MEMO
 小ネタや雑談など。

ONE PIECE/シャンクス

「離せ!降ろせ!この海賊っ!!」
「いや、海賊だけどな。つーかお前、助けてもらって…いってぇ!」
「いっそ海に落とせー!」
生まれ育った島に幼なじみを残し、身寄りのない私は海賊に捧げられた。人買いに売られるでもなく、慰みものにされるでもなく、ただ鎖に繋がれて牢屋に入れられていた。
「ばかやろー、海賊なんて嫌いだ!」
「ああそうかい」
「私を島に帰せ!」
「悪いがそれはできねえ」
そんなある日、乗っていた海賊船が別の海賊船に襲われた。そいつらはバカに強くて、あっという間に海賊たちを倒してしまうと、私たちを牢屋から解放した。故郷までは世話できないが、次の島までは乗せていってやると言われて私たちは喜んだ。
……が、問題があった。さらに悪いのは、それは私だけということだ。
「ハデな頭しやがって、この赤毛!離せってば!」
「だから、俺はシャンクスだっつってんだろ?」
「うっさいオヤジ!」
件の私たちを助けてくれた海賊の船長とか言うこの男が、私を気に入ったとか言って私だけは解放しないなどと言い出したのだ。抗議してもどこ吹く風、他の人たちはとっくに船を降り、私だけがまだ海の上にいる。
「ちょっと目を離すとこれだ…ほんとに牢屋入れるぞ」
「牢屋に入れるくらいなら海に投げ捨てろ!」
「だからそれはしねえって」
与えられた待遇は、すごくいいものだった。鍵は外からかけるとはいえ、立派な一人部屋。ベッドもあり、小さな机もある。食事も届けにきてくれるし、誰かが一緒なら甲板を歩くこともできる。牢屋にいたころとは雲泥の差だ。だけどやっぱり、私は島に帰りたい。
「お前が船から降りない限りは、望むもんを何でもやるって散々……」
「船から降ろせっ」
「…やっぱ駄目か」
シャンクスとかいう赤毛とはほぼ毎日こんな会話をしている。気に入ったなんて意味が分からない。いっそ殺してくれればと思うこともあるが、それを言ったらもの凄い剣幕で怒られて、さすがに怖くて二度と口にしていない。でもやっぱり、こいつの考えてることはわからない。
「ほら、部屋だ」
「……なんで部屋に入ってこないの?」
いつも私の部屋の前で下ろし、部屋に入るのを見届けてから去っていく。食事を運ぶのも、暇つぶしに話に来てくれるのもシャンクスではない船員だ。来たら絶対に追い返そうと思っているのに、一度もできたことはない。部屋から出ていると、真っ先に近寄ってくるのに。
「そんなことしたら、お前ほんとに逃げるだろ。どんな手を使っても」
「…うん、いや、いつでもそんな気持ち」
「ま、そのうち気が変わるだろ。そん時までは待ってるつもりだ」
「だから意味が…っていないし」
カシャンと鍵のかかる音。あいつのやることはよくわからない。船員は優しいし、一緒にいるのは思っていたより悪くない。だけど私だけ解放してくれなかったから、やっぱり恨んでいる。いずれ奴隷になっていたかもしれない運命を変えてくれた人たちだと言うのに、反発してしまう。
「ほんと、意味わかんない」
お情けに貸してもらった、だぼだぼなシャンクスのシャツの袖をまくると、ベッドに横になった。



ワンピースの好きなキャラの流れはゾロ→ルフィ→シャンクスなんですよね。
中編書きたいな。

2012/12/24


ゴーストハント

※いつぞやのぼーさん寄り喋れない設定
※乙女ノ祈リ時期

何かに、スカートの裾を掴まれた。この時間は生徒がいるはずはないのに、と軽く振り払おうと振り返ると、得体の知れないナニカと目があった。
「!」
階段から上半身だけが現れていて、異常なまでに細い腕がスカートの裾をしっかりと握り込んでいる。
声を出しそうになって、慌てて手で口をふさぐ。これがもし、ナルと麻衣の前に現れたものと同種だったら、私が声を出した途端、これらは集まってくる。それだけは避けたい。
この状況を誰かに伝えようにも、みんなはすでに階段を上がりきっている。かろうじて手が届きそうなぼーさんに向かって伸ばしたけれど、後ろから引っ張る力が強くなった。あの細腕からは考えられないほどの力に引かれて、階段を踏み外す。
「っあ、」
「ひな?」
思わずこぼれた声にぼーさんが振り返るのが見えた。だけどそれはすぐに遠ざかって、天井が、真後ろの壁が、階段が、そしてナニカが視界を駆け巡って暗転した。

2012/12/22


封神演義/玉鼎真人

※とても長い

空の上は風が強い。形だけでも弔ってやりたくて下界から摘んできた花は、すぐにその花弁を散らした。
「……玉鼎」
「ああ……太公望か。修行はいいのか」
「うむ」
どうすることもできなくて、手元に残された茎も風に流した。
後ろにいるであろう太公望は、立ち去る気配を見せない。久しぶりに会ったとはいえ、今は誰とも話せる気分ではない。彼もわかった上で佇んでいるのだろうが。
「わしらは仙人じゃ」
「ああ」
「例えもとは人間であろうと、覆せん」
「……ああ」
わかっていた、そんな当たり前のこと。互いに了承した上で側にいた。
人の命は、とかく儚い。数十年を悠に堪える仙人とは根本的に訳が違う。それは自分が仙人にならないかと言われたときにも確認したことだった。
「知っていたさ、私も、あれも」
そもそも、人間がこの仙界に留まり続けることは不可能だということも。
「……お主は、」
「太公望。……一人にしてくれないか」
「……うむ」
太公望の気配が消え去り、その場に片膝を突いた。そのまま衝動に任せて、体を折り曲げて地に額をつける。
「すまない」
どうあっても、私が彼女より先に死ぬことはないとわかっていたのに、無理に追い返すことをしなかった。下界に返せないわけではない。返せば、人間として生き、幸せになれたはずだ。たった一言を真に受けて引きとどめていたのは、他ならぬ自分だ。
「すまない」
見送ることを約束した。どんな形であれ、必ず、見送ると。その体は仙界に埋めることを約束した。家族や友人と離れてまで、側にいてくれると言ったのだ。
「……私は、お前を幸せにできただろうか」
側にいるだけで幸せだと言ってくれた。まだ手の掛かる弟子の面倒も見てくれて、ふと、人間の家族を思い起こした。遥か彼方の記憶と重なって、しかし口にするのははばかられた。
「こんな、何もないところだが……、」
辺りは更地だ。何もあるはずがない。仙人の住居はこの付近にはないのだから。草の一本も生えておらず、ただ、真新しい石が建てられている。
「世界はよく見えるだろう?」
仙界の頂上付近にある、飛び地のひとつ。それがここだ。いつか、この世界を見つめていたいと言った。彼女の遺した言葉は全て叶えてやりたかった。それくらいしかしてやれない自分が面映ゆい。
当然、面倒だと言われたし、馬鹿なことをとも言われた。ただ、元始天尊からでさえ、地上に降ろせとは言われなかったのだ。誰も禁じなかった。
人間を愛することを。
「ここに命が芽吹くまで、私は生きるのだろうか」
きっとそうなのだろうと思う。そして彼女がいない世界に堪え、忘れ、生きていく。それが仙人というものだ。長く生きれば、それだけ多くのことを忘れもする。
「…………ありがとう」
いつか忘れてしまうと言っても、それでもいいと言ってくれた。ただ、愛してくれたから、と。
自分が人間だった時でさえ、誰かを愛しいと思ったことはなかった。ただ生きていたあの頃と、今はなんら変わらない。たったひとつ異なるのは、大切な、大切だった者ができたこと。剣が鈍ったかと疑われるほど、大切にしていたらしい。
「……風が強くなってきたな」
立ち上がり、裾を払う。風になびく髪を手入れしてくれる彼女は、もういない。
「お前は、私の世界の一部だったよ」
墓標代わりに刻まれた言葉は、ただ一言で私を捉えた言葉だ。誰にも読めぬよう、それをわざわざ異国の言葉で書き記したのは、少なからず独占欲のようなものだったのだろう。

『貴方は、私の世界です』

2012/12/19


ゴーストハント/滝川法生

「実家のさ」
「ん?」
車で送っている帰りだった。天気が悪い日や俺の都合がつくときは、こうして足代わりにされている。寂しいねえ。
「我が家の車もさ、セダンなんだよね」
「ほー」
彼女は助手席に身を沈め、雨の叩きつける窓に額を預けている。赤信号にブレーキを踏んで、スピーカーのボリュームを下げる。
「お父さんがね、好きなんだって。セダン」
「ほほー」
「私はワゴンがいいのに、セダンしか買わないって言うんだよね」
そう言えば、俺にもしょっちゅうワゴンを奨めてくる。仕事の…拝み屋のときは、確かにワゴンの方が便利だろうが、乗り慣れたこいつを手放すのも惜しい。
「……それだけなんだけどさ」
そうして、くすりと笑った。
「ぼーさんとお父さん、結構仲良くなれるんじゃないかなって」
「えっ、もうそんな話?結納も済ませてないのに」
「挨拶もしてないじゃん」
「てかお前まだ卒業してねーじゃん」
待つ側のおじさんはツラいね、とぼやけば、苦笑とともに「この破戒僧」と返ってきた。うるへー。

2012/12/18


名探偵コナン/黒羽快斗

ミッドナイトブルー小ネタ

「ひな。すげえぶっちゃけていい?」
「いいけど…何。どうしたの」
「いや、俺らっていつになったらキスより先に進めるのかと思ってよ」
「え、ちょ、なんで急にそういうこと、え?」
「いやな、俺も健全な高校生男子なわけだ。そんでオメーは好きな女だ」
「いやいやいや、わりと意味がわからないよ」
「んだよ……」
「ていうかさ、そういうのは面と向かって聞くものじゃない、よね」
「じゃ、どうしろっつーんだよ」
「……ふ、雰囲気?」
「……いいのか、雰囲気で?いっていいのか?」
「や、ごめん私もよくわかんない!」
「はあ…だよなぁ」
「…でもさ」
「おう」
「快斗はその…そういうこと、考えてるんでしょ」
「ご想像にお任せします」
「…私だっていやなわけじゃないけど、」
「ほんとか!?」
「けど、快斗」
「おう!」
「友起君が絶対いないことと帰ってこないことを確認してからじゃないと、そういうのは無理だと思うよ」
「!!そ、それがあったかー…」

2012/12/18






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