「英雄王の嫁とは正気とは思えません」
「別に嫁ちゃうけど.......」
ぐぬぬ、と綺麗な顔を歪めながらアルトリアが吐く言葉をルーラはどこか他人事のように聞き流した。心配してくれているのは分かるがギルガメッシュの嫁、というのはあまりにも自分には似つかない。
「おーさまのあれは多分、お気に入りのおもちゃとかに対する感じのやつやろ」
ギルガメッシュが自分に対して寛容なのは理解している。向けられる薄い執着にも気づいている。それでもギルガメッシュから向けられているものを恋愛感情だと言うほどルーラは自惚れていない。
子供がお気に入りの玩具を取られないようにするような、そんな薄すぎる執着。
「おーさまがうちに恋愛感情抱くわけないやん」
へらり、と笑えばアルトリアがなんとも言えない顔をする。そんな顔すら様になるのだから、ルーラはアルトリアの事が羨ましかった。