ヘッドボードに凭れながらタブレット端末を弄る。すい、すい、と指で操作しながら画面を眺めていればぎしり、とスプリングが軋んだ。
恐らくルーラが乗り上げたのだろう、と僅かに顔を上げれば、少し不機嫌そうな顔をしたルーラと目が合った。
「おーさまぁ」
「なんだ、」
ルーラの顔が近づいて、ふに、と唇に柔らかいものが触れる。一拍してそれがルーラの唇だと気づいて、ギルガメッシュは僅かに目を見開いた。
「リップ塗りすぎたからおすそ分け」
なんでもないようにルーラがそう呟いた。普段よりも瑞々しい唇は薄く紅を引いたように淡く色づいている。
ギルガメッシュはタブレット端末を横に置くとルーラの手首を掴んでその体を抱き寄せた。
「おーさま、」
驚いたように目を見開くルーラの赤い下唇に吸い付いて、ぺろり、と舐める。熟れた果実を食べるように唇で食みながら舌で赤を割開けば、果汁のように甘い唾液が待ち構えていた。
じゅるり、と唾液を啜って、舌を這わす。口内を味わうように舌を動かせばルーラの目がとろん、と蕩けていくのを、ギルガメッシュは満足そうに笑った。
「んっ、ふ、ン………ぁ、はぁ、」
より一層深く口付ければルーラの口の端から飲みきれない唾液がたらり、と零れ落ちる。1度口を離して顎まで伝った雫を舐めとれば、ルーラがくったりと寄りかかった。
「おーさまのえっち」
「仕掛けたのは貴様ではないか」
「うちリップおすそ分けしただけやもん」
顔を赤くしながらルーラがぐりぐりと胸元に額を擦り付けてくる。甘えるような珍しい行動に、ギルガメッシュは思わず口角を上げた。
「なんだ、我に構って欲しかったのか?なかなか愛いではないか」
「……………うっさい」
反論してこない辺り、本当に構って欲しかったのだろう。ぐいぐいと顔を押し付けてくるルーラの後頭部に手を回して、ギルガメッシュは髪に指を差し込んだ。
照明を浴びてキラキラと輝くアメジストの髪を梳くようにゆっくりと下に動かせば、擽ったいのかルーラが小さく息を漏らす。
「おーさま、くすぐったい」
「我慢しろ」
ルーラが頭を撫でられる事を好んでいるのをギルガメッシュは知っている。不敬な悪態も照れ隠しだと知ってしまえば愛いものだった。
さらり、とした指通りの良い髪を楽しむように頭を撫で続ければ、もっと、と強請るように首元に頭を寄せられ、ギルガメッシュはふ、と静かに口角を上げる。
珍しく甘えられるのも悪くなかった。