規律その一。
同じ旗を掲げる者に容赦などいらない。

「戦闘準備だ野郎共!!」

船長の号令に響く雄叫び。俺も意思表示として愛用の剣を抜く。開戦の意を持った大砲が船近くの海にぶち込まれると同時、互いの船が近づき始める。

「っらああああ!!!!」

鉄砲玉の俺達は真っ先に敵船に入り蹂躙していく。相手の鉄砲玉共が俺達の船に向かったが、そんなことを気にしている余裕はない。俺達は俺達の役割を果たす。

「っは、アンタ随分強いな!!」
「そりゃ光栄だっ!!」

軽口を交わしながら切り結ぶ。鎬を削り合い、笑い、命を奪う。仲間の死に逆上した馬鹿の脳天を俺の仲間が撃ち抜く。ヒュウッと口笛をならし、次へ。

何人も屠り、その度に傷を負いながらも宣言を待つ。

「ハッ、ハッ……んの、シツケーな……!」
「このしつこさで、っはぁ、女を落としたのさ」
「そーかいっ! 別れの、挨拶はっ、済ませたか?」

直後相手の肩を銃弾が貫通する。流れ弾に感謝して相手の体を袈裟斬り。女にゃ悪い事したなと苦笑しながら、また敵に切り掛かる。

「首は貰ったア!!!」

パンパンパァンと三回立て続けに響いた銃声に敵をいなし、船へと走る。敵は馬鹿なと船長同士が闘ってた場所へ向かっていった。ヘロヘロの体から力を振り絞って船にとびうつる。

「てぇ!!」

腹に響く大きな音と共に敵船は傾いでいく。あわてて略奪班の味方が船へととびうつった。

「殺す気か馬鹿野郎!」
「ハハッ、ちんたらしてるやつが悪ィんだろ」
「海の女神に財宝貢ぐとこだったわ!!」

ギャハハときったねー笑い声を出し、戦闘体制をとく。船長がポイッと海に首を投げていた。

規律その二。
宝は平等に配分する。

今回の敵船はたんまりと宝を溜め込んでいたらしい。楽しみだとへったくそな鼻歌を披露すれば笑われた。つーかお前ら甲板の掃除しろ。

「よーお前何人ヤったよ」
「さー……7、8人?」
「いよっしゃ俺10人」
「いやまてやっぱ俺11人やってたわ」
「なにおう!?じゃあ俺は12人だったかもしれねーわ」
「じゃあってなんだよやるか?」
「やらいでか!!」
「掃除をな」

ため息を漏らして海水をぶっかける。しょっぺ!!と聞こえたが当たり前だ海水だもの。

「ひでぇなージャック」
「うるせーよ。お前らもさっさと掃除を」
「お返しだくそったれ!」
「ギャアアアア!! しみるァアアア!!!」

くっそ俺まだ治療行ってねぇのに! 怒りのままにブラシを構え殴りつければ相手もブラシでそれを防ぐ。周りのやつらはヤンヤヤンヤと騒ぎ立て始めた。
「いけいけジャック!!」
「負けんなやサッチャー!!」
うおりゃあああ!! くそったりゃあああ!! お互いもはや本気でブラシを振り回す。一際大きな波で揺れた船にバランスを崩した馬鹿に飛び掛かる。イタダキィッ!!

「なにしてやがる馬鹿共!!」
「がアっ!!?」


規律その三。
喧嘩は両成敗プラスお仕置き。

「「すいませんでした」」

ズキズキする脇腹に鞭打って誠心誠意冷たい床に土下座する。ソファに腰掛け脚を組む船長はギュッと俺の頭を踏み馬鹿の頭を蹴った。いだだだだそこたんこぶあるとこだって!

「俺がお前らに言った仕事はなんだ? アア?」
「「甲板の掃除でございます」」
「で?」
「おっ、俺は途中まで掃除してました!! こいつはジョンと遊んでました!」
「げえっ! 何チクってんだジャック!! 船長、先に喧嘩売ってきたんはジャックっす!」
「あれはお前らが掃除しないからぶっかけたんだろ!!?」
「ちげぇよブラシだ! あれくらい我慢できただろ!!?」
「傷口に海水がどれだけ痛いと思ってんだゴルアアアアア!!!」
「んだと痛がりがやろうってかア!!?」
「やらいでか!!」

ゴンッと床に頭突きさせられ、船長の低い声がさらに低くなって俺達を罵倒した。やめて船長新しい扉ひらきそうだから!

「ハァ……サッチャーはマルクんとこで仕置き受けてこい。ジャックは俺直々に仕置きしてやるよこの馬鹿が」
「ぎゅっ」

色っぽくない変な声でた。
つかサッチャー哀れ。いやむしろマルクさん哀れ。あの人サッチャー好きだけど奥手だから。それじゃマルクさんが生殺しの仕置きうけるだけっす。サッチャーへの仕置きになってないです船長。そして俺の仕置きが重すぎる気がします。ぐえっ。

「さーてどうすっかねぇ」
「お手柔らかにお願いしマス」

俺死んだわ。


収拾つかなくなったからおしまいな船長×鉄砲玉

[ 11/13 ]
[*prev] [next#]

back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -