STORY | ナノ

▽ 制せよ攻防戦


 ふとなにかに髪を撫でられるような感覚がして、カイは意識を浮上させた。
 瞼を開けなかったのは相手に敵意を感じないからだろうか。撫でられるこの感触は悪い気はせず、むしろ心地のよいもので。起きるのが少し勿体無いとさえ思えてしまう。くすぐったさを感じつつも、しばらくカイは己の髪に触れる手を好きにさせていた。
 しかしこの手はいったい誰なのだろうか。そう思ったところでカイの頭の中に浮かんだのは愛する妻の存在だった。以前、似たようなことがあった気がする。目を開くとそこには笑顔でカイの髪を撫で続けるディズィーの姿があって。どうしたのかと尋ねれば、「カイさんの髪ってとてもさらさらでずっと触っていたくなっちゃうんです」と無邪気に答えられたものだ。それ以降休日の朝、ディズィーはカイよりも先に起きてはこうして撫でていることが増えた。だから今こうして触っているのもディズィーだろう。そう結論付けるにはじゅうぶんだったのだが、ある違和感が、違う、彼女ではない、と警鐘を鳴らす。
 ディズィーの手は柔らかくて、小さくて、それでも精一杯相手を包み込んでくれるような、慈しみに溢れている。そんな彼女の手がカイは好きだったし、安心できるのだ。
 しかしこの手はどうだ。柔らかくもなければ小さくもない。不思議と安心感はあるものの、優しい手つきでもなくむしろぶっきらぼうな感じさえするこれは──。
 はっとなってカイは目を開いた。しっかりと意識を覚醒させる。すると目の前には、ハサミを開いて刃をこちらに向け、今にも切りかからんとするソルがいた。


「起きて早々挨拶がそれとは大したもんだな」
 目の前の男はなんの悪びれもなくぼやいた。
「人の寝込みを狙うお前が悪い」
「まだなにもしてねぇ」
「そういう問題じゃない!」
 扉のすぐ近くで壁に体を預けているソルをカイはきっと睨んだ。対するソルはなんの反省の色もない。むしろその手には未だハサミを手にしていて、こちらの機会を伺っているように見えた。カイは頭を抱える。その手は今もぴりぴりと法力の名残を発して、静電気となって髪をふわりと浮遊させた。
 刃を向けられていると気付いた時、ソルの口が開くよりも先に動いたのはカイの腕だった。
 あまりの俊敏な動きにソルは目を見開いたものの、カイの手から発せられた法力を難なく避けた。そしてしばらく攻防が続いた後、なんとかソルを退けたカイはようやくベッドに腰をおろして落ち着くことができたのだが…。落ち着いたと思ったところでソルの口から出たのは冒頭のそれだ。頭を抱えずにいられるはずがなかった。
「で、なんでお前はハサミなんか持って、寝込みを襲うような真似をしたんだ」
「髪を切ってやろうと思っただけだ」
「は?」
 耳を疑った。
「よし、切るぞ」
「いや待て! お前はそれだけの理由でこの部屋に押し掛けたのか!?」
「本気で襲ってほしかったのか? お盛んな奴だな」
「叩き出すぞ」
「いいから切らせろ」
 目の前のきかんぼうにカイは頭が痛くなるのを感じた。しかしソルの目はいたって真剣で、冗談を言っているようには見えない。ソルがこんなことを言い出すと言うことにはなにか理由があるのだろうが、皆目見当がつかなかった。一体なにが彼をこんなにも突き動かすのだろうか。
 そもそもソルは何故ここまで髪を切りたがるのだろうか。茶化されたことはあるが本気で文句をつけられたことはない。それこそ切ろうだなんて言われたのは今日がはじめてだ。昔だったなら好きにさせただろうが、今は。今は昔とは立場が違う。生憎と外見一つであっても個人の為に差し出せるほど安易な立ち位置にいなかった。なにより童顔だのなんだの過去に散々目の前の男に言われたことがあるカイにとって、髪を伸ばしていると箔がつくように感じられて個人的にもあまり切りたくなかった。相手がディズィーやシンであったなら二つ返事で切ってしまいそうな気もするが、とにかくソルの思惑が計り知れない以上、おいそれとその提案を頷くわけにはいかない。なにか、知られたか。
 カイはひとつ、溜め息を吐いた。
「お前が短髪主義だとは思わなかったよ」
 ソルは目を細める。違うとでも言いたげだ。しかし言い返さない辺りよからぬことを考えているのか、はたまた心当たりがあるのか。
「安心しろ。嫁の許可は取った」
「彼女はなんて」
「言わなくても分かるだろ。アイツはどんな姿になっても喜んで受け入れるだろうよ」
「それは嬉しい限りだが、それは許可と言えるのか?」
「多数決だ」
「やっぱりお前の独断じゃないか!」
「話はここまでだ」
 ソルはハサミを持ち直した。カイは身構える。どうやら考えを改めてはもらえないらしい。
 さて、どう動く。静寂な空気が訪れ、視線と視線が対峙する。お互い相手の動向を探ったまま動かない。しかし、先に動いたのはソルだった。
 真っ正面からかかってくる。部屋の中ならば満足に法力を操ったりはしないと考えたか。ならば、と考えたその時だった。咄嗟にジャケットを脱いだソルはそれをカイの頭に被せた。──目眩ましのつもりか! 予想はしていた。ソルはハサミを持つ手をカイに伸ばした。が、その手首はがっしりとカイに掴まれてしまう。カイはそのままソルの腕を後ろに回すつもりが、それよりも先に残ったソルの腕が動いた。読んでいたとはいえ視界が悪いカイはそれを凌げず、咄嗟に伸ばしたはずの片腕が空を掻く。
 ジャケットの下から潜るようにソルの手がカイの細い首を掴んだ。そのまま押し倒され、ベッドに体を打ち付けた衝撃でジャケットがめくれあがる。ようやく開いた視界の先には、ハサミを下に構え、刺すような視線をこちらに向けるソルの姿があった。
 カイは息を詰まらせた。カイの首を掴むソルの手に力は入っていない。息も普通にできる。しかし、今この瞬間カイが少しでも抵抗の色を見せればソルはそれを容易くいなすことができるだろう。この男がそこまでするとは考えにくいが、力のままに絞めてしまえば命を奪うことだってできる。相手が、人間ならば。つまりカイは今、完全に主導権をソルに握られてしまったのだ。悟ったカイは辛うじて離さずにいたソルの手首から手を離す。これでソルのハサミを持つ手は自由になってしまった。懸命な判断だな、とソルは目を細めた。
 どうしてこんなことに、ここからどう打開する、カイは考えた。ここは私室で、部屋の中で、下手な行動は控えたいのだが、仕方ない。この場を切り抜けるためには仕方ないことだ。カイは自分にそう言い聞かせ、ありったけの法力をソルに浴びせようとした、その時だった。
「おーいカイー! オヤジが来てるって母さんから聞いたんだけ…ど…」
 勢いよく音をたてて扉が開かれた。ソルが舌打ちをして視線をそちら側に向ける。一瞬の隙を見逃さなかったカイは前腕をソルの喉元に向けて打ち付けた。ソルがよろけた影響で首を掴んでいた手が離れ、カイはさっとその場から離れた。それからこの部屋に訪れたシンの下に何食わぬ顔で駆け寄る。
「ええシン。おはようございます」
「え? あ、ああおはよう…。ってなにしてんだオヤジ」
「気にすることはありませんよ。ここは危険だから、早く離れましょう」
 呆れ顔のシンを余所にカイは涼しげな顔で外へ誘導しようとした。しかしシンは動くことなく、なにやら考え込むように顎に手を当ててうんうんと唸っている。シン? 不振に思ったカイがシンの顔を覗き込むと、はっとしたようにシンは顔を上げた。
「もしかして、二人で取っ組み合いでもしてたのか?」
「はい?」
「二人だけでズリィぞ! オレも混ぜてくれよ!」
 理解が追い付かなかった。いやあの、そう口ごもるカイに、チャンスだと言わんばかりにソルは口角を上げる。
「よしシン。これは多対一を想定とした捕縛術の練習だ。カイを押さえろ」
「なっ!? 卑怯だぞソル! シン、これは違うんです。だからやめなさい」
「って言ってるけど…」
「フリだフリ。勝負に違うもクソもあると思うか」
「言われてみたら確かにそうだ。よーし!」
「ソルー!」
 悲鳴にも似た叫び声が部屋の中でこだまする。身の危険を感じてシンから離れようとしたカイだが、時既に遅し。シンにがっしりと羽交い締めにされてしまった。先程まで必死に止めようとするカイを見ては申し訳なさそうにしていたというのに。今のシンは目をきらきらさせてまるで新しいおもちゃを与えられた子どものそれだった。シンの拘束から逃れようとするも悲しいかな、体格差にはどうしても勝てず、自由を奪われていることもあってろくに抵抗も出来なかった。
「手間かけさせやがって」
 ソルが目の前に立ちはだかる。その手にはもちろんハサミが握られていて。今か今かとその刃をぎらつかせていた。
「待てソル。少し落ち着こう」
「素直に切らせねぇお前が悪い」
「揚げ足を取るな。私が訴えているのは平和的解決だ」
「獲物が逃げているのを見ると追いたくなる性分だからな」
「熊か貴様は!?」
「カイ、二兎を追う者は一兎も得られねぇけど、虎の穴に入らねぇとなにも誇示出来ないんだぜ?」
「なにもかもが間違っているぞシン…!」
「恨むならテメェの息子のアホさを恨むんだな」
「責任転嫁も甚だしい…って待てソル! 早まるな! お前、いい加減に…!」
「シンー? 早くカイさんを呼んでこないと、ご飯が冷めちゃう…よ…」
 シンを呼ぶ、明るく可愛らしい声が聞こえてきた。この場に不釣り合いな声に三人とも声のする方へと視線を向ける。
 シンが来て開きっぱなしだった扉のその向こう。そこにはこちらを見るなり目を丸くして固まっているエルフェルトの姿があった。
「…? エル、どうしたの」
 一緒に来ていたらしいラムレザルがひょっこりと扉の端から顔を出す。
「ラムは見ちゃ駄目!」
「? なに?」
 するとエルフェルトは両手で咄嗟にラムレザルの目を覆った。平坦な声だが困惑した様子のラムレザルを余所に、頬を赤くしたエルフェルトはそのままラムレザルを引きずっていく。
「な、なんかお邪魔しちゃったみたいですね! どうぞあとはごゆっくり〜」
 扉は開いたまま、二人は去っていった。再び訪れる緊迫した空気と沈黙。しかしカイは今それどころではなかった。今のエルフェルトの様子を見ただろうか。あからさまになにか勘違いをされている。しかもそのまま放っておいてはいけない内容の。
 改めてこの状況を見てみれば勘違いされてもおかしくないものだった。なんたって寝間着姿の男が(悲しいことに)自分よりも体格の良い男二人に、片や拘束され、片やハサミを手にしているとはいえ迫られているのだ。しかもあまりに必死で気にする暇もなかったが、カイの寝間着は一連の騒ぎのせいで少しはだけていてこの状況を勘違いさせるのに一役買っていた。カイの顔が見る見るうちに青ざめていく。しかしそれを特に気にする風でもなく、さてとと言わんばかりに事を進めようとする目の前の男に、カイは、自分の中で、なにかぷつんと切れるのを感じた。
「ちゃっちゃとやっちまうか」
「…か…」
「あ?」
「祈りは済みましたか?」
「ぐえっ!?」
 カイの宝石のように透き通った青緑の瞳が剣呑に光る。射抜くような目を向けられ、ソルが怪訝そうに眉をひそめるのも束の間。カイを拘束していたはずのシンが、呻き声と共に姿を消した。いや、消えたのではない。ソルの人並み外れた聴力はその声が下に落ちていくのを確かに聞き取っていた。そこに視線を向けようとして──視線が、視界が揺さぶられる。
 気が付けばソルは肩に大きな違和感を抱えたまま、俯せになる形で床に叩き付けられた。あまりの衝撃に一瞬息が飛びそうになる。勢いのまま顔を上げようとするが、そこできらりと光るものが首筋に当てられた。ひやりとして、対して鋭くもない表面のこれは、紛れもなく先程までソルが手にしていたハサミそのものだった。この程度の、ましてや刃の閉じられたそれでこの男を殺せるはずがない。いや、殺すつもりなど全くないのだろう。これはただの、脅しだ。
 抵抗しようとしてソルは腕を動かしたが、思い通りに動かないどころか動かそうとすればするほど肩に鈍い痛みが走った。どうやら捻り上げられているようだ。お手上げだった。
「二人共、どうやらおいたが過ぎるようだな」
 ソルの頭上でカイの、冷たく、普段よりも低い声が聞こえてくる。こんな状態ではソルはカイの表情を確認することも出来ない。が、すぐそばで、拘束されているわけでもないシンが酷く大人しく、カイの声を聞いている。それだけでどんな顔をしているかなど想像に容易かった。
 ソルの額から冷や汗が流れる。ああこれは、なにか取り返しのつかないことをしてしまったような──。
「全員、そこに直れッ!」



 ことの経緯を知ったシンは酷く落胆したようだった。
「なんだ。オヤジはカイの髪を切ろうとしてただけだったのか?」
 向かい側のソファに腰掛けるシンが肩を落とす。すると紅茶をいれてくれたらしいディズィーがシンをたしなめた。
「シン、ひとの嫌がることをしては駄目でしょう?」
「うっ、それはまぁ、そうだけど…。ゴメン、カイ」
「私の方こそ、少し言い過ぎた。元はといえばあいつが原因だというのに…。すまない」
 歯切れが悪いものの素直に手を合わせるシンにカイはかぶりを振った。カイは眉尻を下げながらも努めて微笑んではいるものの、あの人を寄せ付けぬ無愛想な顔をしたあの男を思い出す度にむっとしてしまう。あまりにも分かりやすかったのか、ぱちりと目が合ったディズィーにくすりと笑われてしまった。カイは顔が火照るのを感じた。ああまたあいつのせいで。また一つ、心の中で愚痴を溢した。
 結局ソルはカイの説教中に隙を見て逃げ出した。
 残ったシンだけが最後まで正座のまま戒めを受けることになったのだが、今思えば全てはソルがシンを丸め込んだのが原因であり、シンに罪はない。シンはただ、素直だっただけだ。清々しいくらいに。それがいいことなのか悪いことなのか、この場合においては分からないが、ソルはそれを利用したのだ。シンを叱るのは筋違いであるというのに。カイの後悔は止まらなかった。
 しかし、ソルが大人しく引いてくれたことに、少しほっとしてしまっている自分もいた。
「でもさぁ。なんでカイはそんなに髪を切るのを嫌がるんだ?」
 息が詰まるのを感じた。
「王様にも色々と事情があるのよ」
「ふーん。大人ってめんどうなことばっかりだな」
 ディズィーのそれらしい説明に、シンは納得はしたものの釈然としないようで、肩をすくめるばかりだ。
「そんなに気にすることないんじゃないか? 髪を切ってもカイはカイだろ?」
「シン…」
 不覚にも感動してしまうカイだった。
 もしここにソルがいたならば、チョロい奴、などと嫌味たらしく言われるに違いない。仕方ないじゃないか、とカイは思う。カイにとってシンから贈られる言葉一つ一つが宝物で、心が満たされてしまうのだから。だというのにあいつは、なんてまたあの顔を思い出してはむくれた。思いの外ソルに対する怒りがまだ収まっていなかったらしい。いや、これは怒りというより、焦りか。
「それにしても、どうしてソルさんは急にカイさんの髪を切ろうだなんて思ったんでしょう?」
 ふとエルフェルトは素朴な疑問を口にした。そんなエルフェルトの隣で一緒に立っていたラムレザルもこくこくと頷いている。
「あ、それは、私のせいかも」
 するとディズィーが小さく手を上げた。
「この前お父さんが訪ねてきた時にたまたまカイさんの話になって。カイさん、最近髪がすぐ伸びるようになったみたいですよってお話をしたんです。それかもしれません」
 どんな髪の長さでもカイさんは素敵ですよねってお話をしてたんですよ。そう愛らしい笑顔で語るディズィーはとても微笑ましかった。
 しかし対するカイはその話を聞いて血の気が引く思いでいっぱいだった。鼓動がばくばくと鳴って落ち着かない。つまり、あれは。
「…」
「でも髪がすぐ伸びるって羨ましいなぁ。色んな髪型に挑戦できちゃうし。ね、ラム。ラム?」
 じっとカイを見つめるラムレザルに、エルフェルトは首を傾げた。カイはラムレザルの視線に気付いていないようだ。立場上、人の視線には敏感だろうに。しかしラムレザルはなにも言わず、小さく頭を振った。
「私は今のままでも困らない」
「気分の問題よ。ラムも切ってみる? きっとラムはなんでも似合うよ!」
「エルとお揃いになるの? それはちょっと、気になるかも…」
「じゃあオレともお揃いだな! 短いし!」
 話題の中心がカイから外れ、髪の話に花を咲かせるシン達の声を聞いて、カイは我を取り戻す。自分から話題が逸れたことに酷く安心する。すぐ近くにいるディズィーが、みんなでお揃いにしても素敵ですね、と朗らかに笑った。カイは、そうですね、と伏し目がちに返した。それは確かに本音だった。本音であるからこそ、こんなにも真っ直ぐな笑顔を見せる彼女に隠し事をしている事実がカイの心に影を落とす。
 ソルはカイの髪がすぐ伸びてしまうことを知っている。そう仮定するならば、あの一連の騒動もソルの不可解な行動も納得がいく。おかしいとは思っていたのだ。カイはあれほど髪を切ることを嫌がった。だが何故ソルがそこまでして切りたがるのか、散々疑問には思ったものの尋ねはしなかった。踏み込まれることを恐れたから。これ以上、後ろめたさを感じるような真似はしたくなかったから。
 しかしカイの予想に反してソルもカイに何故必死に髪を切らせようとしないのかを聞いてくることはなかった。ソルのことだ。疑問に感じればすぐにでも口に出すだろう。今更遠慮をするような間柄でもない。でも、カイの事情を推測し、考慮した上でだとすれば? 読まれていたのだ。なにもかも。そしてそれらを悟られないよう、カイの抱えている心情ごと断ち切ろうとした。
 カイは心の隅で、自身の浅はかさに嘲るように小さく笑った。結局、ソルは切れなかったのだ。カイが抵抗したからじゃない。寝込みを襲ったのだ。切ろうと思えばいつでも切れたはずだった。しかしソルは猶予を与えるような真似をして、そうしなかった。それは彼が、切り離すことを恐れたからだ。カイが家族や友にさえ隠し事をしてしまうように。お互い様。どっちもどっち。何事も、切るということは、覚悟が付きまとうのだ。
 改めて、カイはソルの攻防を退けたことに心の底から安堵した。明日からはどうなるか分からないが、今日という時間は得た。自分にはまだ、猶予がある。そのことに胸を撫で下ろす。罪悪感は、まだまだカイを蝕み続けることになりそうだ。



2019/09/22



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