己そっくりのぬいぐるみを腕に抱きながらすやすやと眠るルーラに、ギルガメッシュは僅かに眉を顰めた。
眠っているルーラを起こさぬよう注意しながら腕の中のぬいぐるみを取り上げ、頭上に移動させる。そのままルーラを壁側に押して空いた隙間に潜り込めば、1人用のベッドがぎしり、と悲鳴をあげた。
(この程度の事)
そっくりのぬいぐるみを抱いて眠るぐらいなら、最初から己に強請ればいいものを。ルーラが望むのであれば添い寝ぐらいしてやってもいいと思うほど、ギルガメッシュはルーラのことを気に入っていた。
そっとルーラの後頭部に手を回して頭を撫でるように髪を梳けば、薄暮のような紫紺の髪がさらり、と指の間から零れ落ちていく。シャンプーに混じる甘い花の香りは己が渡した香油を使っているのだろう。
己と同じような匂いを纏うルーラに、どろり、とした感情がギルガメッシュに絡みついて離れない。
「……………貴様のせいだぞ」
たった1人の娘に執着するなんて、生前の己では有り得なかった。ルーラと触れ合う度に独占欲とも所有欲とも言い難い感情が腹の底から湧き上がっては体を支配していく。
滲み出す感情を隠すようにルーラを抱き寄せると、ギルガメッシュは瞼を閉じたのだった。