緒に食べたら付き合ってることになんの?
じゃああたし今まで相当な数の男女と交際してきたのでは???
「待て、待て待て待て……」
「言われなくても腰が痛くて動けんわ」
「え?こんだけ一緒に何気ない時間を過ごし?俺の飯まで食って?何度か家に泊まったりする仲で?付き合ってない???」
「そんなこと言ったらあたし女友達全員と付き合ってません?」
「…」
何度はぐのとなりで寝たことか。はぐなら俺のとなりで寝てるよ、ってか。ははっ。
シャレにならんどころか、蓮くんにころされそうだな。
「…俺の独り相撲かよ…」
「そうだよ」
「分かったよ」
あたしのお尻を跨いで馬乗りになったまま、川本さんはまじめな顔をして言った。
「俺と付き合って」
「……」
「はいかいいえで答えろ。ちなみにいいえの場合ここから出られなくなると思え」
「いや強制かよ」
もちろん、それは冗談とは思うものの、あたしは真剣に考えた。
川本さんのこと好きだと思う。それがラブとかライクとかあんまりそういうのは関係なく好き。
…いや、関係あるのか?
そもそも付き合うって何なの?
あたしにとってえっちするのって、ご飯食べるのと似たようなもので、寝るのとにたようなもので、つまりなんて言うか日常生活のひとつだ。
「…川本さんはあたしとどうなりたいの?」
「どう?って?」
「あたし、付き合うとかそういうの、よく分かんない。今のままじゃだめなの?」
「それって、俺と飯食って、時々セックスして、ほかの男ともセックスするってこと?」
「うん」
「貞操観念がしんでるな」
いら、と眉をつり上げた川本さんは、だめ、と言った。
「今のままじゃ駄目。ほかの男とセックスしたらダメ」
「なんで」
「なんでって、誰が好きな女を見も知らぬほかの人間と共有したいんだよ」
「あたし物じゃねーよ」
つまり、川本さんとだけセックスして?
川本さんとだけご飯食べて?
「や、ご自由に飲み会でもランチでも行けよ、そこは」
いや…正直食事制限のほうがましだわ。
性欲制限とかマジないわ……。
「貞操観念がしんでる…」
「うるさいな〜あたしにとっての重要度ってそういうことなんだよ」
ベッドにうつぶせになって寝転んだまま、あたしはうだうだ文句言う。
なんで自分の身体のことを川本さんに制限されなきゃいけないのだ。
「分かったよ」
「おっ、物わかりのいいボクは好きだよ〜〜〜」
「ほかの男に抱かれる気をなくさせればいいんだな」
「およ?」
「二度とほかの男に股開けねえ体にしてやるよ」
「およよ…」
あたし、ボクのまずいスイッチ入れたね?
★★★
あたしのあそこは、壊れたみたいに愛液を垂れ流してる。
昨晩もあんだけしたのに、ほしくてほしくて、入口をぱくぱくさせて咥えこもうと腰が動いてる。
「あっ、いれて…いれて」
「あおいってけっこう強情だよな」
のんきに、ゴムつけたばきばきに勃起したちんこを入口に擦りつけながら、川本さんは煙草休憩中です〜、みたいな顔してあたしを見下ろしている。
「はやく入れろよこの遅漏…っ!」
「だぁから、あおいが俺以外咥えこまないって約束したら入れてやるよ」
「そんなのあたしの勝手でしょ…いいからいれて…!」
「入れるも入れないも全権俺にあるって、分かってる?」
「っあん!」
先っちょがくぷ…と埋まって、すぐに引き抜かれる。
切羽詰まってる。はやく奥までいれてほしい。
でもこれいれちゃったら、もう自由にえっちできない。
「…っ、……ッ」
「あ〜おい」
「やだ〜…いれて…」
「俺以外としないな?」
「………」
「クソビッチ…」
まだまだしつけが足りない、とかめちゃくちゃこわいことを言いながら、川本さんはあたしの手首を後ろ手にその辺にあったネクタイで縛った。
「はっ!?」
不自由になってベッドに転がったあたしを放り出し、川本さんがそこを離れる。
「ん〜たしかこの辺に…」
「なに、なんなの…」
戻ってきた川本さんが持っていたのは、…ハッカ油…?
「…?」
「これ、効くぜ」
「なにに?」
「虫よけ」
「は?」
いいながらキャップを開けて、それを少し指に出し、あろうことか虫よけをあたしのあそこに塗った。
「ヒッ」
「効くだろ」
「なに、これ、あ、あ、むずむずする…っ」
足をばたつかせて、かゆいむずむずを振り払おうとするけど、すうすうと涼しいようなむずむずはどうにもならない。
「や、や、んん」
「中にも塗っちゃおうか」
「やめっ、やめろ!」
「命令できる立場?」
ハッカ油をまとった指が中に挿し込まれて、とろとろの中がきゅん、と指を締め付ける。
ぐっ、ぐっ、と押すように塗りこめられて、あ、やばい、飛びそう。
「あっ、あっ」
「ほら、早く降参して。俺もけっこう限界なんだよ」
「いれて、いれてぇ…」
「俺以外の男とは?」
「も、もうしない、しないってばあ」
「ほんとだな?」
「しませんっ」
とりあえず今、この疼きをやり過ごそうと、あたしは適当に誓う。
こくこくと首を縦に振ると、にやりと笑った川本さんは、スマホを振った。画面を押す。ぽち。
『俺以外の男とは?』『も、もうしない、しないってばあ』『ほんとだな?』『しませんっ』
……。
「さいっあく、うぁあああっ!」
「なんとでも言え」
ぐちゅっ、と、奥まで入ってきた。
まぶたに星が散って、あ、あ、やばい、しぬかも、これ、気持ちよすぎてしぬ。
「あっ、あんっ、ああっ、ま、まって、いま、いってう」
「でも気持ちいだろ?」
「きもちいから、らめっ、あ、あーっ」
ぱんっぱんっぱんっぱんっ
「んあっ、あ、あ、あ、なんか、くる、きちゃう」
「おもらしする?」
「あ、あ、っする、もれちゃう、ごめ、あ、あ〜っ!」
ぷしゃっ!
「あらら…おもらしじゃなかったわ」
「は、あ、あっ、あぁぅ」
あたしの潮は、川本さんのおなかを濡らして、それでもなお、腰の動きが止まらない。
甘えるみたいに、中は川本さんにちゅうちゅう吸いついて、なんかの蛇口が壊れたみたいに濡れっぱなしで、涙もこぼれっぱなし。
ひいひい泣かされながら、あたしがイったとか潮吹いたとかおかまいなしに襞をえぐる川本さん、絶対ドSなんだけど…。
「あ、あ、あっ、〜〜〜〜!」
「…、またイったな」
「やら、うごかないれ、おねがい、しんじゃう」
「殺さねーよ、今のところは」
「しぬ、しぬ、あっ、あっこわれる、こわれちゃうぅ」
ぐちゅ、ちゅぐ、ぬちゅっぬちゅっ、ぱちゅっ
「ここだろ、弱いの」
「あっ、あっ」
あたしが弱い一点だけを狙ってがつがつと突きまくられて、あたしは結局、二晩連続で意識を飛ばした。
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