「え、アレ?」
「ん」
「あ、そっか、今週って、そっか」
蓮くんといちゃいちゃしていて、ちょっとえっちな雰囲気になってしまったので、あたしはそれを押しとどめる。
今週は生理だから、蓮くんにさわってほしくても、蓮くんがさわりたくても、そうはいかの塩辛です。
「育ちゃんそれ古くない?」
「いかの…塩辛……」
「うんうん、育ちゃん塩辛好きだもんね」
「うん…あの…」
「ん?」
だめって分かったはずなのに、蓮くんの手は服の裾から入り込んでわき腹をすりすりしている。
「蓮くん?」
「入れるのだめでも、おっぱいだけならだいじょうぶでしょ?」
「え、ええ〜…」
蓮くんは別におっぱい星人じゃないと思う。
だってあたしのおっぱいは、そんなに立派なものではないし、蓮くんも、いつも大事におっぱいも撫でてくれるけど、ほかの場所にくらべて特別念を入れてる感じでもないから。
とはいえそれはあたしのお胸のサイズがつつましいからなのかもしれない…。
「蓮くん、ほんとはおっぱい星人なの?やっぱり、おっきいおっぱいぱふぱふしたいの?」
「うーん、その願望がないわけではないけど…」
「…!」
地味にショックを受けているあたしをよそに、蓮くんはブラジャーのフォルムを撫でながら言う。
「おっぱい星人っていうか、俺育ちゃん星人なんだよなあ、育ちゃんならちっさくてもおっきくてもどっちでもいいもん」
「は、恥ずかしいこと言わないでよ!」
「え、ハズイことなの、これ」
あたしの顔が真っ赤になってしまうほど照れくさいことを言った自覚がないっぽい蓮くんは、きょとんとしながらあたしのブラのホックを器用に外してしまった。
「あっ」
「ん〜、育ちゃんのやわらかおっぱい」
「ばか!」
ホックに気を取られている隙に、シャツをまくりあげられて胸が露出する。
そこに、ぱふっと顔をうずめた蓮くんが、にや、と笑う。
「ねえ、育ちゃん」
「な、なに…?」
「おっぱいだけいじくって、おっぱいだけでいってみない?」
「…え、む、むりだよ」
「自分の限界を自分で決めちゃだめだよ」
「なにそのなんかいいこと言ったっぽい感じ!?」
まくったシャツを脱がされて、蓮くんがじかに胸を揉みだす。
ちょっと気持ちよくなってきて、ぴり、と甘い刺激が背中を突き抜けた。
「ん…」
「ねえ、育ちゃん」
「…あっ、ん、なに?」
「生理中って、敏感らしいよ」
言うが早いが、蓮くんがかぷっと乳首に噛みついた。
「やんっ」
じゅる、ぢゅぱ、ちゅぷちゅぷ
「ん、ん、あんっ」
蓮くんの舌がいたずらに乳首を転がして、歯が甘噛みして、もう片方の乳首は親指と人差し指につままれてくにくにといじわるされる。
ときどき、爪が引っ掻いたりする。
胸のふくらみ全体を手で揉んだり、乳首を唇で挟んではむはむしたり、どうやら蓮くんは本気であたしをおっぱいだけでいかせようとしてるっぽい……。
む、むりだよ…。
「やん、やっ、あ、あぅぅ、むりぃ…」
「ん、なにが?」
「おっぱいだけ、むり、いけないぃ」
「諦めたらそこで全部終わっちゃうんだよ」
だからああああ!なに、いいこと言った!みたいな顔してるの!
蓮くんの愛撫が激しさを増して、たしかにすごく気持ちいいんだけど、でもやっぱり決定的な刺激には届かなくて、へなへなと蓮くんにすがりつく。
「もっ、もうやめて…」
「耳もいじってみようか?」
「っあ!」
言いながら、蓮くんはあたしの耳たぶをぱくりと食べて口の中でころころ転がす。
両手でおっぱいを揉んだり指で乳首をいじめながら、耳の穴に舌を入れて舐め回す。
「あ、あっ、ん、ん、あんっ」
「いけそう?」
「はう、やっ、むり、むり」
「無理じゃないって」
耳元でささやかれて、頭がくらくらする。
蓮くんがしゃべるたびに、耳たぶにくっついた唇がもそもそ動くのがたまらない。
あたしは蓮くんの全部によわい。
指も、声も、見つめてくる目もなにもかもによわい。
どうしていいのかわかんなくなって、蓮くんにすがりつくと、その手がはがされて誘導された。
「こっち、ヨシヨシしよっか」
「あ…」
おっきくなった蓮くんのものにふれて、どくんと心臓が高鳴って口の中に唾液が溜まる。
あたしのおっぱいさわってこんなふうになるんだ。
あたしで興奮してくれるんだ。
そう思ったらぶわあって恥ずかしくなって、思わずぎゅっと握りしめてしまう。
「っ育ちゃん」
「あっ、ああっ、あん、あんっ」
「…もっとやさしくヨシヨシしてあげて」
手をほどいて、蓮くんのものを撫でる。
「ん……俺もナデナデしてあげる」
「あ、あ、あっ」
おっぱいをナデナデしながら乳首をいじめられて、頭がおかしくなりそうだった。
もっとさわってほしいのに、生理。
このヨシヨシしてるのほしいのに、生理。
だからさわっちゃだめだったのに。蓮くんのばか。
涙がじわあって目尻を濡らした。
「れ、れんくぅん…」
「ん……いきたい?もうむり?」
「ん、ん、あっ…」
どうしよう、ほしい、奥までいっぱいほしい。
「れ、れんくん…」
「ん?いけそ?」
「ほしい……奥、ずぽずぽしてほしい……」
「…………」
ぴしりと蓮くんが表情を固めた。
それから、大変申し訳なさそうな顔で、あたしの頭を撫でた。
「ごめん…それはだめ……」
「なんでっ蓮くん、血きらい?」
「いや、血は平気だけどそうじゃなくてね…」
「じゃあして…」
「うわーもうごめん!育ちゃん、生理のときはばいきん入りやすいし、絶対えっちとかしたらダメなの、わかる?」
おろおろしながら、蓮くんがあたしの頭をヨシヨシするので、負けじと蓮くんがその気になりますようにってナデナデする。
「こら、育ちゃん、ああ〜出来心ですみません…ほんとごめんね……でも育ちゃんがあとで傷つくのいやだから、絶対だめだからね!」
「やだぁ、れんくんのばかぁ」
耐えきれずにしくしく泣きだすと、蓮くんが甘やかすような軽いキスをしてくれる。
ちゅっ、ちゅっ、と頭がとろとろになりそうなやさしいキスに、ちょっとずつ気持ちが落ち着いていく。
「……落ち着いた?だいじょうぶ?」
「……蓮くんのばか」
「うん、ごめん、もう変なことしない…」
蓮くんが立ち上がって、あたしの頭をぽんぽんしてから前のめりになってトイレに消えた。
……じ、自業自得だもん。
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